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ブックマーク / febri.jp (105)

  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実⑥ | Febri

    ――特攻シーンの盛り上がりもですが、その前後の展開の密度もすごいです。分解していくエンジェル・ハイロゥやウッソとクロノクルの決戦など、普通だったらもう数話はかかりそうな要素を、演出でぎゅっと詰め込んでいる感があります。 山 それはもう、僕の絵コンテが下敷きにあったとしても、富野監督がまとめてくださったからです。監督がよく言う「方向性の流れで見せてしまう」という演出論があるんですね。右から左にフィルムを流すように、上手(かみて)から下手(しもて)への流れが整理されていれば、どんなに込み入った話でも成立して見える。ストーリーだけでなく、フィルムの流れで見せてしまえ、ということなんです。 ――演出できちんとコントロールできていれば、ストーリーの煩雑さは問題ではないわけですね。 山 それにも関連してくるのですが、第50話のカッティングはとても印象に残っています。というのも、2回目に怒られたのが

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実⑥ | Febri
  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実⑤ | Febri

    裕介が『機動戦士Vガンダム(以下、Vガンダム)』に関わった中で、第41話はシリーズで唯一、富野由悠季との連名で絵コンテが描かれた話数でもある。その経緯と、自身が「もっとも完成度が高い」と語るこのエピソードの真髄を明かしてもらった。 ――第41話「父のつくった戦場」の絵コンテは、富野監督との連名(富野監督は斧谷稔名義)でのクレジットになっています。この作品で、絵コンテが連名でクレジットされている方は他にいないのですが……。 山 それは、今言われて初めて気づきました。ただ、連名なのは当然で、僕はこの話の途中までしかコンテを描いていないんです。具体的には最初の戦闘のくだりまで描いて未完成のまま引き上げられたのですが、それに関しては僕にも多少言い分がありまして……(苦笑)。ちょうど富野監督がこの絵コンテをチェックするタイミングで、ワルシャワでの音楽収録が入ったんです。それで「ワルシャワに行く

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実⑤ | Febri
  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実④ | Febri

    『機動戦士Vガンダム(以下、Vガンダム)』で初めて演出を手がけた第28話に続いて、第34話では絵コンテも担当することになった山裕介。しかし、ここで初めて富野由悠季監督からカミナリを落とされることになる。その修正指示などから、富野監督がひとつひとつのシーンに込めた意図を読み解いていく。 ――富野監督の事務所での打ち合わせで、具体的な映像のスタイルについての話はあったのでしょうか? 山 絵コンテ打ちでメカや舞台設定のイメージを伝えられることはあっても、演出的にこうしろ、ああしろという具体的な見せ方の指示はほとんどなかったです。「質問があれば聞くよ」といったざっくりしたもので、あとは主に世間話でしたね(笑)。むしろコンテが上がってチェックが終わったあとのほうが印象に残っています。 ――そこから何が始まるのでしょう? 山 絵コンテを提出して数日後に「明日の昼に富野監督が決定稿を出してくれるそ

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実④ | Febri
  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実③ | Febri

    業界に入るきっかけにもなった富野由悠季総監督とも対面し、『機動戦士Vガンダム(以下、Vガンダム)』に参加することになった新人演出時代の山裕介。ここからは、自身が絵コンテ・演出を担当した話数を具体的に参照しながら、『Vガンダム』の「真実」と富野流演出術の秘密に肉薄する! ――富野監督から作画についてのダメ出しはほとんどなかったとのことでしたが、実際、多少のことは気にならないフィルムに仕上がっています。 山 演出家には「自分の担当回を少しでもよくしたい」という欲があるんです。だからつい、ちまちまとリテイクしたくなるんですが、富野監督は「そうじゃない。TVシリーズというのは毎週きちんと放送されて、面白く見せられさえすればそれでいい。細かいリテイクなんて必要ない」と常に言っていましたね。僕の担当話数の初号試写の帰りの車の中で「あのカット、直したかったんですけど……」と話したら「そんなの直さなく

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実③ | Febri
  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実② | Febri

