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ブックマーク / dictionary.sanseido-publ.co.jp (238)

  • 第61回 「玻」は常用平易か(追補) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    最高裁の棄却決定 平成22年4月7日、最高裁判所第二小法廷は「玻南ちゃん事件」の許可抗告(平成21年(許)第42号)を、棄却しました。最高裁は、名古屋高裁の即時抗告審(第2回参照)の決定を支持し、「玻」を常用平易とは認めなかったのです。しかも最高裁は、「玻」は社会通念上明らかに常用平易な文字とは言えない、という点を判示しただけで、「穹」を子供の名づけに認めた高裁決定(第3回参照)との間の矛盾については、全く何も判断を示しませんでした。 また、同じ平成22年4月7日、最高裁判所第二小法廷は「玻南ちゃん事件」の特別抗告(平成21年(ク)第1105号)も、棄却しました。子供の名づけに使える漢字が常用漢字と人名用漢字に制限されていることは、何ら憲法違反ではない、という判断です。この点では、最高裁の過去の判例(昭和57年(ク)第272号・平成13年(ク)第250号など)を踏襲する結果になりました。た

    第61回 「玻」は常用平易か(追補) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2010/04/18
    14年も経ったらすっかり話題として忘れてそう… タイムマシンが欲しいw /↓id:tamtam3氏 大企業や役所の基幹系は未だにメインフレームとか大昔の電算機が鎮座してたりするケースが少なくないのでなんとも言えんです…
  • 第13回 デザインがどうかも、ばかにならない―小学生向け辞書選びの観点(1) 大きさ 重さ 表紙 書体 | 国語辞典入門(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム

    いささか前置きが長くなりました。では、ここで一気に場面を変えて、書店の辞典コーナーに移動しましょう。あなたは、小学生のお子さんとともに、学習国語辞典(学習辞典)を買いに来たところです。書棚を見渡せば、色とりどりの学習辞典が並んでいます。このうちどれを選べばいいか、実際にページを繰りながら考えましょう。 まず目に飛びこんでくるのは、デザインです。内容もさることながら、デザインがどうかということも、辞書を使う意欲を左右します。 たとえば、ドラえもんのことが心底から好きな子なら、『例解学習国語辞典 ドラえもん版』(小学館)を選べば、学習意欲が上がるかもしれません。ドラえもん版とは、表紙にキャラクターの絵がついている版のことです。内容は通常版と同じです。 辞書は、使う人が気に入ることが一番大事です。「どうしてもドラえもん」と言う子に、ほかの辞書を押しつけるのは考えものです。この場合はこれで購入決

    ardarim
    ardarim 2010/04/10
    『「楽しく学べる」と称して、マンガ形式の解説を入れる学習辞典が増えていますが、マンガの助けがなければ楽しくならないのか、疑問です』/低学年の教育には書体の違いも重要なのね/筆順分解って倉頡っぽい感じ
  • 第60回 「畄」と「留」と「畱」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表では、「留」の直後にカッコ書きで「畄」が示されていました。つまり「留(畄)」となっていたわけです。簡易字体の「畄」は、カッコ書きにはなっているものの、一般に使用して差し支えない、ということでした。 昭和21年4月27日、国語審議会に提出された常用漢字表1295字には、「留」が収録されていました。これに対し、文部省教科書局国語課は8月2日、常用漢字に関する主査委員会において、簡易字体の「畄」を収録するよう提案しました。しかし、主査委員会は8月27日の会議でこれを否決し、「留」のままでいくことを決定しました。旧字の「畱」と比べると、「畄」はあまりにも簡単すぎたのです。この結果、昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表1850字には、「留」が収録されていて、「畄」や「畱」はどこにもありませんでした。旧字の「畱」はカッコ書きにすらなってい

    第60回 「畄」と「留」と「畱」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • (16) 修辞表現:「いやみ」など | 『英語談話表現辞典』覚え書き(内田 聖二) | 三省堂 ことばのコラム

    前回は修辞表現としての皮肉(irony)をとりあげましたが、今回は「いやみ」にかかわる表現を考えてみたいと思います。日語の「皮肉」はかなり幅広い言語現象を指しますが、前回、一般的な言語学的定義として、「言っていることと反対のことを意味する表現」と皮肉を規定しました。このとらえ方を援用すると「いやみ」もうまく定義することができます。つまり、「真実のことを言って相手に不快感を与える表現」とするのです。前回の例を使うと、授業に遅刻してきた学生に「早いな」と言えば皮肉になりますが、「また遅刻か」と「事実」を言えばいやみになるということです。このような場合も広く「皮肉的」と言えますが、「事実関係」をもとにすると以上のように狭い意味の「皮肉」と「いやみ」を区別することができます。 この意の「いやみ」はその場、その場の事実に即して言うことでそのニュアンスが生じてきますので、定義を直接具現しているような

