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ブックマーク / magazine-k.jp (14)

  • ロジスティックス革命と1940年体制の終わり

    「マガジン航」のエディターズ・ノートは毎月1日に公開することにしているのだが、今月はどうしても考えがまとまらないまま最初の週末を越えてしまった。理由はほかでもない、出版物流の限界がはっきりと露呈してきたからであり、それを前提とした出版産業の未来をポジティブに考えることが難しいと思えたからである。 取次自身が認めたシステム崩壊 出版関係者の多くが読んでいると思われる二つのネット連載が、この問題に触れている。まず小田光雄氏の「出版状況クロニクル」は6月1日の記事(第121回)で「新文化」(4月26日付)や「文化通信」(5月21日付)などが伝えた大手取次のトーハン、日販の経営者の生々しい発言を紹介している。 「出版業界は未曽有の事態が起こりつつある」(トーハン・藤井武彦社長) 「取次業は崩壊の危機にある」(日販・平林彰社長) こうした大仰な発言の背景にあるのは、取次という出版流通ビジネスの屋台骨

    ロジスティックス革命と1940年体制の終わり
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    amashio 2018/06/04
  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

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    amashio 2017/09/01
  • 第1回 Kindle Unlimitedは貧乏大学院生への福音となるか?

    人は千差万別な事情があって大学院に通うことになるわけで、理由や動機はともかく入ってしまったが最後、史料/資料を集めることからは逃げられない。これには万人が同意してくださるところであろう。 今回、連載の機会をいただいたので、現役大学院生の図書利用術を、電子書籍やデジタルアーカイブを含めて紹介してみたい。名づけて「アーカイブ・ハック」、ようするにケチケチ利用術である。 「借りるより、ポチってしまえ 、ホトトギス」 新幹線片道2時間半の通信制大学院に遠距離通学しているため、大学の図書館はほぼ利用できない。先日、所属大学図書館で借りてみた(1冊2,400円の)のだが、約月イチでの登校なので、期限である3週間に返却は間に合わない。期限切れになると同時に、ご丁寧に電話での「返却願い」が留守電で入る。返却したところ今度は「あなたの返却には不備がありました」とのメールがわざわざ送信されるほどの手厚さだ。

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    amashio 2016/08/23
  • 第1回 モビリティの時代のメディアを探して

    この5月の大型連休に帰省し、地元のゆるキャラやB級グルメをことさらに宣伝するPR冊子を手にとっては捨て、いつものように普段の仕事がある都会に戻ってきた人も多いだろう。よくある行政発行のフリーペーパーを見ると、そこそこの予算や人員がかかっているのに(市民の税金で)、デザインも内容も、残念なものが多い。 地域創生、コミュニティの再生が叫ばれ、地方自治体はこぞって中心市街地活性化事業や、観光客誘致を展開している。だが、多くの場合、それらは地域の経済を活性・再生することに重点が置かれている。一時の“経済”が、“地域に根ざした文化”そのものよりも優先され、人を惹きつけるデザインや地元のとっておきのストーリーを紡ぐ文章よりも、いま、地元が一押しの商品・観光資源”を前面に押し出すことが重視されてしまう。 そこには、宣伝広告とメディアの区別がない。“どんなメッセージを、誰にどのように届けるか”という一連の

    第1回 モビリティの時代のメディアを探して
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    amashio 2016/06/02
  • ローカリティから生まれる声

    「マガジン航」で久しぶりに新しい連載「ローカルメディアというフロンティアへ」をはじめた。書き手の影山裕樹さんとは、以前に私が『編集進化論〜editするのは誰か?』というをつくったときにその版元の編集者として知り合い、フリーランスになられた後も、彼の活動に注目していた。 影山さんはこれまでに、さまざまな地域で行われている芸術祭にかかわる仕事も多く手がけてきた。なかでも十和田奥入瀬芸術祭についての、『十和田、奥入瀬 水と土地をめぐる旅』はみごとだったから、こういうをつくるにはどうしたらいいのか、いつか直接、彼に伺いたいと思っていた。そうしたところ、まもなく『ローカルメディアのつくりかた 人と地域をつなぐ編集・デザイン・流通』(学芸出版社)を上梓するときいたので、このと連動した企画を一緒にやってみたいと考えたのだった。 “Think Global, Act Local”なメディアはどこに

    ローカリティから生まれる声
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    amashio 2016/06/02
  • 京都の「街の本屋」が独立した理由〜堀部篤史さんに聞く【前編】

