俺はちょっと変わった名字だ。 日本に100人くらいしかいないらしい。 ただそれを書くと特定されるので、ここでは道明寺としておく。 俺は密かにこの名字を誇りにしていた。 「すごい名前だね、かっこいい!」みたいに言われることが多いし、学校でも名字だけで注目された。 就職もちょっとそれで有利だったのではないかと思うくらいだ。 しかしこの前、母親と自分の先祖について話す機会があった。 すると母は家の家系図と戸籍謄本を出してきた。昔父親が資料を集めて家系図を作ったらしい。 すると、少しその家系図に違和感があった。ひいおばあちゃんあたりの名前がおかしい。 母に聞くと、こう答えた。 「ああ、これね。実は私達は道明寺ではないのよ」 「えっ?」 「名前は道明寺だけど、道明寺の血は流れてないの」 つまりこうだ。 俺のひいおばあちゃんは、結婚して男の子を生んだ。しかし戦争で夫を亡くした。 その後、道明寺という男
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