Jリーグ発足時の10クラブの中で唯一、3大タイトルに縁がなかったサンフレッチェ広島。1994年のファーストステージ優勝の際の主力選手だった森保一が、監督としてチームに初の年間王者の栄誉をもたらした。 キックオフを45分後に控えた13時45分、突然、スタジアムDJが予定稿にない“アドリブ”を叫んだ。 「皆さん! メインスタンドから向かって右側、電光掲示板の上を見てください。キレイな虹がかかっています!」 広島ビッグアーチの上空にどんよりと立ち込めていた雨雲が、ほんの一瞬だけきれいに取り払われた瞬間だった。見ると確かに、大きな虹が掛かっている。何かを期待せずにはいられないほど大きなアーチに、スタンドが沸いた。 この試合でセレッソ大阪に勝って、なおかつ、2位のベガルタ仙台がアルビレックス新潟に負ければ優勝――。悲願達成の可能性を視界に捉えたサンフレッチェ広島にとって、決して簡単なゲームではなかっ
![広島、悲願のJ初優勝ドキュメント。ビッグアーチを揺らした躍動の90分。(細江克弥)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/26769b19fc60fe4829f5e97ec6c960db4c3914e5/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F1%2Ff%2F-%2Fimg_1f396e6109ba50ade8bb80bc149a84b1470510.jpg)