    『ヤマノススメ』など数々の人気作を手がけてきたアニメ監督・山裕介が、キャリア初期に参加した『機動戦士Vガンダム(以下、Vガンダム)』の制作当時を振り返るインタビュー連載。第2回では、現場に入って直面したこれまでの作品との違いや、富野由悠季総監督から伝えられた演出方針について語ってもらった。 ――実際に第28話「大脱走」の演出を務めることになって、杉島邦久さんの描いた絵コンテを受け取ったときは、どのような印象でしたか? 山 杉島さんは前から存じ上げていましたし、関わられた作品も見ていたのですが、それでも今まで自分が処理していた絵コンテとは密度が全然違って驚かされました。まず単純に、ひとつのフレームの中に入っているものが多い。キャラクターが多く、奥にモビルスーツもいる。手前では犬が吠えている。ひとつの画面の中に、とにかくいろいろな要素が入っているんです。ほぼ同時期に関わった別の作品だと、フ

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実② | Febri
  • 山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実① | Febri

    『ヤマノススメ』など数々の人気作で知られるアニメ監督・山裕介。そのキャリアの初期に関わった『機動戦士Vガンダム』は、自身にとって憧れの富野由悠季監督から直接多くのことを学んだ、思い入れの強いタイトルだという。放送30周年を迎えるタイミングで、あらためて制作当時のことを振り返ってもらった。 ――『機動戦士Vガンダム(以下、Vガンダム)』といえば、富野由悠季監督の当時を振り返ったセンセーショナルな物言いや、「見なくていい」発言がいまだに独り歩きしている印象があります。 山 ですよね。でも、僕が見た『Vガンダム』の現場は、そうした印象とは全然違っていました。そういう話を今日はしたいな、と。Blu-ray BOXのブックレットに掲載されている渡邉哲也さん、森邦宏くんとの鼎談でもそんな話をしたのですが、もう少し話しておきたいことがあって。ちなみに『Vガンダム』って放送当時、ご覧になっていましたか

    山本裕介に聞いた 『機動戦士Vガンダム』30年目の真実① | Febri
  • 「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第10回(後編) | Febri

    第10回 富野由悠季とアムロ・レイ 富野由悠季監督へのインタビュー3回目は、アムロ・レイを継承するとはどういうことかを聞いた。アムロを継承するということは、つまり古谷徹から声優が交代した場合、それまでの演技を古典として模倣すべきか、あるいは独自の演技論を取り入れるべきかという意味である。古谷徹以外のアムロは新しい芝居となるのか、あるいはフェイクとなるのか。 ――アムロやシャアの声が交代したとき、それはフェイクになってしまうのでしょうか? 富野 そういう考え方もあるでしょうけれども、受け手側の一般大衆というのはそれほどバカではないんですよ。もし、古谷徹や池田秀一という人が亡くなってしまったあとで、他の人がその役を演じた瞬間、アムロやシャアの人気というものは消えます。 受け手というのはある意味でとても冷たいんです。それは自分の問題ではないから「アムロじゃないじゃん。シャアじゃないよ、こんなの」

    「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第10回(後編) | Febri
  • 「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第10回(前編) | Febri

    『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイは、それまでのロボットアニメの主人公とは異なる「普通の少年」であり、戦闘に対して積極的な人物とは遠い存在と言える。そうした主人公を演じる声優に、古谷徹を選んだのはなぜか。熱血少年の代名詞といえる『巨人の星』の主人公、星飛雄馬。それを代表作とする古谷徹に普通の少年であるアムロを演じさせるというアイデアはどこからきたのだろうか。 富野 その話をする前に、古谷さんはアムロ・レイに対してどうお感じになられているのかを知りたいですね。 ――『機動戦士ガンダム』のTVシリーズでやり切った感があるというお話をしていました。 富野 なるほどね、ではまさにそういうことで、それ以上のことは一切ありません。そもそも役者が演技をするということを考えたことはありますか? ものすごく簡単なことですが、古谷さんがTVシリーズでの演技をベースにして考えておられるというのは当然のこと

    「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第10回(前編) | Febri
  • 岡村天斎③ 多くの人に助けられた初監督作『最臭兵器』 | Febri

