ブックマーク / agora-web.jp (43)

  • 「ひやっしー」と村木風海氏は現時点での日本の科学技術力の象徴か?

    化学者を自称するホリプロ所属の日のタレント、起業家、発明家である村木風海(かずみ)さんによる「ひやっしー」が政府やマスメディアに大々的に取り上げられ、日の科学技術もいよいよここまできたかと理系の研究者や理系の知識がある人たちからため息が上がっています。 「ひやっしー」は、部屋の中の二酸化炭素を減らして快適にする装置ということですが、実際には部屋の外により多くの二酸化炭素を排出してしまいます。これにより、自分の部屋は快適になりますが、地球全体では二酸化炭素が増え、温暖化や環境問題の解決にはならなりません。 参照:「ひやっしー」に研究者はどう対応すべきか 名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室 二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぐ触れ込みの「ひやっしー」の発明者ですね。製品の解説や特許なども彼のサイトでしっかり検討しましたが,話にならないオモチャです。回せば回すほど環境に悪い代物です。化

    「ひやっしー」と村木風海氏は現時点での日本の科学技術力の象徴か?
  • リニア中央新幹線って必要なの?

    いずれも東海道よりは早いが、飛行機よりは時間がかかります。飛行機の場合は20分前に手荷物検査があるので、それを含めると大阪まで85分ですが、リニアも手荷物検査が必要になる可能性があります(JRが検討中)。その場合は大阪まで107分です。 Q. 新幹線の乗客は増えるんでしょうか? 減るでしょう。図のように東海道新幹線の乗客はGDPとほぼ比例して増えましたが、2018年をピークに減っています。コロナの影響が大きかった2020~22年を除いても、ピークから20万人ぐらい減っています。 東海道新幹線の乗客数(日経ビジネス) Q. それはなぜですか? 第1に人口が減り、高齢化しているからです。大阪まで開通する2040年ごろには、人口は約1億人になり、そのうち4000万人が65歳以上の高齢者です。新幹線に乗る現役世代の人口は、ピークに比べて30%減る見通しです。 第2にコロナ以後はリモート会議が増えま

    リニア中央新幹線って必要なの?
  • 後期高齢者医療という巨大なモラルハザード

    岸田首相の変な減税案に「減税するのはそこじゃないだろ」という声がネット上でわいている。おまけに維新が「社会保険料の半年3割引」という珍プランを発表し、サラリーマンの負担率が30%を超えた社会保険料に注目が集まっている。 問題は所得税ではなく社会保険料 現状認識として正確なのは、国民民主党の玉木代表の話である。 社会保険とりわけ医療保険制度の説明をするようになってから、後期高齢者医療制度に他の保険制度(組合健保や協会けんぽ、国保)から巨額の支援金を出しているのはおかしいとの声をいただくことが増えた。… pic.twitter.com/XHiHcYUS2w — 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) October 29, 2023 このしくみの最大の問題は、サラリーマンの組合健保や市町村の国民健保とは別に、75歳以上の後期高齢者医療制度という別の医療保険をつくり、そ

    後期高齢者医療という巨大なモラルハザード
  • 元SEALDsって一生隠さないとダメなの?と思ったときに読む話

    関西地方の男性(29)は昨年12月、職場のテレビを見ていて、あるニュースが目に留まった。 岸田政権が、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記した安保関連3文書を閣議決定――。 「また通ったんだ」 男… 今回の記事は、当時盛り上げる側だった朝日新聞が、運動に対するネガティブな情報を紙面にしたことで話題となったようです。 ちなみに左派は「運動に対するマイナスイメージを広げるな!」という論調から、保守は「自分たちが持ち上げといて今さらさらすかね(苦笑)」というスタンスから批判的ですね。 左右両方から批判を集める記事って好き嫌いは別にして、なにかしらの質はついているんじゃないでしょうかね。 というわけで、今回はSEALDsのような学生運動とキャリアについてまとめておきたいと思います。キャリアという観点から見て、それは当に「隠さねばならない過去」なんでしょうか。 まったく話題にすらなっていなかっ

