タグ

ブックマーク / www.10plus1.jp (11)

  • 圏外から再構築される建築

    動的な体系としての建築 建築は環境を「構築」する術の体系であると捉えることができるが、構築という行為は質的に、その対象についての無矛盾性を志向する。ときには、建築における構築の結果物のひとつである建物に対して、相矛盾する論理に基づく建築的な言語や文法が持ち込まれることもあるが、その場合にも、それらの共存が方法的に裏付けられているかぎり、その方法的枠組みにおいて、それらは無矛盾であると言ってよい。構築は方法的意識を伴い、このことが、構築物に無矛盾性を帯びさせるのである。 また建築は、孤立してはあり得ない。そもそも建物は、環境と人間を媒介する存在であるから、周辺との連続を断ち切ることができず、このように媒介物として定義される建物をつくる術の体系としての建築も、政治・経済・文化などと独立してはあり得ない。あらためて指摘するまでもなく、建築はその社会において成立するのである。 しかし社会は、漸進

    圏外から再構築される建築
  • 終わりなきゲームへの決意──『都市の戦後──雑踏のなかの都市計画と建築』

    シナリオ──対象、方法、視点について 書『都市の戦後──雑踏のなかの都市計画と建築』(東京大学出版会、2011)は、著者・初田香成氏の学位論文に基づく構築的な書である。東京における都市戦災復興、これと並行し全国展開した都市不燃化運動、これらに住宅地区改良(当時「住宅地再開発」と呼ばれた)の動きが合流した「都市再開発」揺籃期という3テーマを取りあげている。3つの主題について、それぞれ見取り図、実例に即して背景となる各種主体が絡み合った社会構造、個別の主体あるいは主導者へのクローズアップという3章を立てると、書では「補章」という扱いになっている最終章を含め合計9章がなりたつ。これらを序論と結論で挟んだ構成である(当然ながら、これらの視点は各章内部でも入れ子状に反復される)。目指されたのは現実の都市空間、しかも繁華街や商店街など不特定多数の人々が集まる「雑踏」にむけて、また各地区に取材した微

    終わりなきゲームへの決意──『都市の戦後──雑踏のなかの都市計画と建築』
  • 刊行記念トークショー 第2部:建築の場所/建築家の場所

    戸田──さて、後半は新堀学さんにご登壇いただきます。新堀さんは、1964年に埼玉県に生まれ、1990年に東京大学を卒業されました。卒業後は、安藤忠雄さんの事務所に7年間お勤めになられて、その後、自分の事務所を設立されています。新堀さんはNPO地域再創生プログラムに参加されていたり、リノベーション、建築再生について複数のご著書を執筆しています。最近は、気仙沼の方でも活動されていますが、今日は、まずご自身のプロジェクトを紹介していただき、その後、吉良さんとお話ししていただきたいと思います。 吉良──新堀さんにお話しいただく前に、なぜ新堀さんに来ていただいたか、ひと言添えさせてください。実は、私は新堀さんのことを全然知らないというか、一回しか会ったことないんです(笑)。去年の年末にご縁があって、上野にある最後の同潤会アパートを見学させていただきました。そのときに新堀さんと初めてお話ししたんです。

    刊行記念トークショー 第2部:建築の場所/建築家の場所
  • 知られざる丹下健三──海外プロジェクト・都市計画を中心に

    今、丹下健三の都市計画を見直す 松田──今日は建築家・丹下健三の、特に都市計画家としての側面についてお聞きしたいと思います。今年は丹下健三の生誕100周年で、展覧会や書籍、雑誌の特集などでさまざまな見直しがなされています。その嚆矢とも言える豊川斎赫さんの著書『群像としての丹下研究室』(オーム社、2012年、以下『群像』)の冒頭に、丹下研究室とURTECに在籍した稲塚二郎さんによる丹下の時代区分が紹介されています。第0期(1941〜45年)[研究生時代]、第I期(1946〜60年)[チーフ浅田孝]、第II期(1961〜74年)[URTECチーフ神谷宏治、研究室チーフ大谷幸夫]、第III期(1975〜90年)[チーフ稲塚二郎]、第IV期(1991年〜)[チーフ丹下憲孝]というものです。 豊川さん自身はそののなかで、主に第0期から第II期を扱っていると明言しています。逆に言えば、第III期以降

