政局が混乱するのは大統領制を採る国の方が多いが、これには単純な原因があって、議会と大統領がそれぞれ別個に選出されるため、行政府と立法府で民意の矛盾が生じやすいからである。 そのためフランスでは、大統領に国民投票対象法案提出権、議会の解散権など立法府権限を与え、「大統領による統制」を計っている。 アメリカ型の典型的な三権分立型の大統領制では、大統領は立法府に対する権限を基本的には持たないのだから、立法府において与党が少数になった時、行政府と立法府の対立が生じ、膠着・混乱状態に陥りやすい。 アメリカではそこまでの混乱が見られないのは、政党の拘束力が比較的弱い、連邦制である、大統領への心理的な求心力が強いなどの特殊な政治風土があるからである。 そうした政治文化がないところにアメリカ型の大統領制を持ち込めば統治機構が立ち往生するのは目に見えている。 一般的に言うならば、アメリカ型の大統領制はシステ