    元SEALDsって一生隠さないとダメなの?と思ったときに読む話
  • ジェンダーレス水着に思う:欧州のジェンダーレスを日本人は何も知らない

    このジェンダーレスの水着と言うのは男女同じようなデザインで、要するに夏場に着用するラッシュガードをスクール水着にしたデザインである。昭和初期から20年代位までの、映画の中で見かけるあの昔懐かしいデザインに似ており、ある意味先祖帰りしている印象だ。 またスポーツセンターでアクアビクスに参加する70代の我が母の水着にもそっくりである。オリンピック選手が着用する全身を応用なフィット感のあるプロ用のあのお高い水着とも違う。 しかし驚いたことに、日の学校でどう見ても競泳用ではない水着で授業をやるのだという。これはイギリス元欧州の感覚からするとドン引きである。 日ではジェンダーレスや性的平等が進んでいると言い張っている人々がいるイギリスや欧州では、むしろ水着に関しては性差をはっきりとさせるデザインが一般的だからだ。 体の線を出したくないとかジェンダーレス云々と言う事は全く通用しない。学校の水泳の授

    ジェンダーレス水着に思う:欧州のジェンダーレスを日本人は何も知らない
    aoiyotsuba
    aoiyotsuba 2022/09/12
    ジェンダーとその国の習俗がごっちゃになってるな。まあ、日本でも男は褌一丁で、女は海人さんみたいな服だった。今の日本のジェンダーレス水着は海人さんに寄せたようにも見えるよ。
  • 鈴木宗男氏に不都合な戦争の歴史

    6月12日の「ロシアの日」にロシア大使館で開催された式典でロシアとの友好を誓っていた鈴木宗男氏だが、さながら「日維新の会」ならぬ「日親露の会」代表と言うべき大活躍である。 鈴木氏の政治的立場については多くの方々がコメントしており、私自身もツィートした。 <引用>「「自前で戦えないのなら潔く関係諸国に停戦の仲立ちをお願いするのが賢明な判断と思うのだが」 ロシア通の政治家で知られているのに、プーチンに一言の意見をすることもできず申し訳ない、とお詫びするのが賢明な態度だと思うのだが。#Yahooニュースhttps://t.co/ZDNKj0sVkQ — 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) June 16, 2022 そこでここでは少し踏み込んだ話をしたい。「自前で戦えない」のなら、事実上の降伏とも言える形で停戦を申し出ることが妥当だ、という鈴木氏の主

    鈴木宗男氏に不都合な戦争の歴史
  • キラキラ・ダイバーシティの終焉:オープンレター「炎上」異聞

    IT・メディアRelaxing fire from turquoise aroma candle in water in darkness 昨年末の12月29日に連載を完結させて以来、私からは言及してこなかったオープンレター「女性差別的な文化を脱するために」(2021年4月4日付)が、今年に入って大炎上を起こしている。レターの内容と運用のどこに問題があるのかは、すでに同連載の中で端的にまとめておいたが、以下の新たな問題がその後、立て続けに発生/判明したからだ。 中心人物である北村紗衣氏(武蔵大学准教授)が、レターで名指しされる呉座勇一氏がレター批判者(與那覇を含む)と学術イベントで共演するのに際して、自由な発言を制約する弁護士書簡を送っていたこと(北村氏自身の主張はこちら)。 上記の経緯等について説明した呉座氏のはてなブログが、一部は北村氏の弁護士によるものと考えられる要請によって、凍結や

    キラキラ・ダイバーシティの終焉:オープンレター「炎上」異聞
  • 呉座勇一氏のオープンレター問題再炎上: お粗末なこの問題、悪しきキャンセルカルチャーを許すな

    呉座勇一氏に対する「オープンレター」に関して、署名した記憶がない人たちが、署名に名前を書かれていたということが明らかになりました。さらに、北村紗衣氏から「オープンレター」の経緯を批判する人たちの「職場」へ、内容証明郵便が送られていたことも分かりました。 そもそも名前を載せた記憶がないという人が出てきました。 今ツイッター上で話題のオープンレターに私の名前も載っていたのか。全く記憶にないのだけど。 https://t.co/dZLNkYjJYz — 高野秀行 (@daruma1021) January 19, 2022 【重要声明】私は呉座勇一氏を巡るオープンレターについて、「賛同人に私の名前がある」と昨年末ごろ辻田真佐憲氏より連絡を受けました。私が賛同人を受諾した事実も、呉座氏との面識もありません。マネージャーにも照会した結果、承諾の事実はありません。第三者による無断使用なら厳にお控え下さ

