<トランプ大統領が決定したシリア駐留米軍の即時完全撤退。シリアでのこれまでの米国の政策を振り返りつつ、その決定の意味を考える> 米ホワイト・ハウスは12月19日、シリアに駐留米軍の即時完全撤退を決定し、一部の部隊の撤退を開始したと発表した。この決定は、政権内の不協和音やドナルド・トランプ大統領の独断と捉えられ、米国政治の文脈のなかで語られることが多い。だが、当のシリアにとって、それはどのような意味を持つのか? 米国の政策によって助長されてきたシリア内戦の複雑さ 有志連合を率いてイスラーム国に対する爆撃を行ってきた米国が、バラク・オバマ前政権時代からシリアに特殊部隊や国務省職員を駐留させてきたことは意外と知られていない。その第1の目的は、いわゆる「穏健な反体制派」の支援にあった。だが「独裁」打倒をめざしていたはずの武装集団が、シャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放機構)に代表されるアル=カ