アニメ雑感アニメにおける再演。時として物語の普遍性や変化を描き、またその中で生き続けた登場人物たちの成長をも切り取ってくれるそれは、まさにそれまでに存在した全十数話の物語を圧縮した映像の重なりであり、だからこそそうして比較された序盤と終盤における1カット、1シーンの一つ一つからはそれこそ言葉に出来ないような感慨が溢れ出るのではないかと思います。 「ああ、彼女たちは本当に成長した」 「もうきっと、ここから先は大丈夫」 「だから彼女たちはこれまでも、これからも。そうして足並を揃えた生きていくのだろう」 そんな、まるで胸に突き刺さるような想いをある種の感動共にもたらしてくれる“繰り返し”の美しさ。 それはとても雄弁でいて寡黙な、まさしく映像の妙味とも言うべき心地の良い魅せ方でもあるのでしょう。 特に 『あいうら』 における12話(最終回)から1話へ向けての再演は何度観ても素晴らしいものがありまし
新美南吉 ごん狐 - 青空文庫 まず最初が良い。一段落めで、語り手が伝聞であることを明かす。二段落めは、背景説明。三段落めになると、「私」が消え「ごん」が現れる。四段落めで、物語が始まる。五段落め、「ごんは、ほっとして穴からはい出ました」。語りがごんに寄り添う。ズームインしてピントを合わせる、流れるようなカメラワーク。 それに対して終わりの引きは急だ。最後の場面、ここまでごんに寄り添っていた語りが急に転回し、「兵十は、ふと顔をあげました」。ここから兵十の決断は早い。狐を認めると、「ようし。」の一言ですぐに発砲する。最初のなめらかさと、最後の唐突さ。いきなり撃たれたという印象がごんへの同情を誘う。かわいそうなごん! 償いに来たことが伝えられさえすれば! 兵十さん厳しすぎ! しかし兵十が撃ったのは充分に合理的な行動だった。それはもちろんごんが撃たれて当然のことをしたからではない(そういう感想は
アバンがないアニメの場合、 その作品にとって、OPは最初に見せる映像ということになる。 それは、その作品がどういう作品であるかとを示す 作品の顔であり、 その作品の「格」を示すものでもあり 非情に重要だ。 そのため、多くのアニメではOP用にスペシャルな演出家や原画マンを呼んだり、 特徴的な歌手・楽曲・詩を用意したりと、 その作品の全てをOPへと凝縮する。 あるいは、そういったことを逆手にとった「OP詐欺」なども存在する。 それもいわば「このアニメはOP詐欺をするようなアニメなんですよ」という宣言であり、 やはり重要だ。 「あいうらのOPがなぜ蟹なのか」 これはあいうらのOPを見た多くの人が疑問に思ったはずだ。 私も最初は分からなかった。 放映初期にそれを分析しようとしたものとして ストレンジャーさんの http://d.hatena.ne.jp/tunderealrovski/201304
あいうら11話。 これ! おっと間違えました。 いや、このカットも凄いんだけど、(恐らく小木曽さん) それよりも11話はこのカット! 動いてるんですよ、背景が! 最初、何が起こっているのかわかりませんでしたね。 背景が恐らく3段かそれ以上になっていてそれをそれぞれ動かしているのでしょう。 劇場版ウテナの動く校舎に近いですが、 あれよりも、もっとゆっくりと、しかもパースに合わせて動かしているように見えますね。 技術的には、CGガイド付きのレイアウトで背景を作って、 それをCGガイドに従って撮影で動かしているのかな? 傘もCGですし。 今はCGガイドレイアウト・写真レイアウトも多いですが、 その場合は、そのリアリティに合わせて背景自体も写真風のリアリティが高いものがほとんど。 このあいうら11話の、「絵」としての魅力を残したまま、それをCG的に動かすというのは、 まさに「ギャップ」の発想、で