    岡村天斎のアニメ遍歴をたどるインタビュー連載の最終回は、自身の初監督作であるオムニバス映画『MEMORIES』の中の一編『最臭兵器』。苦労が絶えなかったという制作の舞台裏と、この作品を通して岡村が手に入れたものとは? 当時の状況を振り返りつつ、たっぷり語ってもらった。 ――3目は、岡村さんの初監督作品でもあるオムニバス映画『MEMORIES』の中の一編「最臭兵器」です。1995年の公開なので『妖獣都市』から少し間が空いていますね。 岡村 そうですね。『YAWARA!』で何か絵コンテを描いて、そこから演出方向に舵を切っていきました。もともとアニメーターよりも演出がやりたかったんです。 ――当時のマッドハウスは、若手でも演出できるチャンスが多かったのでしょうか? 岡村 というか、僕が入社した頃は劇場作品やOVAがメインで、TVアニメをあまりやっていなかったんです。だから「TVだったら(演出

    岡村天斎③ 多くの人に助けられた初監督作『最臭兵器』 | Febri
  • 作りたかったのは「背中を押してくれる作品」『ツルネ -つながりの一射-』山村卓也監督インタビュー① | Febri

    弓道にかける高校生たちの思いを爽やかに描き出す青春アニメ『ツルネ -つながりの一射-(以下、つながりの一射)』。約4年ぶりの新作となるこの第2期を、山村卓也監督はどんな思いで手がけてきたのか。インタビューの前編では「弓」を描くうえで大切にしていることや、この作品ならではの魅力について、じっくりと話を聞いた。 ――第1期と第2期の間に『劇場版ツルネ ─はじまりの一射─(以下、はじまりの一射)』の公開がありましたが、TVアニメの第1期からは4年ほど時間が空いたあとの第2期になりました。制作決定を聞いたときの第一印象はどんなものでしたか? 山村 第1期のときには描けなかった湊たちの魅力を、より掘り下げて描きたいと思いました。あと今回の第2期では、いろいろ新しいことにも挑戦していますね。第1期では色味がワントーンの画面でしたが、第2期では陰影を強調しつつ彩度を高くして、よりきらびやかな画面構成にし

    作りたかったのは「背中を押してくれる作品」『ツルネ -つながりの一射-』山村卓也監督インタビュー① | Febri
  • 『グリッドマン ユニバース』公開記念 監督・雨宮哲×キャラクターデザイン・坂本勝スペシャル対談① | Febri

    『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』、関係が示唆されつつも直接的には交わらなかった両作品のキャラクターが邂逅を果たすことで話題を呼んでいる映画『グリッドマン ユニバース』。2023年3月24日(金)の公開にあたり、作の物語がいかにして生み出されていったのかを、シリーズを通じての監督である雨宮哲と、キャラクターデザインを担当した坂勝に語ってもらった。 ――まず、公開を間近に控えての気持ちを聞かせてください。 雨宮 今回に限らず、作品が完成して世に出すまでの間は、いつも浮かれています。公開して反応が返ってくると、「ああ……」ってなることが多いですけど(笑)。 坂 ギリギリまで作業していたので、終わって良かったなと(笑)。やり残したことはないですが、どう受け入れられるのか、不安な気持ちで一杯です。 ――『SSSS.DYNAZENON』制作時、すでに劇場版は念頭にあ

    『グリッドマン ユニバース』公開記念 監督・雨宮哲×キャラクターデザイン・坂本勝スペシャル対談① | Febri
  • 『ツルネ -つながりの一射-』音響効果・倉橋裕宗が作る「その瞬間にふさわしい音」① | Febri

    弓道に打ち込む高校生たちの青春を描いたTVアニメ『ツルネ -風舞高校弓道部-』の続編『ツルネ -つながりの一射-(以下、つながりの一射)』が1月より放送中。全国大会を控え、物語も佳境に入るなか、シリーズを通じて音響効果を担当する倉橋裕宗さんにインタビュー。今回は、作中でもとくに印象的な「弦音(つるね)」をはじめ、弓道の音作りについて話を聞いた。 ――続編の制作が決まったときの気持ちはいかがでしたか? 倉橋 驚くことはなく、わりと自然体でした。作業スタジオで第1期制作時以来、眠っていた弓道用具一式を久しぶりに使えるのはうれしかったですが、大変な作品なので準備をしっかりとやらなければ、と思いました。 ――「音響効果」は音楽と人(キャラクター)の声以外のすべての音(SE=Sound Effect/効果音)を作るお仕事ですが、どのような段取りで作っているのでしょうか? 倉橋 第1期のときと同様、弓

    『ツルネ -つながりの一射-』音響効果・倉橋裕宗が作る「その瞬間にふさわしい音」① | Febri
  • メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(後編) | Febri