    (16) 修辞表現:「いやみ」など | 『英語談話表現辞典』覚え書き(内田 聖二) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第59回 「缶」と「罐」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表では、「雚」を部分字体に含む漢字に、簡易字体がカッコ書きで添えられていました。「權・灌・勸・歡・觀」には、それぞれ「権・潅・勧・歓・観」がカッコ書きで添えられていたのです。「罐」にも、同じようにカッコ書きで簡易字体(画像参照)が添えられていました。これらカッコ書きの簡易字体は、一般に使用して差し支えない、ということになっていました。ところが、昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表には、「罐」もその簡易字体も収録されていませんでした。そして、戸籍法が昭和23年1月1日に改正された結果、「罐」もその簡易字体も、子供の名づけに使えなくなってしまいました。 昭和52年1月21日、国語審議会は新漢字表試案を発表しました。新漢字表試案は、当用漢字に83字を追加し33字を削除する案で、1900字を収録していました。この追加案83字の中に、新字

    ardarim
    ardarim 2010/03/26
    『「缶」は本来「ほとぎ」という別の字であり、「かん」ではないのです』
  • 第34回 高度ながら知識不問の「PISA型」問題の答え 笑話による問題解決型読解教育――解答篇 | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    前回笑話を素材文にした場合の問題解決型読解について紹介した。最終課題は「笑話になるように、ほかの解決策を考えなさい」である。念のため、素材文のあらすじと、素材文における「問題―解決」を再掲する(*)。 物語「くらのとびら」のあらすじ おまぬけ村のお父さんとお母さんの話である。お父さんは、野良仕事をしている間に蔵のお金がドロボウに盗まれるのではないかと心配していた。そこで、お母さんに、家事をしながら蔵の扉を見張っているように命じた。お母さんは蔵の扉を見張っていたが、話し相手のお父さんがいないので退屈である。畑に行けばお父さんと話せるのだが、それでは蔵の扉を見張ることができない。そこで、お母さんは蔵の扉を取り外し、それを背負って畑に行くことにした。お父さんはお母さんが畑に来たのでびっくりしたが、お母さんが蔵の扉を見張っていることがわかったので安心した。野良仕事を終え、家に帰った二人はびっくりし

    第34回 高度ながら知識不問の「PISA型」問題の答え 笑話による問題解決型読解教育――解答篇 | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第58回 「仏」と「佛」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    新字の「仏」は常用漢字なので、子供の名づけに使えます。旧字の「佛」は人名用漢字なので、子供の名づけに使えます。つまり、「仏」も「佛」も出生届に書いてOKなのですが、その背後には、当用漢字表制定時のゴタゴタがあったりするのです。 漢字制限に関する審議をおこなっていた国語審議会は、昭和17年6月17日、文部大臣に標準漢字表を答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、2528字が収録されており、その中に旧字の「佛」が含まれていました。「佛」の直後には、カッコ書きで新字の「仏」が添えられていて、「佛(仏)」となっていました。標準漢字表では、新字の「仏」はカッコ書きになっているものの、一般に使用して差し支えないということでした。 昭和21年4月27日、国語審議会に提出された常用漢字表1295字には、旧字の「佛」が収録されていました。これに対し、文部省教科書局

    第58回 「仏」と「佛」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第89回 山下暁美さん:海外の方言事情(台湾語の看板) | 地域語の経済と社会 ―方言みやげ・グッズとその周辺―(言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics) | 三省堂 ことばのコラム

    台湾では、1980年頃から原住民の間でもともとの文化を絶やしてはならないという機運が高まりました。それと時を同じくして台湾人も台湾語(閩南語・みんなんご)を復活させようという活動が展開されました。台湾教育には、北京語が国語として使用されています。北京語が国語だとすると、台湾語は、方言の一種と考えることができます。 楊盈璋(ヤン・インザン)さん(明海大学博士後期課程1年在学)は、台湾の南にある屏東(ピンドン)市出身ですが、北京語の普及政策のため小学生の頃(1972年頃)は、台湾語で話すと罰金箱に1元入れるという制度があったそうです。その罰金で学級の備品をいろいろ購入したそうです。方言札はなかったそうです。楊さん(楊家19代目・先祖は清の時代に中国大陸の福建省から移住したそうです)は、客家(ハッカ)族ですので、家では客家語、近隣の人たちとは台湾語(閩南語)、学校では、北京語(国語)という生活