    知られざる丹下健三──海外プロジェクト・都市計画を中心に
    akihiko810
    akihiko810 2015/03/03
    丹下健三(都庁、代々木体育館)
  • 岐路に立つ公共図書館──集客施設か、知的インフラか

    多様化する各地の公立図書館 近年、従来のイメージを覆す公立図書館が各地に出現している。カフェがあったり、音楽が流れていたり。元日から開館している図書館もある。表面上、サービスの利便性が上がっただけではない。ビジネス支援などの課題解決や地域コミュニティの場としての役割を担う図書館も増えている。 その背景には、「無料貸屋」批判からの脱却や、2000年代に進んだ地方分権化などの流れがある。特に、2003年に企業やNPOなど民間組織に公的施設の管理運営を委託する指定管理者制度がスタート。民間の参入により、図書館でも多様なサービスが展開されるようになった。 そんな指定管理者制度の開始から10年を経て、2013年4月には佐賀県の「武雄市図書館」がオープンした。レンタルチェーンのTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となって運営。ポイントを貯められる「Tカード

    岐路に立つ公共図書館──集客施設か、知的インフラか
  • まちづくりと「地域アート」──「関係性の美学」の日本的文脈

    2000年代に入り、全国でまちづくりを支援し、地域を活性化させるさまざまなアート・プロジェクトが展開しています。「地域アート」と呼ばれるこうした動きを戦後美術史の文脈から支えるニコラ・ブリオー「関係性の美学」やそれと距離を置くジャック・ランシエールの「政治」などを介しながら、コミュニティ拠点づくりや地域振興とアートの深まる「関係」について考えます。 「ブリオー×ランシエール論争を読む」やクレア・ビショップ「敵対と関係性の美学」などの翻訳でも知られる美学・表象文化論の星野太氏と、「前衛のゾンビたち──地域アートの諸問題」(『すばる』2014年10月号掲載)で現代アートの構造変化を問いかけた評論家の藤田直哉氏に語っていただきました。 藤田直哉氏(左)、星野太氏(右) いまだ「批評」は読者を獲得し、影響力を持ちうるのか 『すばる』2014年10月号、集英社 星野太──今日はよろしくお願いいたしま

    まちづくりと「地域アート」──「関係性の美学」の日本的文脈
  • (ポスト)モダン大阪の「路地」と「横丁」

    1 都市縁辺に埋もれた近代建築──津守下水処理場──(から)の眺め ポンプ室の上の居住空間 大阪市西成区の西端、木津川に面して、津守下水処理場が立地している★1。この処理場は、昭和6(1931)年から10年の歳月と「巨額」を投じて建設され、昭和15(1940)年4月に通水した、大阪市で最初の大型下水処理施設であった。 その規模は、当時、ニューヨークとシカゴに次いで世界第3位を誇ったというが★2、創業から半世紀以上の歳月を経るなかで施設は老朽化し、平成17(2005)年4月に新しいポンプ設備が通水したことで、初代の(旧第一)ポンプ室は65年間に及ぶその役割を静かに終えたのだった。 敷地面積約12万3千㎡を有する広大な処理場内のほぼ中央に、旧第一ポンプ室の建物が現在も残されている[図1]。閉鎖されたままのエントランスは、先太りの円柱に、丸みを帯びた階上部分が相俟って、いまだモダーンな雰囲気を湛

    (ポスト)モダン大阪の「路地」と「横丁」
  • 流動する社会と「シェア」志向の諸相

    宮台真司氏(左)、門脇耕三氏 「シェア」の概念──「純粋公共財」と「クラブ財」 『私たちが住みたい都市』 (山理顕編、平凡社、2006) 門脇耕三──今回の「10+1 website」の特集は「シェアの思想/または愛と制度と空間の関係」と題しており、「参加と包摂」を旨とする民主主義の回復と倫理の関係についてさまざまなステートメントを発せられている宮台さんと、このタイトルが含みうるフィールドや空間の現在と今後に関して、複層的に考えたいと思っています。今日はよろしくお願いします。 いま「シェア」をめぐるさまざまな動きが注目され、建築を学んでいる学生にも「シェア」は非常に注目されています。卒業設計のテーマとしてシェアハウスやフラットシェアを選ぶ学生も多くいます。ただ建築系の学生の場合、どうしても文献的な掘り下げが追いつかず、「近代家族」という概念すら知らないまま「シェア」について語っていたりす