    呉座勇一氏のオープンレター問題再炎上: お粗末なこの問題、悪しきキャンセルカルチャーを許すな
  • そろそろPDFの多用を止めませんか

    IT・メディアThe write PDF in red 3D letters standing on a glossy black floor of a room, leaning at its blue wall - 3D rendering illustration PDFが大好きな人々がいる。総務省人事の報道発表には「1月15日付の総務省人事(2名)について、次のとおり発令しました。」とだけ書かれ、「次のとおり」をクリックするとPDFが表示され発令内容が読めるようになっている。 どうしてこんな面倒な方法を取っているのだろうか。 情報が変造されるのを防ぎたい、と説明する人がいる。しかし、世の中にはPDFの中身を書き換えたり、パスワードを消したりできるツールがいくらでもある。簡単なキーワード検索で無料ツールが入手できる。 どんなデバイスでも同じように表示したいため、と説明する人がいる。P

    そろそろPDFの多用を止めませんか
  • 日本学術会議問題で、法律家は法に従って議論しているか?

    学術会議会員の任命拒否問題が大きな話題となっている。率直に言って、過去に数々のスキャンダルを人工的な操作で作ってきたグループの特定メディアが、日ごろから政権批判を繰り返している学者たちと、お馴染みのキャンペーンをするために、新しい題材を見つけてきた、という印象は拭えない。当初は、私はたいして関心を持っていなかった。 もちろん論点がたくさんあるのは確かだろう。いずれも日社会に深く根差す深刻な問題だ。議論は数多くすればいい。私自身は、そのすべてに関わるつもりはない。ただ、ここでは法的問題についてだけ、少し書いておきたい。 というのは、菅首相によって任命拒否された6名の方々の中心が法律分野の方々であるのに対して、当事者の方々を含めた法律家の方々が真っ向から一斉に反政府運動を行い始めた、という構図が見え始めているからだ。任命拒否された6名の中でも、政治学者の宇野重規教授が「何も語ることはあり

    日本学術会議問題で、法律家は法に従って議論しているか?
  • 日本批判を繰り返す謎の海外在住日本人・渋谷健司氏の問題

    「政府の対応、海外が疑問視」「政府のコロナ対応、海外から批判続出」(朝日新聞)と言う記事が、波紋を呼んでいる。 イギリスのガーディアン紙とBBC 放送および韓国のハンギョレ新聞が、日PCR検査数の少なさを理由にして批判をしているという記事である。特にイギリスは世界2位の3万人の死者と、20万人以上の感染者を出しているので、日を批判している場合か、という反応が巻き起こったのである。 だが、よく見てみると、事情はいくぶん微妙である。この記事がとりあげている4月30日のBBCの記事でお馴染みの日批判をしているのは、毎度毎度のあの渋谷健司氏である。日のメディアでは「WHO事務局長上級顧問」の肩書で各種メディアで日批判を繰り返している渋谷氏だが、海外のメディアに登場する際には決して「WHO事務局長上級顧問」の肩書を使わない。 海外英語メディアでは、大学の肩書でなければ、「元WHO職員」

    日本批判を繰り返す謎の海外在住日本人・渋谷健司氏の問題
    aoiyotsuba
    aoiyotsuba 2020/05/09
    ショーンKの再来じゃないの? こっちの方が悪質だけど。
  • 望月衣塑子vs毎日新聞:一番悪いのは東京新聞(中日新聞)

    菅官房長官の定例記者会見で質問打ち切りが増えていることを巡り、東京新聞社会部の望月衣塑子記者がツイッターで、自分を指させないように官邸記者クラブが謀議していたかのように非難し、毎日新聞政治部官邸番の秋山信一記者がそれに猛反論する記事を書いたことが論争を呼んでいる。 「望月記者は指させない」…事実に反するツイート拡散 菅長官会見巡る異常事態(毎日新聞) 日新聞協会加盟の記者クラブメディアが同じクラブ加盟社の記者の言動に関して、犯罪でもないのに実名で報じること自体が異例だが、秋山記者の記事では望月記者のことを「会見に頻繁に参加する東京新聞の望月衣塑子氏」と書くなど、記者の呼称も使わず、ものすごい怨念を感じさせる。望月氏が官邸会見に参加しはじめて3年近くが経つが、その言動を巡っては、自社内を含めた政治部記者たちが眉をひそめ続けてきたのは確かで、とうとう事態がここまでに至ったと思わざるを得ない。

    望月衣塑子vs毎日新聞:一番悪いのは東京新聞(中日新聞)
    aoiyotsuba
    aoiyotsuba 2020/02/09
    東京新聞は自社の信用なんて関係ないって態度なんだろう。
  • 「ウィニー事件」弁護人の話に思う、平成日本の敗因

