HOME / 特集 / 【立ち止まって、考える】第1話:「する」でも「される」でもない、もう一つの世界。「中動態」が教えてくれること ライター 嶌陽子 ある時、当店スタッフの松田に教えられ、1冊の本を手にしました。哲学者、國分功一郎(こくぶん こういちろう)さんによる『中動態の世界 意志と責任の考古学』。2017年に刊行されて大きな話題を呼び、今年に文庫化もされた本です。 自分で何かをする「能動態」でも、誰かに何かをされる「受動態」でもない、「中動態」という概念が古代の言語にはあった——。こうした内容を丹念に論じたこの本は、正直言ってとても難しく、読み進めるのに苦労しました。 ▲2017年に出版され、今年文庫化された『中動態の世界』(新潮文庫) けれど読んでいるうちに、日常で当然だと思っていたことを考え直したくなったのも事実。「中動態」という概念は、身のまわりのさまざまな出来事について考え