あいうら6話を視聴。今回も面白い。 そして今回は、この作品に対する自分なりの回答、 「あいうらは違和感でできている」ことの発見に気づけたのが良かった。 この記事ではこの違和感について語りたい。 まず今回の話は、勉強のために3人かなかなの家を訪れ かなかなの弟の天谷颯太と交流する話。 そしてゆっこんがかなかなの部屋を見た後で、 やはり颯太の部屋を使わせてほしい事を示す時のカット。 このカットが今回の発見だった。 いきなりの抽象度の高い背景。この背景には驚いた。 今まではきちんと部屋内外が描かれていたが、 こと一番上のカットに限っては一気に抽象性が上昇した描かれ方をしており キャラクターの関係に特化して描かれているといっても良い。 また上記の抽象的な背景のカットは、一つ目のEDに入る前フリでもあるため きちんと描かれた背景から抽象的に描かれた背景への転調で落差をつけることで、 一種の落ち/オチ
個人的に気になったあいうらに関する記事等と所感をつらつらと。 今後も見つけ次第更新する(予定)。 (2013/5/18) OPカニ☆Do-Luck!とはなんなのか あいうらと言えばまずOPカニ☆Do-Luck!を外すわけにはいかない。 カニカニカニカニ! …謎だらけの「あいうら」主題歌「カニ☆Do-Luck!」を考える - さよならストレンジャー・ザン・パラダイス 何回聴き返してみても、どう考えてみても謎だらけの曲です。「何故、5分のショートアニメというフォーマットの中でたっぷり1分もOPに使うのか?」「何故、唐突にスティーブ・ジョブズが出てくるのか?」「何故、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品をパロディにしたのか?」「そもそも、何故、蟹なのか?」。 ジョブズのパロディはわかったのですがアンディ・ウォーホルという方は知りませんでした。 ですがストレンジャーさんの記事を見ると明らかな
あいうらの机が横に長い、もしくは見なれない形ということに気づき 前にあいうらの机問題を考えるという記事を書いた。 今回はこの記事を書いた後に教えていただいた情報を交えて考えたい。 まずはてぶのコメント欄から、 この机はクリエイティブテーブルではないかという指摘が入った。 これがクリエイティブテーブル。確かに近い形だ。ただ引き出しがない。 またコメントを頂いたfaiさんからは、あいうら机の近い形の商品URLを教えてもらった。 参考URL:http://www.tradekorea.com/product-detail/P00025361/HI_SCHOOLSET_006.html おぉ確かに。 また、ぬるオタが斬るの管理人、西尾西男さんから頂いたコメントによると、 「あいうら」はスタッフつながりで「ねらわれた学園」の美術設定を流用しているという噂があったので、「ねらわれた学園」のポスターやロ
はじめに あいうらには机問題がある。今回はこの事を取り上げる。 元々この記事を書こうとしたキッカケは、 あいうらの学校に出てくる机の大きさ/横幅が気になって、検証したいからであった。 以上のように学校机にしては横幅が広く、横長だと思った。 少なくとも私自身の学校経験では、学校でこんな横幅の机はなかった。 ただもしかすると、今の学校だったらこうした規格のもあるのかもとは思った。 以上の事を思いながら、1話~5話までを振り返っていたのだが・・・ しかし5話の以下のシーンを見て、少し考えが変わった。 彩生のフトモモに気を取られてしまったが、この机の形は・・・ 丸で囲った部分を見るように、机が四角ではない事がわかる。 こういう変な形の机もあるのだろうか。これも気になってきた。 以上を踏まえて、 ・横長の机 ・5話で彩生が座っていた変な形の机 この二つについて取り上げる。 そして1話~5話を見返した
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 ※この記事は解決済みです。たくさんのご意見ありがとうございました。 中村亮介ははっきり言うとまったく知らなくて、ねらわれた学園が話題になったのに話についていけずもどかしい気分に なのであいうらは知るいい機会だと思って視聴しているんですがなんかどうもおかしい気がするのです… よくあると言えばよくあるが… 最初は気にし過ぎだろうと思ってたのですがそのまま5話まで引きずってきてるので流石に言及しておきたいと思った構図です 技術的なことはめんどいので言いませんが嘘っぱち構図です(地面が凸凹ならあり得ますが) とは言えこういう地面が入らない場所でも入るレイアウトはアニメだと結構あって 一番最初に思いつくのが川口敬一郎さんです(つい最近だとレヴィアタンのイマさん回にもありました) 個人的に川
