ある友人にこういわれてしまった。 「片渕さんのアニメは他のどれにも似ていなくて」 それ自体がひとつのジャンルなのだといってもよい、と。 「だから、それがなくなったら日本のアニメが一種類減ってしまいます」 アニメという世界にも多様性が必要なのだ、と。 ずいぶんと買いかぶられてしまっているのかもしれないが、「他のどれにも似ていなくて」ということには、そうかもしれないという自覚がある。同じであってはつまらないとも思う。 それゆえに、ふつうに敷かれたレールの上は歩めない。 いきなり映画館にかけたりはできない。こういう映画があるのだけれど、とまず誰かに観てもらうことから始めなくてはならない。その人たちに満足してもらい、黙っていられないような気持ちになってもらい、いいふらしてもらい、その声に動かされた別のどなたかが観てくれて、いつかそんな映画があるのだということが広く知られる日を迎えなくてはならない。