八冠の夢がかすんでいた。 将棋界の全タイトル制覇に向かって驀進する藤井聡太の前に、村田顕弘六段(36)が立ちはだかったのだ。6月20日、関西将棋会館。藤井竜王・名人は王座戦挑決T準々決勝に臨んでいた。現在、七冠の藤井に残されたタイトルは王座のみ。挑戦権獲得まであと3勝に迫っていた。 対する村田は2007年にプロ入りした中堅棋士。下馬評は断然、藤井有利だった。それでも村田は強い意気込みで本局に臨んでいた。それは勝敗とは別のところにあった。 ADVERTISEMENT 「将棋は人間同士が指すゲーム。序盤からAI通りに指さなくてもいい。自分の感覚でいいと、藤井さんを相手に証明したかった」 現在の将棋界はAI(人工知能)を使った研究が全盛で、定跡形の序盤は多くの変化を暗記できるかどうかの勝負になっている側面はある。 だが村田は人マネを好まず、自分の感覚を大事にする。「棋士として個性を出せないのはさ
![期待勝率94%が“一瞬で4%”に…藤井聡太をギリギリまで追い詰めた男の痛恨「最後のほうまで自分に勝ちがあったよな」 村田顕弘六段の告白(大川慎太郎)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bd21692034c0dfb5d39ac85bbd0ad58d60eeed63/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F6%2Fd%2F-%2Fimg_6d2abbccbce6b07ec738db771f182d02162394.jpg)