湧き上がってきた狂おしいほどの女としての性衝動 「母さん、今まで心配かけてきてごめんね。僕は自分の人生を歩いていくから、母さんは母さんの人生を歩んでください」 就職が決まった日、息子はそう言って床に膝をついて泣き崩れた。 ああ、そうか、ようやく息子は親離れしたんだ。ずっと小さいままだと思っていた。これまで夫と共にがむしゃらに働き一人息子の学費を稼いで、さらに家事にと明け暮れていた。しかし気がつくと自分は中年になり、息子は大きくなって、立派に私から卒業しようとしている。これからは、息子の学費も稼がなくていい。私の母としての人生は終わったんだ――。 大きくなった息子の姿を見て頼もしく思う。その反面どこか寂しくもあり、心にぽっかり穴が空いたようだった。これまでの人生でずっと張り詰めていた緊張の糸が、プツンと切れた。 そんな喪失感とともにムクムクと湧き上がってきたのは、狂おしいほどの女としての性衝