ブックマーク / nainaiteiyan.hatenablog.com (101)

  • 中島敦『山月記』岩波文庫 読了 - はてなブログ大学文学部

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 簡単なあらすじ 李徴という主人公は、今でいえばキャリア官僚の地位にいて博学であった。 上下関係に嫌気を感じ、詩人になるために職を自ら棄てた。 しかしとてもべていけず憔悴しきった挙げ句、再び東へ出戻りすることに。 同期は昇進し、李徴は気がだんだんおかしくなりいよいよ発狂。そして姿を消す。 ・・・ 読み終えてすぐにトルストイ『人生論』を想起させた。 無駄なことをしているうちにあっという間に時は過ぎ取り返しがつかなくなる。 仮にこの物語が主人公の余計なプライドに対するアイロニーを示唆するものだとしたら、主人公の「詩作」は無駄だったのかもしれない。結果としては惨敗に終わり、むしろ不幸一直線となってしまったのだから。 要するに文人となり名声や地位を手にし、目の前にいる人間をひれ伏せてやりた

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  • 読書日記583 - はてなブログ大学文学部

    読んだ: 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ アリストテレス「悪しき人が幸せな生活を送ることは不可能」 "道徳教育の最も重要な役割の一つは、正しい方向で推論することをわれわれに教えることである" P379 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 倫理学は議論のための議論と揶揄されることがある。 個人的にも、そう思うことはある。 ただ、何故そうと言えるのかハッキリ言える力が自分にはないので読んでみた。 ヒュームの法則によれば、「~である」という命題から「~すべきである」という推論を引き出すことは不可能であった。 (『社会科学の哲学入門より』) nainaiteiyan.hatenablog.com そういう意味では、道徳を客観化する試みは不毛に思えるが、その「理由」について勉

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  • 読書日記582 - はてなブログ大学文学部

    読んだ: 引用元:版元ドットコム つづきをよみすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ スピノザ「すべての因果関係を知らないために、われわれが決定論のもとに在ることを信じられないのだ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ソクラテスは、より善く生きるためには自分自身を知らなければならないと言った。 決定論と非決定論には決着がついていないが、仮に決定論の原理が働いているならば、今生きている人の行動や思考は「過去」と「連鎖」していることになる。 つまり、連鎖の原点、太古にまで遡求していくプロセスを経て自分のことを知るきっかけになるという。 そこで著者は読書の大切さを語る。 書物は「思考」が可視化されたものであり、直線的な連鎖のプロットで

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  • 読書日記520 - はてなブログ大学文学部

    今日読んだ: 森岡督行『荒野の古屋』 ルイス・ボルヘス『記憶の図書館』 松岡正剛『全然アート』 松岡正剛『編集力』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ 松岡正剛「現代アートは商品になっている」 「表象とはsubstitution (代理形成力)だ」 ⇒概ね柄谷行人氏の見方と同じ nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 この数週間は、自分のなすべきことについてひたすら自問を続けた。 このブログではまだ書いていないが、シェア屋に参加したり、個人的に気になっていたお店にも訪問した。 今日はそれがようやく解決しつつある。 今年中にやりたいことがパッと具体化した。 それを実行に移していく。 その行動に関連するを5、6冊調達し足りないものをAmazon

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  • 読書日記504 - はてなブログ大学文学部

    今日読んだ: アンソニー・グラフトン『アルベルティ』白水社 フィリップ・ソレルス『バタイユと友たち』別冊水声通信 トマス・ウルフ『天使よ故郷を見よ』講談社学芸文庫 秋嶋亮『無思考国家』白馬社 モーリス・ブランショ『焔の文学』紀伊國屋書店 テリー・イーグルトン『文学という出来事』平凡社 アントワーヌ・コンパニョン『第二の手、または引用の作業』水声社 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ ツァラトゥストラ「詩人たちは嘘をつきすぎる」 バタイユ「人は言葉へと還元することはいつも不完全なままに終わる」 毎日積み上がっていくのはゴミの塊 魂は積み上がらずに空になっていく 空白を埋めよ。文学によって。 難しいだけを鞄に入れてカフェへ行く。ある種の絶望。 「話すことはトートロジーに陥ること」 「われわれは互いに注釈をし合ってばかりいる」 引用とは対象を流通

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  • メルカリと安物買いの銭失い - はてなブログ大学文学部