    第89回 山下暁美さん:海外の方言事情(台湾語の看板) | 地域語の経済と社会 ―方言みやげ・グッズとその周辺―(言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第59回 香港、台湾のお金も「円」い | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    前回記した中国での「圓」から「元」への転化は、中国の漢字の状況を端的に表している。また、「園」という字は、やはり「元」と字音が通じるものであり、簡体字としては「囗」の中に「元」を収めた「园:」を採用している(第15回「幼稚園」参照)。字の造り方や字画の省き方に、発音を軸とした一貫性を見出すことができよう。 中国に滞在していると、クシャクシャになった古い人民元のお札や、かなり低額な貨幣も手元に回ってくることがある。それらには、前回記したとおり、「圆:(圓)」や「元」がこともなげに印刷されたり刻印されたりしている。日では、お金を改めて凝視することはほとんどないが、中国では、偽札を見抜こうとする努力が日常、お店のカウンターでなされている。しかし、貨幣や紙幣になおも見られるそうした表記の揺れについては気にされることはないようだ。 その語の意味よりも、むしろその語の発音に着目して文字を選び、語を表

  • 第57回 「𦁪」と「綾」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和32年2月22日、琉球政府は人名用漢字表を告示しました。この人名用漢字表は「𦁪」(糸へんに坴)を含む92字を収録していました。土復帰前の沖縄では、「𦁪」を子供の名づけに使ってOKだったのです。 その9年前、昭和23年1月1日におこなわれた戸籍法改正は、しかし、沖縄にはその効力が及んでいませんでした。当時、沖縄はアメリカ軍の軍政下にあり、しかもほとんどの市町村で戸籍簿が滅失してしまっていたのです。土では、子供の名づけに当用漢字しか認めないという漢字制限が始まっていたのですが、沖縄では戸籍制度そのものが崩壊しており、漢字制限どころではなかったのです。昭和26年5月25日に人名用漢字別表が内閣告示され、「綾」を含む92字が人名用漢字になりましたが、その効力も沖縄には及びませんでした。 昭和29年3月1日、琉球政府は戸籍整備法を施行し、失われた沖縄県戸籍の再製に乗り出しました。当時、琉

  • 第32回 クリティカルリーディングと知識 分離・融合方式のフィンランド | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム

    いわゆるPISA型の読解力――実質的には欧米型の読解力を習得させようとするとき、特に小学生が相手の場合は、ナマの文学素材を用いるとやりにくいことが多い。児童文学であっても文学史に残るような格調の高いものとなると、当にやりにくいことが多い。作者の深遠にして高邁なる思想を理解したり、その作品の生まれた背景を押さえたりするなどしておかないと、いわゆるPISA型の授業――作品を読んで、児童・生徒がああだこうだと意見を言い合うような授業をしたところで、素頓狂な解釈や非常識な意見の飛び交う、悲惨なものにしかならないからだ。 この問題について、フィンランドの国語教科書(正式な教科名は『母語と文学』)は面白い解決策をとった(1)。基礎学校の5年生までは(2)、ナマの文学素材については鑑賞に徹する。読解力の養成には、それ用に書き下ろした素材文を使うこととしたのである。 たとえば、私の翻訳した「フィンランド

    第32回 クリティカルリーディングと知識 分離・融合方式のフィンランド | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第56回 「玻」は常用平易か(最終回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    (第5回からつづく) 常用漢字表と固有名詞 人名用漢字追加表の内閣告示により、法務省は、人名用漢字の拡大を自由におこなえるようになりました。これに対し、国語審議会は、昭和53年6月30日の総会で、「子の名に用いる漢字及びその扱いについて」の審議を実質的にあきらめ、人名用漢字については法務省にゆだねることを決定しました。さらに国語審議会は、常用漢字表案(昭和54年3月30日中間答申)に、以下の一文を含めることを決めました。 固有名詞に用いる漢字のうち、子の名に用いる漢字については、当用漢字表に関連するところもあり、広く国語の問題にかかわるものとして従来国語審議会も関与してきたが、この問題は、戸籍法等の民事行政との結び付きが強いものであるから、今後は、人名用漢字別表の処置などを含めてその扱いを法務省にゆだねることとする。 現在、文化審議会国語分科会がおこなっている常用漢字表の改定においても、も

