(英エコノミスト誌 2010年5月1日号) 日本の最大野党がぐらついている。しかし政府にとって最大の敵が政府自身である以上、野党などいらないのかもしれない。 半世紀の長きにわたって自民党が政権を担っていた日本は、複数政党制の衣をまとった一党支配の国だった。しかし、昨年8月に地殻変動と呼ぶべき事態が生じた。かつては強大だったその自民党が総選挙で大敗し、民主党が政権を奪取したのである。 かねて日本の政治構造の抜本改革を求めていた人々は皆、2大政党制がようやく実現したと歓声を上げた。政党間の競争によって良い政策が生まれるかもしれないとの期待も膨らんだ。 だが、そうした見方は楽観的すぎた。今では政治に対する落胆が再び人々の間に広まっており、その影響は自民党と民主党の両方に及んでいる。 自民党は下野してから、目を見張るほどの速さで組織が崩壊してきた。大物議員の離党が相次ぎ、つい先日も、同党では珍しく