    的に値段交渉や即購入など、ルールを作らずに私は出品し、譲っている。 しかし、ひとつの社会実験としてやってもいる。 思うことはいろいろとあり、日々積み上がっていく。 私はほとんどのは大型書店で惜しまずに新品で高いを買っている。 結果的に、フォローして頂ける方が増え、現在は常連さんも多くいる。 win-winというのはまさに、こういうことをいうのだなと常々思う。 一方で、とにかく安く買いたがる人も一定数いる。 私は相手のプロフィールを確認する。 どうしても評価が低かったり、出品している品物の質が著しく悪かったりすることが多い。 これは要するに、安物買いの銭失いではないだろうか。 は新品で買うことにどれだけのメリットがあるのか、知らない人が多い。 私がどれだけ力説しても単純計算と浅い打算で「割に合わない」の一点張り。 そして、そういう人がどんなを読んでいるのかというと、やはり10年経

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  • 考える日々 - はてなブログ大学文学部

    タイトルが浮かばない時はとりあえずこのタイトルでいこうかなと思うところです。 さて、最近の読書体験からひとつ見えてくるものがあったので、少し紹介したいと思います。 社会学者ブルデューは著書『ディスタンクシオン』において、「ハビトゥス」という概念を提唱しました。 人が無自覚的に行う思考や行動は「階級(≒社会的地位や文化)」に左右されるということです。 また、心理学では「スキーマ」という用語があり、これは自己の価値観の軸のようなものです。 つまり、このスキーマが所属する階級によって定まる可能性があるわけです。 心理学は、現時点ではスキーマに関して社会学と横断する研究は進んでいないはずです。 何故このようなことを書くのかというと、ジュンク堂池袋店にてあるを立ち読みしたのですが、人間の能力は思春期にまでにほぼ決まるということが証明されたと書いてあったのです。 もし誤りがあれば訂正致します。

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  • 読書日記235 - はてなブログ大学文学部

    原田和広『実存的貧困』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 承認と就職活動について書かれていた。 書では、人から褒められた経験が少ない人はパワーレス (≒無力感、無気力) に陥るリスクがあることが示唆された。 萎縮してしまい、1社落ちただけでもう自信を無くしてしまう。 「褒められると伸びるタイプ」 というフレーズがある。 これはホネット「承認論」から見れば、恐らく重要なポイントが隠れている。 三つ子の魂百まで、という言葉は心理学的にも正しいように僕は感じる。 この幼い時期に承認が欠けると、もしかすればその後も自信を失いがちで、承認の貧困状態 (≒自己効力感の低い状態) に陥るかもしれない。 つまり、褒められると伸びるというのは人間の質であるかもしれない。 この効果を生むには幼い頃の承認の量にかかっているかもしれない。 「学習性無力感」という心理学用語

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  • 読書日記229 - はてなブログ大学文学部

    雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』のつづきをよむ。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今週、また同じ悲劇が繰り返された。 飛び降り自殺を行った人に「一人で死んでくれ」といった意見が出た。 僕は考えた。 結論は、「批判の対象が間違っている。」であった。 塵も積もれば山となる。 「一人で死んでくれ」という言葉が積もってテロになる。 そうではないだろうか。 それが不寛容の素地ではないだろうか。 だからこそ言葉を大事にしなければならない。 思わないようにすることは、感情面から難しい。 ただ、言わないことはできる。理性はある。 巻き込み自殺が消えない背景をもっと考えねばならない。 一人で死んでくれ、とネットで発言しているような人がテロに巻き込まれる可能性は今後も十分にある。 小さな世界で喧嘩している場合ではない。 例えば、世界で最も人を殺している生き物は蚊とされる。 ネットで誤

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  • 読書日記223 - はてなブログ大学文学部

    斎藤孝平『人新世「資論』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 書を読み進めると、斎藤氏の構想の輪郭が見えてくる。 彼は思想家スラヴォイ・ジジェクの意見を参考にしながら、政策や法整備の有効性について疑問視をする。 政府が主導するやり方以外で持続可能な社会を目指す方法を模索しているだと分かった。 書によれば現在、世界では「MEGA」と呼ばれる新しい『マルクス・エンゲルス全集』の刊行が始まっているみたいである。 マルクスが残した知を復活させ、「エコ社会主義」として再生させようと目論む構想である。 かくして斎藤孝平氏は「脱成長コミュニズム」というものを提唱する。 次回以降そのさわり部分を整理したい。 ここまで、個人的には野心的なエネルギーを感じてはいるものの、池田晶子氏が指摘するように、哲学からみたマルクスはヘーゲルを誤読しているみたいであるので、当に

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  • 格差問題や差別問題などについて - はてなブログ大学文学部