    好評をもって迎えられたバンド青春物語『ぼっち・ざ・ろっく!』。そのライブシーン制作の舞台裏を聞くインタビュー後編では、シリーズ後半のライブシーンを中心に作ならではの苦労、そして手応とともに、編のユニークなテイストがどこから生まれてきたのか。アニメーションプロデューサーの梅原翔太とライブディレクターの川上雄介に聞いた。 ――第8話「ぼっち・ざ・ろっく」は、斎藤監督が自らコンテを担当したエピソードですね。結束バンドが初めてのライブに挑む回ですが、川上さんは技術的なサポートなどを担当したということでしょうか? 川上 そうですね。CGの方からキャプチャーしたデータが送られてきて、そこから各アニメーターがタイミング込みで作っていくんですが、その際のデータのやり取りを担当しています。あとは光源の設定だったり、美術の発注も必要になるので、そのあたりのチェックもやっていますね。とくにこの第8話は、ライ

    メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(後編) | Febri
  • メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(中編) | Febri

    ――ここからは個々のライブシーンについて、話を聞いていきます。まずは川上さん自身がコンテ・演出を担当した第5話「飛べない魚」。ライブ出演に向けて、結束バンドがオーディションを受けるという場面ですね。 川上 このライブシーンの前半では、キャラクターの感情を丁寧に拾っていこうと考えていました。自分はそれまでハイスピードアクションや空間を使ったアクションを得意としていたのですが、次に自分がどこに挑もうかと考えたときに「感情が爆発するアクション」だなと。そこで初めて挑戦したのが『ワンダーエッグ・プライオリティ』だったんですが、初めてのことだったので、なかなかうまくできなかったところもあったんです。 ――アクション作画を追求していくなかで、今回の第5話があったわけですね。 川上 そうですね。この第5話では、自分がやりたいと思っていたアクションシーンにやっとたどり着いた感じがありました。 梅原 アクシ

    メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(中編) | Febri
  • メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(前編) | Febri

    ――今回、川上さんは「ライブディレクター」という肩書きで参加しています。これがどういう役職なのか、どんな目的でこの役職を立てたのかを、プロデューサーの梅原さんから説明していただけますか? 梅原 まずアニプレックスさんから「ライブシーンは手描きでいきたい」という意向をいただいていたんです。そうすると、モーションキャプチャーを収録したあと、手描きで作業するためのCGのガイドを出す必要があって――つまり、手描きとCG、両方の知識を持っている人が必要だったんです。そこで、早くからBlender(※3DCGアニメ制作ソフト)を作業に取り入れていた川上君に声をかけたという流れですね。 川上 自分はもともと第5話「飛べない魚」編のコンテ・演出を担当していたんですが、ライブシーンに関しては当初、斎藤監督が全話ひとりで演出したいとおっしゃっていたんです。ただ、モーションキャプチャーをやるとなると、プリプロ

    メインスタッフが語る『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーン制作舞台裏(前編) | Febri
  • 最終回直前! 『デリシャスパーティ♥プリキュア』をシリーズディレクター・深澤敏則が振り返る(前編) | Febri

    ――いよいよ最終回を迎える『デリシャスパーティ♡プリキュア(以下、デパプリ)』ですが、心境はいかがでしょうか。 深澤 だいぶ肩の荷は降りてきたかなという感じですね(笑)。とはいえ、寂しい気持ちも大きいです。制作が始まったのは2年ほど前なんですが、イチから作ってきたキャラクターなので「この子たちと別れるのは寂しいな」と。「もっといろいろな話であの子たちを動かしたいな」と、つい思ってしまいます。 ――深澤さんは『デパプリ』の前に『映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』で、初めて『プリキュア』シリーズに関わっていますね。 深澤 そうですね。じつを言えば映画の監督をすることになるまで、『プリキュア』シリーズはほとんど見てこなかったんです。それで、いくつかシリーズを見直したんですが、最初は女の子向けの「かわいらしさ」を意識しすぎていた感じはありましたね。僕はそれまで少年向けの作品に

    最終回直前! 『デリシャスパーティ♥プリキュア』をシリーズディレクター・深澤敏則が振り返る(前編) | Febri
  • 中島かずき③ 脚本家としてのターニングポイント『天元突破グレンラガン』 | Febri

