動的な体系としての建築 建築は環境を「構築」する術の体系であると捉えることができるが、構築という行為は本質的に、その対象についての無矛盾性を志向する。ときには、建築における構築の結果物のひとつである建物に対して、相矛盾する論理に基づく建築的な言語や文法が持ち込まれることもあるが、その場合にも、それらの共存が方法的に裏付けられているかぎり、その方法的枠組みにおいて、それらは無矛盾であると言ってよい。構築は方法的意識を伴い、このことが、構築物に無矛盾性を帯びさせるのである。 また建築は、孤立してはあり得ない。そもそも建物は、環境と人間を媒介する存在であるから、周辺との連続を断ち切ることができず、このように媒介物として定義される建物をつくる術の体系としての建築も、政治・経済・文化などと独立してはあり得ない。あらためて指摘するまでもなく、建築はその社会において成立するのである。 しかし社会は、漸進
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