彼女はなにを見ているのだろうか? あいうら一話は徹底的にロングショットで画がつくられていた。 唯一許されたアップショットもバストショットの二度だけ。それもアバンとエンディング後のCパートのみである。本編では徹底して彼女から引いて画をつくっている。これはどういうことだろうか? 引いた映像は彼女の行動のすべてが見える。彼女を取り巻くすべてが見える。 だが、引いてしまうと一つ見えなくなってしまうものがある。 彼女の視界だ。彼女はどんなものを見て、どういう世界の見え方をしているのか。それが引いた映像では見えない。 普通のアニメは登場人物の視点でのカメラが入る。POV(主観ショット、カメラの視線と登場人物の視線を一致させるようなカメラワークのこと)ではないにしても、登場人物の目と同じ高さのカメラなどを使って、登場人物の見ている映像と視聴者が見る映像をある程度リンクさせるようにしている。これにより視聴
毎年のことだけど、この時期は仕事が忙しくて、 記事を書くのが億劫になってしまう。 今期も色々と面白いからもうちょっと書きたいんだけど。 というわけで、「あいうら」 時間のない私にぴったりの優秀な5分アニメ なにが優秀って、あいうらは1本に少なくとも3カットは素晴らしいのがある! あいうらの本編部分は実質3分だから、 実に1分に1回はグッとくるカットがあるということになる。 この密度は素晴らしい。 1話から見ていこう。 まずはこれ フトモモ!フトモモ!!フトモモ!!!(ヤマカンの妄想ノオト風に) 久々に「脚アニメ」が来たな!という印象 かつては、アニメ様提唱の「3大脚メーター」として 沖浦さん、山内(則康)さん、平松(禎史)さんの3忍が君臨していた。、 (参考:http://www.style.fm/log/01_talk/okiura03.html) 比較的近年であれば、平松さんがエンジェ
5分枠アニメ『あいうら』が凄い。毎回OPの衝撃冷めぬうちに終わってしまうのだけれど、ついついリピートしたくなる中毒性といい、クセになるショートアニメだ。『ねらわれた学園』の中村亮介監督が作る短編テレビシリーズ、どんな仕掛けがフィルムに乗るのだろうと思っていたら、案の定カット割り、フレームワークに驚かされた。乱暴にまとめてしまえば「情報量のコントロール」に尽きると思うのだけど、本編は全体的にロングショットが基調とされ、クローズアップが使われない。ケースバイケースで今後使われることもあるかもしれないが、カメラと被写体の間にある空気感、彼女たちに寄りすぎない距離感を意図的に作り出そうとしているのだろう。中村亮介監督の目指すフィルム感がゆくりなしに伝わってくる中、映像的に「引き」を細かく作る誠実さが魅力。意外と“寄った”ように見えた第2話もバストショット辺りのフレーミングで収めていた。最も寄ったの
カニカニカニカニ! カニカニカニカニ!! …テレビアニメ「あいうら」を観ました。まぁ、何に驚いたかってあのOP曲です。素晴らしい美術背景、穏やかなシナリオ、可愛いキャラクター…そんな本編のエモーションを全部根底からひっくり返すかの如きハチャメチャなOP曲。 アレは一体何なんでしょう? 何回聴き返してみても、どう考えてみても謎だらけの曲です。「何故、5分のショートアニメというフォーマットの中でたっぷり1分もOPに使うのか?」「何故、唐突にスティーブ・ジョブズが出てくるのか?」「何故、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品をパロディにしたのか?」「そもそも、何故、蟹なのか?」。疑問点を列挙していくと益々、本作のOP曲「カニ☆Do-Luck!」のカオティック度合いが極まってきます。 ひたすら「蟹蟹蟹蟹!」と連呼する歌詞もインパクト大なこのナンバー。そんなこんなで、今回のエントリでは、この「あ
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