    ――3目は、今石洋之監督のTVシリーズ『天元突破グレンラガン(以下、グレンラガン)』です。中島さん自身がシリーズ構成・脚を担当した作品ですね。 中島 間違いなく、自分にとってターニングポイントとなった作品でした。『グレンラガン』が評価されたからこそ、会社を辞められたというのもありますし(笑)。 ――あらためて振り返って、『グレンラガン』はどういう作品だったと思いますか? 中島 僕ら世代にとって、ガイナックスは特別な存在だったと思うんです。というのも、彼らは1981年に「DAICON 3(※)」で出てきた。要するに、ほぼ同世代の人たちがほぼ同じような感覚で、同じような面白さを追いながら成功した、という感覚があるんです。中でも庵野秀明さんはすごいと思っていたんですけど、『新世紀エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)』のときに、自分の志向性とは違うと感じたんです。 ――志向性の違い、ですか? 中島

    中島かずき③ 脚本家としてのターニングポイント『天元突破グレンラガン』 | Febri
  • 俊英アニメーター・伊礼えりに聞く『ヤマノススメ Next Summit』を通して得たもの① | Febri

    ――『Next Summit』でOPアニメの絵コンテ・演出を担当するに至った経緯について聞かせてください。 伊礼 編では第7話Bパートの原画と第9話Bパートの演出を担当していますが、ちょうど第9話の演出をしていた際、ラインプロデューサーの藤田(規聖)さんと雑談していて、そこでポロっと「絵コンテと演出をセットでやりたい」とこぼしたのがきっかけです。 ――第9話は演出のみの参加ですが、当はコンテもやりたかったんですね。 伊礼 そうですね。当時、私が所属していたスタジオでの別仕事があって、時間的にも物量的にも厳しかったので手放さざるを得なかったんですけど、やっぱりどうせならコンテからやってみたかったという気持ちがあったんです。ただ、編のスタッフィングはすでに固まっていたので、この作品でやれるチャンスがあるとは考えていませんでした。だから言ってしまえばボヤキのようなものですね。ところが、その

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  • 「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第7回(前編) | Febri

    安彦良和氏といえば、キャラクターデザインだけでなくアニメーションディレクター、監督、演出、脚といった主要な役割をひとりでこなしてしまう超人的なクリエイターとして知られている。さらに、アニメーターとして第一線を退いてからはマンガ家としても活躍しており、自身がイメージする「ガンダム」を描いた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』はアニメ化もされている。『機動戦士ガンダム』以前にもロボットアニメの主人公をデザインしてきた安彦氏は、内向的でヒーローっぽくないアムロ・レイというキャラクターをどう考えていたのだろうか。 安彦 当時はどの作品も皆同じようなイメージでね。熱血というのか好戦的というのか、とにかく男っぽいキャラクターが多かったわけです。巨大ロボットに乗って異星人と戦うんだから、そういうビジュアルになるのはわかるけれど、僕としてはそういうものに飽きていたのも事実です。 では、アムロ・レイ

    「アムロ・レイの演じかた~古谷徹の演技・人物論~」第7回(前編) | Febri
  • 衝撃作『アキバ冥途戦争』の制作舞台裏 竹中信広プロデューサーインタビュー① | Febri

    ――竹中プロデューサーがこの企画を思いついたきっかけは何だったのでしょうか? 竹中 企画の発端だけでいうと13~4年前ぐらいです。メイド喫茶ブームもちょっと下火になりかけていた時期に、秋葉原で等間隔に並んでチラシを配るメイドさんを見て「この距離感に意味を持たせることができたら面白いものになる」と考えたことがありました。そのときはオシャレな映像作品をイメージしていたんですけど、時代を経て、むしろ昭和任侠ものっぽい泥臭い映像のほうが面白くなりそうだなと、イメージが変わっていった結果が現状の『アキバ冥途戦争』という感じです。 ――当時はアニメの企画を考えていた時期だったんですか? 竹中 いえ、そのときに考えていたのは遊技機の企画でした。 ――そこに任侠ものを持ってくるんですね。 竹中 常に思い描いているものとして「なんかワケわかんないけど面白いものを作りたい」というのがあって、『ゾンビランドサガ

    衝撃作『アキバ冥途戦争』の制作舞台裏 竹中信広プロデューサーインタビュー① | Febri