著者:ルシア・ベルリン翻訳:岸本 佐知子出版社:講談社装丁:単行本(322ページ)発売日:2019-07-10 ISBN-10:4065119294 ISBN-13:978-4065119297 鮮烈な印象残す物語タイトルは、収められた二十四の短篇(掌篇含む)の中の一作の表題から。こんな文章に読み手はびっくりする。 掃除婦が物を盗むのは本当だ。ただし雇い主が神経を尖らせているものは盗らない。 掃除婦の「わたし」は、認知症気味の雇い主が溜め込んでいる十五個もある瓶入りのゴマを一瓶盗んだ。それ以外に盗むのは、睡眠薬である。複数の家で働く彼女は、それぞれの家から集めた睡眠薬を三十錠持っている。バスに乗って、カリフォルニアのあちこちの家に行き、掃除をする彼女は、行く先々で、死んでしまった薬物中毒の夫、ターのことを考える――。 掃除婦は、小説の作者であるルシア・ベルリンが実際に、自分自身と四人の子ど