    「レコードはビニールがいい」「は紙がいい」というアナログ信仰の話題には傷気味だが、事態はさらに一歩進み、いまや作品や資料は物理的に所有するのではなくクラウド上に保存、あるいはネットの情報を参照することが一般的となった。データ化された作品や資料は最安値で、場合によっては無償で、即座に手元のPCやスマートフォンなどのデバイスに届けられる。 そうしたなか、地域に密着して屋やレコード屋などを営んできた個人店は次々と姿を消していった。高効率なネット流通や高度なマーケティング戦略を前に、昔ながらの対面販売は歯が立たないようにみえる。 だがその一方で、この状況を逆手にとって健闘し、高い評価を得ている店舗も少なくない。豊富な品揃えと独自の棚作り、趣ある店作りで多くのファンを持つ京都の書店、恵文社一乗寺店もそのひとつだ。京都のカルチャースポットとして多くのメディアで紹介され、店長の堀部篤史さんは自らも

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    amashio 2015/11/01
  • 大学は《自由》だから息苦しい

    なんとも溜息の出るを読んでしまった。 近代日文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。 溜息の原因は、文系学問に対してほとんど敬意のない文科省やその主張を後押しする世の空気感を改めて確認したことも当然ある。ただ、それ以上にがっかりしてしまうのは、『いま、大学で何が起こっているのか』というが、好意的に書けば正論すぎて、率直に書けばフツーすぎて、単純にツマラナイということにある。 急いで断っておかねばならない。私は在野(大学に所属しない)研究者である。それ故、「ツマラナイ」などと書くと、官学者のものなどポジショニング的に

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    amashio 2015/07/15
  • 音楽教育理数系編入論【前篇】

    『学校で教えてくれない音楽』(大友良英著・岩波新書)という書名はトリッキーである。著者が意図したわけではないだろうが、言葉の(日語とは限らない)曖昧さが潜んでいるのである。 おそらく著者は、これを「学校で教えてくれない(種類の)音楽」という意味でつけたのだろう。しかし僕はこのタイトルを、半ば意識的に誤解して読み始めたのだった。つまりこれは、「学校で教えてくれない音楽(というもの)」についてのなのではないかと。 音楽学校を除いて、日のいわゆる「普通の」学校、小中高等学校で、音楽を教えないことは、誰もがうすうす気がついていると思う。 確かに、僕が公立の小中学校に通っていた時にも、「音楽」と称する授業はあった。「音楽室」と称する部屋さえあった。そのへやには音楽に使うもの――ピアノとか、ほかの楽器とか、楽譜立てとか――があって、黒板には五線が引いてあり、壁には作曲家の肖像画が飾られていた。さ

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    amashio 2015/06/04
  • NYタイムズはデジタル企業への脱皮をめざす

    ニューヨーク・タイムズの「Innovation」と題された社内資料であるエグゼクティブ・サマリーの存在がリークによって表に出て、出版界にいる人々の間で話題となった。その後、ソーシャルメディア情報サイトであるMashableがこのサマリーの完全版を入手した。その少し前、ニューヨーク・タイムズの編集主幹であるジル・エイブラムソンが突然解雇され、リークやMashableによる資料公表と解雇になにか繋がりがあるのではないかと憶測を呼んでいる。このエグゼクティブ・サマリーを読んでみた。 1851年に創刊されたニューヨーク・タイムズ。その後、ドイツからの移民の息子で優れた新聞社経営者であるアドルフ・オックスがこの新聞社を買収し世界でも一流の新聞に育て上げた。ニューヨークのタイムズスクエアは、アドルフがニューヨーク・タイムズを42丁目に移転したところからつけられた名前だ。 現在、アドルフの子孫であるサル

    NYタイムズはデジタル企業への脱皮をめざす
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    amashio 2014/06/25
  • 「日の丸プラットフォーム」の本質を見誤るな

    5月14日、KADOKAWAとDWANGOが経営統合を発表した。この合同発表会はニコニコ生放送にアーカイブされており、その概要も既報なので割愛するが、日経済新聞が「サブカルコンテンツをクールジャパンとして海外に発信」と報じたことに大きな違和感を覚えた(5月15日付「グーグルに挑む角川ドワンゴ連合 世界制覇の勝算 」)。クールジャパン推進会議の委員にも名を連ねた角川歴彦氏が、メディアに対して「日の丸プラットフォーム」を目指すと語ったことによる連想だと推測するが、正直ひどい誤解だと思う。 もちろん、そういった挑戦も今後取り組まれることの一端にはあるはずだが、今回の統合を「クールジャパンを発信」というキーワードで括ってしまっては質を大きく見誤ることになる。 この経営統合は、スマートフォンの普及に端を発した出版環境の激変に対する、出版「社」としての最適解だったと捉えるべきだ(社に括弧を付けてい