    第56回 「玻」は常用平易か(最終回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第55回 「玻」は常用平易か(第5回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    (第4回からつづく) 国語審議会と人名用漢字 しかしなぜ、常用漢字表は固有名詞を対象としないのでしょう。それを理解するためには、文化審議会国語分科会の前身である国語審議会の歴史を、遡って紐解く必要があります。 人名用漢字は、もともとは国語審議会のナワバリでした。昭和26年5月25日に内閣告示された人名用漢字別表92字も、国語審議会の建議にもとづくものでした。しかし、昭和47年4月5日に開催された衆議院法務委員会において、ナワバリの一角が微妙に崩れはじめました。質問に立った理事の中谷鉄也が、文化文化部と法務省民事局に対して、人名用漢字を拡大すべく国語審議会で審議を始めろ、と詰め寄ったのです。これに対し法務省民事局は、国語審議会との調整が必要だが、人名用漢字拡大の要望は多い、と答えました。一方、文化文化部は、まもなく開始される当用漢字の見直しの審議において、人名用漢字も見直されることになる

    第55回 「玻」は常用平易か(第5回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第54回 「玻」は常用平易か(第4回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    (第3回からつづく) 常用漢字表への追加提案 「玻南」ちゃんが誕生する3年前の平成17年9月13日、文化審議会国語分科会の配下で、漢字小委員会が発足しました。常用漢字表1945字の見直しをおこなうためです。漢字小委員会は3年にわたる審議ののち、平成21年1月27日の国語分科会に、2131字からなる「新常用漢字表(仮称)」に関する試案を報告しました。2131字の中には、「浄瑠璃」を書くために「瑠」と「璃」が追加されていましたが、「玻」は含まれていませんでした。国語分科会は、この試案に対して広く一般国民からの意見を募るべく、3月16日から4月16日まで意見募集をおこないました。 ここで集まった意見をもとに、漢字小委員会はさらなる審議をおこない、平成21年11月10日の国語分科会に、2136字からなる「改定常用漢字表」に関する試案を報告しました。国語審議会は、新しい試案に対しても同じように、11

    第54回 「玻」は常用平易か(第4回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
    ardarim
    ardarim 2010/02/16
    ↓組織票があざといんじゃなくて、人名用漢字としてなかなか認めてくれないから常用漢字から攻めようという(個人の問題を全国民に影響する制度にねじ込もうとする)態度をあざといと言いたいのでは?
  • 第53回 「玻」は常用平易か(第3回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    (第2回からつづく) 最高裁への許可抗告 一方、最高裁判所への許可抗告は、過去の最高裁判例に対する違反を理由としてのみ、申立が可能です(民事訴訟法第337条)。ただし、過去の最高裁判例がない場合は、他の高裁判例との矛盾を指摘する、という形でも申立が可能です。そこで、「玻南」ちゃんの両親は、「曽」の最高裁判例(最高裁判所第三小法廷平成15年(許)第37号、平成15年12月25日決定)の解釈において、高裁判例の間で矛盾がある、という点を、許可抗告の申立理由としました。そして、「玻」の高裁決定(名古屋高等裁判所平成21年(ラ)第86号、平成21年10月27日決定)と明らかに矛盾する高裁判例として、「穹」を子供の名づけに認めた高裁決定(大阪高等裁判所平成19年(ラ)第486号、平成20年3月18日決定)を見つけました。 「穹」を認めた高裁決定では、おおむね以下の4つの理由から、「穹」が常用平易な文

    第53回 「玻」は常用平易か(第3回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第57回 違う場所での「函」の形 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    いつも通り過ぎていた駅がある。沼津、三島と来宮、熱海の間にある「函南」だ。その2字と「かんなみ」という読みを見聞きするに付け、この地名の漢字の表記はどうしてだろう、「なみ」は音読みからかな、訓読みからかな、などとその由来にしばし思いを馳せ、また駅の看板に記された「畑毛温泉」を車窓から撮りながら、「畑」に「毛」が付く理由を想像するくらいだった。 しかし、北海道で一旦、「函」の字の形を気にしだしてから(第48回・第49回)、俄然、この通過駅も気になる存在となった。この区間の正月の東海道線は、車両が短く、やけに混雑している。降りる人もまばらなその駅に初めて降り立ってみた。 正月だからなのか人の少ない町をカメラ片手に歩くと、古びた看板から「函」という字が目に入り始める。公的な施設では、手書きの看板でも「函」がほとんどであった。その他の既存のパソコンフォントのたぐいを用いた看板や掲示でも、「函」が

