当時カメラはそんなに高価だったのか? 歴史修正主義者たちは、遠い過去となった当時の生活事情を記憶している人がいなくなっていくのをいいことに、様々な屁理屈をこねて虐殺の事実を否定しようとする。 この話もその一つで、1984年に宮崎県で発見され、朝日新聞で記事となった虐殺体験者の陣中日記を偽物と決めつけるために持ち出されたものだ。小林よしのり『戦争論』のネタ本の一つである『仕組まれた“南京大虐殺”』に出てくる。[1] 聯隊会の人々は、誰しもがこう思っていた。 一、虐殺など、聯隊の誰もが見たこともないし、聞いたこともない。したがって、そんな日記などあるわけがない。あるとすれば、後になって誰かが意図的に書いたに違いない。 (略) 三、それに鉛筆ならいざ知らず、インク書きとは不可解である。当時の万年筆は、インク瓶びんからスポイトでインクを入れるものしかなかったのだが、戦場にそうした道具を持ち歩くこと