    流動する社会と「シェア」志向の諸相
    akihiko810
    akihiko810 2014/09/22
    「シェアの思想/または愛と制度と空間の関係」と題して、「参加と包摂」を旨とする民主主義の回復と倫理の関係について /「リソースシェア」情報的シェアと家族的シェアの関連
  • 対談:郊外の歴史と未来像[1]郊外から建築を考える

    三浦展氏、藤村龍至氏 所沢「第四山の手」とセゾン文化 三浦展──ツイッターでのちょっとしたやりとりをつうじて、今回藤村さんと対談を行なうことになったわけですが、きょうは僕としては、藤村さんのパーソナル・ヒストリーをおうかがいすることで、「郊外世代」が何に根拠を求めてものをつくっているのかを探るきっかけにしたいと思っています。 さっそくですが、藤村さんは1976年生まれで、いわゆる郊外育ちなんですよね? 藤村龍至──はい。都内で生まれて、保谷市(現西東京市)でしばらく過ごしたのち、80年にトトロの森で知られる埼玉県所沢市の椿峰ニュータウンに引っ越してきて、そこで育ちました。高校生の頃は新所沢パルコまで自転車で行き、そこに自転車を止めて、西武新宿線に乗って川越まで通学していました。中学の頃から池袋に足を延ばして西武美術館で展覧会を見たりしていましたし、高校の時は所沢のことがわかると思って堤康次

    対談:郊外の歴史と未来像[1]郊外から建築を考える
  • 東京で一番住みたい街、吉祥寺──街の魅力とジェントリフィケーションをめぐって

    「住みたい街」としての吉祥寺 新──吉祥寺は久しぶりに歩きました。さすが「住みたい街」ナンバー1になるだけのことがあるな、と感じ入りました。今日は、笠置さんと5,6時間ほど吉祥寺を歩きましたが、多くの人は、特定のお店に行くという目的だけで歩いているわけではないようです。ゆっくりと風景を楽しむように歩いている姿を見て、来街者が吉祥寺を楽しみたい気持ちを見てとることができました。 では、吉祥寺と他の街は何が異なるのでしょうか。まずは緑が多いことがあげられます。吉祥寺のように人が多いといくぶん気疲れしがちなのですが、一休みすることができるスペースがあって、そのスペースが緑に囲まれている。井の頭公園の存在が大きいとは思いますが、それだけでなく、路面店が散らばっている吉祥寺北口の西側の奥には吉祥寺西公園と中道公園があります。吉祥寺西公園は、まだしっかり育っていませんが芝生がひろがっていて、多くの人が

    東京で一番住みたい街、吉祥寺──街の魅力とジェントリフィケーションをめぐって
  • 10+1 web site|テンプラスワン・ウェブサイト

    10+1 website|テンプラスワン・ウェブサイト LIXIL出版 LIXIL ANNOUNCEMENT PICK UP SERIAL PHOTO ARCHIVES PROJECT ARCHITECTURAL INFORMATION NAME INDEX 10+1 DATABASE GENERAL CONTENTS 2020 2020 03 [最終号]建築・都市、そして言論・批評の未来 独立した美術・批評の場を創出するために |五十嵐太郎+鷲田めるろ いまこそ「トランスディシプリナリティ」の実践としてのメディアを ──経験知、生活知の統合をめざして |南後由和+貝島桃代 リサーチとデザイン ──ネットワークの海で建築(家)の主体性と政治性を問う |青井哲人+連勇太朗 PICK UP 建築の概念の拡張 |石上純也+田根剛 2020 01 建築の漸進的展開 グラデュアリズム──ネットワーク

    akihiko810
    akihiko810 2010/06/23
    >都市/建築に関する展覧会、イベントなどを紹介
  • 1