簡単に白黒をつける社会に違和感、代理母がテーマの『燕は戻ってこない』プロデューサーが描く簡単には断罪できない人間の愚かさと欲望 29歳、手取り14万、派遣社員――。貧困に苦しむ主人公・理紀が、お金と安心を得るために、代理母となり、生殖機能を売る。そしてそれを買うのは、世界的バレエダンサーの有能な遺伝子を残したいと目論む、裕福な草桶夫婦。物語が進むにつれ、主人公が契約を破り複数の男性と関係を持つなど、ストーリーは混迷を極め、SNS上でも様々な議論を巻き起こしています。日本ではまだ認められていない「代理母」を巡るストーリーを描く話題作『燕は戻ってこない』(原作:桐野夏生)。プロデューサーの板垣麻衣子さんに制作の背景を聞きました。 生殖医療は万人に福音をもたらすのか ードラマプロデューサーのお仕事はどんな内容なんでしょうか。 板垣麻衣子さん(以下、板垣):プロデューサーは全部を俯瞰する立場です。