    プラトンの『国家』を読み終えていろいろと思いをめぐらせる。 紀伊国屋書店に入る。 社会や政治のコーナーに立つ。 慶應義塾大学出版会から『格差と闘え』というが新しく出ている。 少しだけ立ち読み。 「格差問題を解決する方法はある」と書いてあった。 トマピケティのを同時に想起する。 r > g 経済成長よりも資の収益率が上回る。 『トマピケティ以後』という、ピケティの批評書も存在する。 何が正しいのか。 何が正しくないのか。 ハッキリ言って、専門家でもどうしようもないように見える。 「直観力」 僕はこの力に委ねられると考える。 例えば、資家はそもそも能力があったのだから歴史的に資を拡大させてきたのは当然ではないか、という思いも多少ある。 分配は正義か。否か。 最先端のとは言え、情報は情報だ。 10年経てば5000円のが1500円くらいになってしまう。 常に状況は変わり、10年前の経

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  • 読書日記169 - はてなブログ大学文学部

    岡崎乾二郎『抽象の力:近代芸術の解析』亜紀書房(2018年) エリック・カンデル『脳はなぜアートがわかるのか:現代美術史から学ぶ脳科学入門』青土社(2019年)を読む。 『抽象の力』によれば、日においても発生したキュビスムは、単に西洋を模倣したのではなく、なかば必然的に発生したのだそうだ。つまり同時発生的に日いおいてもキュビスムが確認された。 書によれば、日にもキュビスムが生まれる土台は整っていたとされる。 『脳はなぜアートがわかるのか』においては、脳のボトムアップ処理とトップダウン処理が視覚システムとして説明できるとされる。 低次と中間の情報は先天的なもので、魔術的に視野を作り出す。トップダウン処理は後天的なもので、これは解釈にあたる。 顔の識別機能に関しては、幼少期から驚くべき能力を人間はみせつける。 光学、神経科学などあらゆる領域からその原理に関して説明がなされる。 脳科学と

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  • 『僕を育ててくれたテンダー・バー』を観る - はてなブログ大学文学部

    間違って削除してしまいました。 もう一度書きます。 画像引用:映画.com http://www.eiga.com/movie/96337/ あらすじ(ざっくり) 主人公は作家になることを夢見る。 大学に合格したあとはシドニーという女性に惚れる。 しかし、ことごとく振られる。 そこで作家になって大成すれば振り向いてもらえると勘ぐる。 そしてニューヨークタイムズの記者になるべく面接へ・・・ 僕は端的に、記者と作家は違うと思っている。 たしかに両者は「もの書き」である。 しかしジャンルが違う。 書く内容も全く違う。 「経験がない」 そう指摘される主人公。 経験。 記者に経験は必要。 でも作家はどうなのだろうか。 作家になるにはどうすれば良いのか。 実は「運」でしかないことは某作家が言っている。 とはいえジャック・ロンドン『マーティン・イーデン』のように努力が形になった例もある。 作家とはなにか

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  • 仕事探し - はてなブログ大学文学部

    退職をしてから1年が過ぎました。 認知行動療法という名の補助輪を外しても、なんとか1年間平穏に暮らせることができました。 問題はフルタイムで戻るかどうかです。 僕は迷わずフルタイムでいきます。 世の中は往々にして不寛容だからです。 35歳という謎の年齢制限。 裏を返せば、人生いくらでも失敗しても構わない、でも35歳までには自分なりに答えを出しなさい、と言われている気がするのです。 リハビリのためにバイトしてたらもう時既に遅しじゃないですか。 そんなことしている場合なのでしょうか。 次の職探しは慎重に慎重に、慎重にいきます。 非正規でいるよりは正規でいたいのです。 作家になりたいからといって非正規でいる意味はありません。 アイデアは心の余裕からでしか生まれないような気もします。 とはいえ、敬愛するフランツ・カフカ氏は最後まで絶望のまま偉大な作品を残していますが。 最後まで人生は何が起きるかわ

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  • 缶チューハイと貧困の哲学。「希望回路」及び「拡大ー構築理論」による希望的省察。 - はてなブログ大学文学部

    参考文献:小林正弥『ポジティブ心理学 科学的メンタルウェルネス入門』講談社選書メチエ(2021年) 幸福度というものがコロナ禍以降にわりと重要になってくるのではないか、というのが僕の見立てである。理由としては以下が挙げられる。 ・先行きの見えない漠然とした不安が蔓延っている ・雇用不安 ・メリトクラシーの台頭 ・大企業等、副業解禁による事実上の終身雇用の終焉 ・トマピケティが明らかにした、格差原理 ・市場原理が恋愛にも蔓延る→恋愛のネオリベ化 など ここで、ポジティブ心理学と哲学をかいつまみながら、まだまだ希望的な考え方を持てる可能性があることを示したい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 実証的に、「利他」が幸福度を上げることが示されている。 幸福度というと抽象的にみえるかもしれないが、たとえば、これはアンケートなどで「今気分は優れていますか?」「

