#2019年、編集済み。 「海外文学の名作100冊」を分類する 世界文学・海外文学は広大な海あるいは原野のようだ。それゆえ、初心者にとって地図がとても見づらい。「面白い」「古典」「話題になっている」という定性的な物差しはたくさんあるけれど、それだけで歩くにはあまりにタイトルの数が多すぎる。さらに「面白い」の基準は人それぞれなので、リストは無数にある。ほんのり海外文学に興味はあるけれど、どの羅針盤を使えばいいのかわからない人が「とりあえず海外文学ベストならまちがいないのでは」とベスト荒野に向かい、アチャス&エペペする姿を何度も目撃してきた。 というわけで、ノルウェー・ブック・クラブが2002年に公表した”Top 100 Books of All Time”「世界最高の文学100冊」を「値段」「ページ数(読了までの長さ)」「入手可能さ」という定量的な指標で分類してみた。本リストを選んだのは、お
2011年を最後に更新していなかった、いわゆる「好きな作家ベスト100」を掲載する。公開した途端に後悔する、という、あれである。名前が「好きな作家ベスト100」でなくなったのは、「好きな」というのと「ベスト」というのが、同じことを意味していることに気づいたからだ(遅い)。「おすすめ」と銘打ってはいるものの、玄人ぶるつもりはないが、だれが読んでもおもしろいというような作家ばかりではない。また、例年どおり、順位はそのときの気分次第なので、あまり深く考えないでいただきたい。1位から20位くらいまでは全員1位、20位から50位くらいまでは全員2位、50位以下は全員3位という感覚だ。 以前は1位から順に発表という、緊張感もなにもないリストだったのだが、今回はこの「はてなブログ」に引っ越してからの初めての公開ということで、「見出し」機能を大いに駆使し、緊張感抜群の形式を実現した(※個人の感想です)。5
壁一面の本棚の作り方 カテゴリ: 買った あたらしい書斎 新居に越すタイミングで、念願だった壁一面の本棚の購入に踏み切った。テレビでもなくオーディオでもなく、本棚をリビング・ダイニングの主役にしたい、そう考えて。 そのとき参考にしたのが、内沼晋太郎さんプロデュースのカウンター型の本棚。昨年末の忘年会で内沼さんのご自宅に招待いただいたときに目にして以来、頭から離れなかった本棚です。 正面からだとちょっとわかりづらいんだけど、下段と上段の棚の間にちょっとしたカウンターがあり、生活に寄り添う家具として絶妙に使いやすい。カウンターの高さは、よくあるテーブルの高さ70cm〜75cmよりちょっと高い86cm。このカウンターはぜひともほしい。 もうひとつの大きな特徴は、本をサイズによってではなくジャンルで分けることを目的とした本棚だということ。上段の棚の高さには余裕があって(25cmほど)、文庫本も単行
不確実な時代をクネクネ蛇行しながら道を切りひらく非線形型ブログ。人間の思考の形の変遷を探求することをライフワークに。 いい本があるのではない。いい読書があるだけなのだと思う。 いい本があったら教えてくださいと言われることは多いけど、そんなことは教えられるものではないとなかなか教えられるものではないと思う。いい本かどうかは読書する人次第であって、結局は読む人が自分が読みたいと思う本を読む以外に、いい読書をする方法はないと思います。 勉強のために本を読む場合でも実はおんなじだ。 勉強したい分野にあわせて、読む本を選ぶのはいまどき間違いだと思う。 さまざまな領域で専門分野なるものが瓦解している現在において、ある領域の知を得るためにその領域の専門書を読むというのはナンセンスだということに早く気づいたほうがいいと思います。 本当に何かを学びたければ、好きな内容の本を読み、そこで感じたことを自分の学び
愛書家として知られる二人の夢の対談が、ついに実現! 昨年、日本で一番愛された古書と絆の物語『ビブリア古書堂の事件手帖』と『R.O.D』シリーズに秘められた関係とは!? 『R.O.D』は完結してから読もうと思っていたんですが 倉田 お忙しい中、すいません。今回は何か雑誌のインタビューで三上先生が『R.O.D』について、二行くらい触れていただいたのを、スーパーダッシュ編集部が目ざとく見つけてきて。 --このベストセラーの勢いに、是非とも乗っかろうと。 倉田 しゃぶり尽くさせていただきますので、どうかよろしくお願いします。 三上 こちらこそ(笑)。僕が初めて『R.O.D』を拝見したのは、デビュー直後ぐらいなので、もう十年以上前になるんですけれど、当時のアスキー・メディアワークスの担当編集の……。 倉田 Tさんですよね、僕の担当もしてた。 三上 ええ、そのTさんが、打ち合わせでよく倉田先生のお話を
『R.O.D READ OR DIE YOMIKO READMAN "THE PAPER"』(アール・オー・ディー リード・オア・ダイ、ヨミコ・リードマン "ザ・ペーパー" )は、倉田英之による日本のライトノベル。イラストは羽音たらくが担当している。スーパーダッシュ文庫(集英社)より、2000年7月から刊行されている。2012年2月時点で累計発行部数は78万部を記録している[2]。 2013年の時点で全12巻の予定だったが、2014年春季に全13巻に予定を変更[3]。刊行は2006年2月発売の第11巻を最後に丸10年以上も中断していた[4]。以降、長きに渡り執筆が停滞し作品として休眠(事実上の打ち切り)状態にあったが、2016年6月24日にダッシュエックス文庫の公式サイトで第12巻の発売が同年8月予定とあらためて告知され、実際に同巻が8月25日に、前巻から10年半ぶりに刊行された。 なお本