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    amashio 2014/05/18
  • ワシントン・ポストをベゾスが買ったワケ

    アマゾンCEOのジェフ・ベゾスがワシントン・ポスト紙を買収、というニュースに椅子から転げ落ちた。ポストの記者もI was floored.とツイッターでつぶやいていたので、誰にとっても青天の霹靂といったところだろう。 私は一瞬「アマゾンが?」と思ったのだが、これは間違いで、一説には250億ドルとも言われるベゾスの個人資産の中からワシントン・ポスト紙とその関連企業を2億5000万ドルで買い取ったという話。ってことは彼にとってはこの大金もお財布の1%というハシタ金。1万円持ってたから100円使ったった、みたいな。 とりあえずこのニュースのバックグランドを説明しよう。どういう影響がありそうかも。 首都ワシントンのリベラル系老舗紙 ワシントン・ポストは言わずと知れた創業135年という老舗。ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズと並び全米で影響力の大きい新聞で、社が首都ワシントンというのも

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    amashio 2013/08/07
  • キンドルを伏せて、街へ出よう

    今回は誌に寄稿する文章では珍しく個人的な話を書かせてもらいます。この間の週末、金曜と土曜に二日続けて「屋でを買った」話です。 それだけ? 基的にはそれだけです。しかし、実はこれは私にとって稀なことで、前にそれをやったのがいつだったか思い出せませんし、次はいつになるか見当もつきません。二日続けてとなると、もしかするともうないかもと思ったりします。 何を大げさなと呆れられるでしょうか。誌の読者は好きの人が多いでしょうからなおさらですが、私の場合、リアル屋——この表現もヘンですが、要はインターネット通販でなく実際の書店——でを買うこと自体かなり少なくなっているのです。 地方の屋でを買うということ 正直に書くと、もう5年以上前から新品は、CDやDVDだとほぼ十割、や雑誌も間違いなく九割方インターネット通販、つまりはAmazonで買っています。にしろCDにしろ自室にいながらに

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    amashio 2012/10/28
  • 第5回 自炊をめぐる逡巡

    今年の2月、約2000冊の蔵書を木造アパートの一室(4畳半)に移したところ、棚で床が埋まってしまった。万が一、床が抜けてしまったら、一階に住む大家が大けがをするかもしれない。そうなれば当然引っ越さねばならない。賠償をどうするのかという問題も出てくる。目隠しされて剣が峰に立たされてしまったような、いきなりの危機的状況に僕はうろたえた。引っ越しを終えた日の夜は床が抜けないか気が気でなく、あまり眠れなかった。結局、二つの突っ張り棚と約200冊を子と住んでいる自宅に移動させ、さらには438冊を緊急避難させた。 4月になり、このシリーズを書き始めたとき、前者の後始末の顛末については隠さずに書いた。しかし、後者の後始末の顛末については、次の通り、核心に触れないようにぼかして書くにとどめた。 438冊も4畳半からは緊急避難させていた。段ボール9箱、一箱あたり約15キロで、のべ約135キロ。

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    amashio 2012/10/23
  • 僕がDIYで本をつくる理由

    DIYというのは、たとえば「ログハウスなどをひとりで全部つくっちゃう」という意味合いのことだ。Do It Yourselfの略。そう、このDIY精神で「小説」を作っちゃえ、というのが、僕、荒木スミシ(noncafe books)である。 とにかくなんでも自分たちでやる。まず小説を書き、自ら編集し、それをデータ化し、行数や文字の間隔を決め、表紙もデザインし、なんと小説家なのに時には表紙イラストまで描き、流通も、書店営業も、すべて自分たちでやる。外注もなし。noncafe booksはそんな僕の活動をの明子がささやかに支えているというほんとに小さな形態である。 僕は過去に幻冬舎やメディア・ファクトリーから小説を出した経験があるものの、「作り」というのは、まったくの素人同然。も広告カタログの会社にいた経験があるので、パソコンは使えるものの、「作り」に関しては、なんの経験もない。いわば

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    amashio 2012/02/14
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