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  • ただの日記です - はてなブログ大学文学部

    さすがに、読書ばかりしている自分に問うてみました。 「このまましばらく読書漬けでいいのか、ルーティン化してしまって機械的に生きていないのか」と。 僕はルーティンを嫌い、その日に合った行動を瞬時に判断し遂行することを良しとしていました。 ところが、その確認作業が次第に機械的になっているような感覚がありました。 そんななかミュウさんのコメントを頂いたわけです。 感謝です。 久しぶりにピアノを再開しました。 FINAL FANTASYが大好きです。 もっぱらゲーム音楽です。 そして今日、ストリートピアノで演奏してきました。 思うように指が、手が、頭が働かずうまく演奏できませんでした。 それでもなんとか2周しました。 曲名は「プレリュード」をまず弾いたあと、FF9の「テラ」です。 演奏中は誰が聴いているのか、誰も聴いていないのか、誰も見ていないのかは確認できません。 演奏が終わったら拍手もなにもあ

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  • 読書日記122 - はてなブログ大学文学部

    池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 ツルゲーネフ『父と子』新潮文庫 夕方はこの二冊を読む。 池田氏が幸福についてこう書いている。 人は自ら不幸になりたいと思う人はいない。 「不幸になりたい」と思う人にとっての不幸とは「幸福」である。 故に人は幸福になりたく生きているのだと。 ところがアンケートで「今幸せですか?」と聞くと全員が「幸せです」とは答えない。 何故か。 池田氏は「欲することそのものが不幸である」と言う。 これはつまり、お金や名誉が幸福の象徴であるという刷り込みである。 個人的に思うことは、不幸の延長線上に幸福はない、ということである。 これはなかなか理解してもらえないと思うが敢えて言いたい。 例えば、人生が認識の無限的な連続であるならば、認識が永遠にプラスされつづけるということである。 物事の捉え方次第というお話で、何事もマイナスに受け止めるひとはマイナスを貯めつづけること

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  • 読書日記119 - はてなブログ大学文学部

    こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 印象に残ったことを書き残す。 僕は「汚職について」というエッセイがとても鋭い点をついていると感じた。 例えば、学校の先生や警官が女性問題で逮捕されたとする。 日常茶飯事だ。 「あってはならない」 と上の人間は言う。 ここで池田氏が突っ込む。 あってはならないという発言には、「ある」ということを「知っているから」出てくる言葉であると。 もっともだ。 会社員が同様の事件を起こしても「あってはならない」とは言われない。 ここに肩書き社会の構造が垣間見える。 僕の頭ではまだ難しいことは分からない。 ただ、肩書きが虚構のようなものであることはなんとなく感じる。 個人の事件には肩書きもなにも関係ない。個人の事件は「その人」の問題であって、肩書きの問題ではない。何かズレや勘違いを思わせる。 つづく

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  • 読書日記116 - はてなブログ大学文学部

    こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今回は死刑に関する対話で印象的であったことを書き残す。 池田氏は、死刑制度の是非に関しては「各々の思想」であると述べている。 死について考え抜いた哲学者でさえも、死刑制度に関して断言することは不可能と僕は解釈した。 僕はいったんゆっくり考え直した。 おそらく「必要悪」の部類であると考えられる。 池田氏は法律のない世の中が実現可能かどうかという問いに対して「不可能ではない」と述べた。 究極的には、善人で構成される共同体に法律という概念は不要であるという帰結なのかもしれないと僕は思った。 「悪」と分かっていながらもそれを許容するという社会の矛盾性。 しかし何が「悪」なのかを、人々は直感レベルで知っているということになる。 不思議なことに、それは人に教えられたものではなく、先天的に「知っている」のである。 法律

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  • 『善と悪のパラドックス』第三章 家畜化 - はてなブログ大学文学部

    こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 二章では脳科学から暴力について考察された。 扁桃体は感情の抑制機能を司る。扁桃体がうまく機能しなければ感情は抑制されず暴力に繋がる。 また、大脳辺縁系がネットワークが活発な脳は感情の起伏が激しい。 セロトニンの受容体やテストステロンも暴力と関係がある。 いずれにせよ、人間は暴力に至るまでの閾値が他の類人猿よりも高い為、突発的に暴力に走ることは野生の猿より少ない。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 三章は家畜化に関する長い間の議論の検討がなされた。 まず犬とオオカミに注目する。 「飼い慣らされた」状態と、「家畜化された」状態を考える。 例え飼い慣らされたとしても、オオカミの頭をポンと叩いたことによって大ケガをした例が紹介された。 一方で、一般的な野生の犬は「飼い慣らされ

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