    先週末、政策研究大学院大学で開催された知的財産マネジメント研究会(Smips)で、ウィニー裁判で金子勇氏を弁護した壇俊光氏の話を聞いた。 昨年の投稿、「平成の敗北」と重なるウィニー開発者金子勇氏の悲劇(以下、「金子氏の悲劇」)では金子氏とのやりとりを以下のように紹介した。 2012年4月、幕張メッセで金子氏の講演を聴いた私は、質問の冒頭で、「金子さんは日人に生まれて不幸だったかもしれない。なぜなら欧米版ウィニーを開発した北欧の技術者は、金子さんのように後ろ向きの裁判に7年半も空費させられることなく、その後、無料インターネット電話のスカイプを開発して、億万長者になったからである」と述べた。 その時は、まだ若いので、これから十分取り戻せると思っていたが、1年後に42歳の若さで急逝した。 億万長者になった欧米の同じ技術の開発者 北欧の技術者はスウェーデン人のニクラス・センストロム氏とデンマーク

    「ウィニー事件」弁護人の話に思う、平成日本の敗因
  • 減少する熟練の技能…千葉の大停電、もうひとつの構造問題

    台風15号に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。昨日、仕事で千葉県南部を回りましたが、あちこちで建物や機器が倒れたり壊れたりしていて被害の甚大さを見せつけられました。とりわけ、停電は異例とも言えるほど長期間・大規模に渡っています。 上陸7日目の15日午前8時時点でなお約13万戸が停電していて、東京電力パワーグリッドは今日、千葉市緑区や君津市など16日や20日までのおおむね復旧を見込んでいた市町村の一部地区で、さらに計画が大幅に遅れると発表しました。逃げ水のように復旧メドが遠ざかっている現状に、被災者の忍耐もすでに限界にきていると危惧します。 このような状況に、ネット上では、情報管理や発信で後手に回るように見える東電を批判する論調がある一方で、復旧現場で東京電力の作業員が額に汗して働き続ける真摯な姿勢に敬服する論調に真っ二つに別れているように見受けられます。いずれも事実でしょう。 ま

    減少する熟練の技能…千葉の大停電、もうひとつの構造問題
  • 在日問題を知らないで「弱者の味方」を演じる人々

    ネットメディアにも、間違いだらけの「在日」の話が出てきた。 なんの罪もない人に「殺されるかもしれない」という恐怖を抱かせる差別的な言葉がテレビ番組でも、居酒屋でも語られる社会になってしまった。彼女の言うとおり、それはおかしいと声をあげていこう。 「私は在日3世」。彼女は手を震わせながら、渋谷で聴衆の前に立った。 https://t.co/dhx0WZjHwI — 古田大輔 (@masurakusuo) September 7, 2019 この記事では「在日コリアン3世」と自称する匿名の女性が「私たちはいま、生きるか死ぬかの瀬戸際にいると思っています」とか「連れ出されて殺されるってことも想像しています」などと妄想を語っているが、その具体的な根拠は何もない。 これを書いている記者も「どこの国にルーツを持つか、自分で変えることはできない」と書いているが、変えることはできる。帰化すれば、日国籍を

    在日問題を知らないで「弱者の味方」を演じる人々
  • 日韓基本条約は破棄できるか

    韓国のGSOMIA破棄は常識では理解できないが、日の経済制裁に経済で報復できないので、約束を破っていやがらせするぐらいしかないのだろう。日韓請求権協定は韓国大法院の「徴用工」判決で空文化したので、次に考えられるのは日韓基条約の破棄である。 そういう声は、韓国の与党にも出てきた。朝鮮日報(韓国語版)によると今月、韓国の元統一相、李在禎氏はこう述べて「65年韓日協定体制の清算」を求めた。 今日も私たち国民が日の侵略と植民支配が残した傷に対してどの謝罪も受けられずにいる最大の理由は、維新独裁政権[朴正熙政権]の屈辱的拙速な韓日基条約と請求権協定で、最初のボタンを掛け違えたためだ。 もともと日韓条約は、日でも韓国でも反対が多かった。韓国は日韓併合が国際法違反で無効だという立場から日の植民地支配への賠償を要求したが、日は日韓併合は有効だという立場だった。韓国では日韓条約に反対する学生運