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  • 第51回 「玻」は常用平易か(第1回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    平成22年1月19日、常用漢字表の改定を審議していた文化審議会国語分科会漢字小委員会は、「玻」を新しい常用漢字表に追加するかどうかを議論しました。しかし、複数の委員から「固有名詞は常用漢字表にそぐわない」という意見が出ており、「玻」が常用漢字表に収録される可能性は、かなり低いようです。どうして漢字小委員会では、そのような意見が多数派なのでしょう。その背後に、いったいどういう事件が隠れているのでしょう。 実は、この背後には、現在、最高裁判所で争われている「玻」に関する家事審判があるのです。その家事審判の概要と、背景となる常用漢字と人名用漢字のねじれた関係を、全6回連載で書き記すことにいたします。 玻南ちゃん事件の発端 平成20年11月23日、名古屋市東区のとある夫婦のもとに、女の子が誕生しました。両親は、子供に「玻南」と名づけ、東区役所に出生届を提出しました。ところが、「玻」が常用漢字でも人

    第51回 「玻」は常用平易か(第1回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第56回 「点々」のもつ意味 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    「へ」や「様」という文字や「ハートマーク」には、ここ2回に掲げたように点々という記号が付されることがある。「!」(イクスクラメーションマーク・びっくりマーク)にも、同様に「=」のような2つの線が書かれることがあった。やはり文末の句読点のごとき役目を、この点々のたぐいが兼ねている可能性が考えられる。 「」は、手紙や色紙のたぐいで、「……宛」という意味で用いられることが多く、名前の部分や「君」などの敬称、ひいては文章の部分を注目させるとともに、それらと区別し、機能を特定する記号としての役割も負わされているようだ。誰宛の手紙かということが一瞬で認識できるのである。相手のところに、ちょうど止まるような意味をもつようなイメージがあったという意見もある。間違いありません、という確認や念押しの意味を見出す女子もいる。「御中」のような意味のほか、「へ」では失礼なので、手紙で行われる二重線で自分宛の「様」「

    第56回 「点々」のもつ意味 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第50回 「沢」と「澤」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和15年6月25日に開かれた国語審議会懇談会には、大日帝国陸軍から8人の出席者が招かれていました。この懇談会は、陸軍の兵器名称用制限漢字表について、ぜひ話を聞かせてほしい、と国語審議会側がもちかけて実現したものでした。 大日帝国陸軍が昭和15年2月29日に通牒した兵器名称用制限漢字表は、兵器の名に使える漢字を1235字に制限したものでした。日中戦争の拡大にともない、陸軍では新兵が次々に入営していたのですが、兵器の名に難しい漢字が使われていると、それらの漢字を兵士が読み書きできないという問題が起こっていました。そこで陸軍では、おおむね尋常小学校4年生までに習う漢字959字を一級漢字とし、これに兵器用の二級漢字276字を加えて、合計1235字を兵器の名に使える漢字として定めたのです。この一級漢字の中に、新字の「沢」が含まれていました。旧字の「澤」では書くのに時間がかかることから、新字の「

    第50回 「沢」と「澤」 | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • Sanseido Word-Wise Web [三省堂辞書サイト] » 『三省堂国語辞典』のすすめ その99 谷底を何と読む、ぎっちょんちょん。

    【落ちたらこわい】 「谷底」ということばが、『三省堂国語辞典 第六版』に新しく入りました。といっても、感心する人はあまりいないかもしれません。だれでも知っていることばだし、意味も簡単です。むしろ「わざわざ載せなくてもいいのでは」という声が飛んできそうです。 でも、「谷底」は辞書に載るだけの理由があります。「たにそこ」か「たにぞこ」か、発音が問題になるからです。だいぶ以前のことですが、大学の先生が新聞に投書して、端(はじ)・大輪(だいりん)・古(ふるぼん)などと濁って発音するのを聞くと〈耳を覆いたくなる〉と書いていました(『朝日新聞』1988.5.20 p.5)。この先生は、「谷底」も「たにぞこ」ではいけないという意見でした。 このへんは、じつはちょっと入り組んでいます。「船底」は「ふなぞこ」、「鍋底」も「なべぞこ」と濁音で言うのがふつうです。茶碗の底に出っぱった支えの部分を「糸底」と称し

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