2009年、20歳で『桐島、部活やめるってよ』で小説家デビューした朝井リョウ氏は、13年に就職活動中の大学生を描いた『何者』で第148回直木賞を受賞する。選考委員の一人である宮部みゆき氏はその執筆姿勢を、「大きな勇気と人間の善意を信じる寛容な想像力がないとできない。この若さでそれができることに感嘆しました」と称賛した。 遠野遥氏は、19年に第56回文藝賞を受賞しデビュー。昨年には2作目『破局』で、28歳にして第163回芥川賞を受賞した。公務員試験の勉強をしながらラグビーとセックスに打ち込む大学生を描いた作品は、得体の知れない主人公の造形と、徹底して客観的な視点を持った文体が注目され、単行本の帯には「新時代の虚無」との言葉が躍った。ともに「平成生まれ初」の受賞者である2人は今回の対談が初対面となる。 朝井さん(左)と遠野さん(左)芥川賞、直木賞のイメージにギャップ 朝井 近頃、若い作家が注目