    日韓基本条約は破棄できるか
  • 表現の不自由展中止:ヘタレ芸術監督とヘタレ知事の呆れた言い訳

    津田大介氏が世に問おうとしたこと 私は内心、津田大介氏や企画展「表現の不自由展・その後」の取り組みを応援していた。たとえ、一般の日国民とは考え方が異なる国賊のような人間でも、批判を覚悟で自分のスタンスを世に問おうとするならば、徹底してやればいいと思っていた。しかし、3日、津田氏は展示会を中止すると表明した。 「表現」というものは時に、受容者の激しい怒りや反発を招く。マルセル・デュシャンが1917年、『泉』(Fontaine)と題された男性用小便器のオブジェを発表しようとした(ニューヨークの「アンデパンダン」展に出品しようとしたが、出品を許可されなかった)。汚物をキャンバスに投げ付けるアートも登場した。芸術が権威や権力を愚弄し、それに反逆すること自体、多かれ少なかれ、芸術が来持つ内在的宿命である。 「表現の自由をはきちがえるな」という批判も多くあるが、そのような批判を誘発させることを、表

    表現の不自由展中止:ヘタレ芸術監督とヘタレ知事の呆れた言い訳
  • 慰安婦像は「表現の自由」の問題ではない

    あいちトリエンナーレの展示が論議を呼んでいる。名古屋市の河村市長は「平和の少女像」の展示中止を愛知県の大村知事(トリエンナーレ実行委員長)に要請し、これを受けて愛知県は少女像の展示を中止する方針を固めたようだ。 一般論としては、これは好ましくない。表現の自由は憲法に定める基的人権であり、作品を不快だと思う人がいたとしても、公権力で展示を禁止してはならない。今回の「表現の不自由」展は、今まで美術館で展示を拒否された作品を集めたものだという。 しかし芸術監督の津田大介氏が記者会見で「行政が展覧会の内容に介入するのは憲法21条で禁止された検閲にあたる」と主張したのは誤りである。憲法で禁じる検閲は、政府が表現を事前審査して不適当と判断した場合に発表を禁止することだが、今回の展示物は個人が他の場所で発表するのは自由だ。 問題はそこではない。 この少女像は、2011年にソウルの日大使館の前に設置さ

    慰安婦像は「表現の自由」の問題ではない
  • サムスンはなぜ中国からフッ化水素を調達したのか?(特別寄稿)

    稿の趣旨 前々回に続き前回の寄稿も好評を得たようなので、今回も引き続き一連の半導体材料の輸出管理見直しに関する分析記事を書かせていただこうと思う。 今回は随所で報じられている「サムスンが中国産のフッ化水素のテストを始めた」というニュースの背景について考察したい。 件については、特に今回の輸出管理見直しに関して疑問を持つ立場の方から、「ほら見たことか、韓国企業が代替材料を探し始めたじゃないか。だから言わんこっちゃない」というような趣旨の反応が多いように思えるが、仮に中国産の純度の落ちるフッ化水素をラインに使おうものなら工場の歩留まり(製造量に対する定格合格品の比率)は大幅に落ちざるを得なく、企業経営としてはかなりのマイナスになる。少し待てば日から個別輸出許可が降りてフッ化水素が入ってくる見込みが十分あるのだから、来現段階でそれほど無理をする必要はない。 それにも関わらずサムスンが

    サムスンはなぜ中国からフッ化水素を調達したのか?(特別寄稿)
  • 呉座―八幡論争でわかったこと --- 岩井 秀一郎

    筆者はここ数日、日中世史学者の呉座勇一氏と、歴史作家の八幡和郎氏の応酬に注目してきた。筆者も一応、史学科(近現代史)の学生だったので、今をときめく呉座氏と八幡氏がどのような論争を行うか、興味があったのである。しかし残念ながら、これを「論争」と呼んでいいかどうか、非常に疑問である。 というのも、呉座氏が言葉は厳しいながらも八幡氏の思い違いを逐一指摘し、歴史学の基的な方法論を展開することでさながら簡単な「史学概論」の趣すら漂わせる論考を書くのに対し、八幡氏は最初からズレた事しか書いておらず、最終的には冷静さを失ったとしか思えない感情論をぶちまける仕儀と相成ったからである。 八幡氏は「呉座氏は百田・井沢氏より大胆な飛躍がお好き」において、次のように述べる。 もうひとつ呉座さんが分かってないと思うのは、自分が文献資料の分析だけのプロだということだ。だから、資料の発見とか整理や評価はプロのはずだ

    呉座―八幡論争でわかったこと --- 岩井 秀一郎