いちかわ・たくじ/1962年生まれ。小説家。自閉症スペクトラムであることを公表している。新刊『ぼくが発達障害だからできたこと』(朝日新書)が6月13日発売(撮影/写真部・堀内慶太郎) この記事の写真をすべて見る 恋愛小説の旗手と呼ばれる市川拓司さん(53)。小説『いま、会いにゆきます』(2003年刊行、通称『いまあい』)をはじめ、映画化された3作の累計が250万部を超すベストセラー作家だ。10年ほど前に自身が発達障害の一つ、知的障害を伴わない「アスペルガー症候群」(「自閉症スペクトラム」と総称)と知った。 雑誌の取材を受けていた時、発達障害に詳しいライターの品川裕香さんから「あなた、アスペルガーの人がよく使うワードをさっきから連発しているから、調べてもらったら」と言われてね。勧められたメンタルクリニックを受診すると、医師から「典型的なアスペルガーの症状を示している。ただし、市川さんは社会的