ネタバレを含みますので読まれる方はご注意ください。ネタバレしてもOKという方はこのまま読んでください。しかし本を読んでからでないと意味がわからないかもしれません。 ――――――――――――――――――――――― まずはじめに述べておかなくてはならないことはこのライトノベル『インテリぶる推理少女とハメたいせんせい(以下『ちんちん』と略)』の持つ革命力が100であるということだ。革命力100という数字が我々(中島総研)のドクトリナルな体系の中に占めるある特異なる機能的地位について付言するならば、それはこのラノベを読む者が、特にライトノベル読者が、意識的にせよ無意識的にせよ従属している或るイデオロギッシュな主体性が必ずやみっともなく露呈させられてしまうということを意味している。 ある者はこのライトノベルを読んで「まあ拙者の場合いわゆるラノベとしてではなくアンチミステリとして見ているちょっと変わり
The World Until Yesterday: What Can We Learn from Traditional Societies? 作者: Jared Diamond出版社/メーカー: Allen Lane発売日: 2012/12/31メディア: ハードカバー クリック: 51回この商品を含むブログ (27件) を見る 本書は最近文庫化されてかなり売れている「銃・病原菌・鉄」と「文明崩壊」の著者ジャレド・ダイアモンドによる最新作だ.2012年12月31日の発売.*1 ジャレド・ダイアモンドはもともと鳥類が専門の進化生態学者.一般向けに広く進化の本を書き始めたのは90年代以降で翻訳されているものでは「セックスはなぜ楽しいか」「人間はどこまでチンパンジーか?」「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」などがある. 「セックスはなぜ楽しいか」は進化心理学的な著作で,ヒトにおける進化行動生態を扱
渋滞は、でもやっぱり巻き込まれたくはないね。 渋滞学 (新潮選書) 作者: 西成活裕出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/21メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 100回この商品を含むブログ (147件) を見る 渋滞と言うとふつう車のそれを指すけれど、世の中にはいろいろな「渋滞」がある。大勢の人が一時に同じサイトにアクセスしたりケータイで電話をするとパケットや電波が輻輳、つまり「渋滞」してとても繋がりにくくなる。心不全によって心臓の動きが悪くなると血液がうまく流れず「渋滞」を起こして、放っておくと鬱血してしまうし、血管内部にコレステロールが溜まって径が細くなると酸素を運ぶ赤血球が通りづらくなり「渋滞」が起こる。死蔵と言えるような貯金はマネーフロー的には「渋滞」。頭や心も「渋滞」と呼べる状態があるかもしれない。 渋滞という現象はいわゆる「複雑系」である。複雑系は、様々
シャーロック・ホームズ・シリーズの邦訳は、多くの出版社によって刊行されてきました。現在入手可能な文庫版のリストと特徴を、出版社別にまとめてみました。各社により邦題に違いがあり、必ずしも原題の直訳とは限りません。また、どこが特に優れているということもありません。これから読んでみようという方の参考になればと思います。 創元推理文庫 ―― 訳者 阿部知二;深町眞理子 古くから文庫版を刊行している老舗。『シャーロック・ホームズの事件簿』だけは著作権の関係で長らく刊行できなかったが、ドイルの没後60年に当たる1990年に著作権が切れ、翌1991年にようやくシリーズ全編が刊行された。当初の訳者である阿部知二氏(1973年没)に代わり、『事件簿』は深町眞理子氏が訳者を務めている。 時代がかった雰囲気のある訳文がやはり魅力。刊行時期が新しい『事件簿』を除くと字が小さいのが難点だが、2006年4月に『緋色の
人生は短く、読む本は多い。せめてスゴい本と出会えるよう、それを読んでる「あなた」を探す―――このブログの究極目的だ。ともすると似た本ばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしてくれる「あなた」は、とても貴重な存在だ。 ネットで呟いたり、オフ会で発表したり、集団でブックハントに勤しんだり。バーチャル・リアルを問わず、そんな「あなた」同士の交流の場で、加速度的にスゴい本に会ってきた。中でもここ一年で読んできたものから、選りすぐりを並べてみた。 実は、ここは既読本のご紹介の場なので、氷山一角だ。だから、一番アツいfacebook「スゴ本オフ」を覗いてみてほしい。読まずに死ねるか級がざくざくあるデ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 この本がスゴい!2011 この本がスゴい!2010 この本がスゴい!2009 この本がスゴい!2008 この本がスゴい!2007 この本がスゴい
バナジー=デュフロ『貧乏人の経済学』はとてもおもしろい本だ。ネットにはすでにすぐれた書評がいくつも出ているし、例によって訳者解説が充実しているので、ここでは個人的に目を引いた箇所を紹介させていただく。 「第9章 起業家たちは気乗り薄」で、著者たちはこう言う。マイクロファイナンスは途上国の貧乏人の生活向上にまちがいなく役立つものだけれど、それを主唱する人々が喧伝するほどには劇的な成果をあげるものではない。マイクロファイナンスは決して貧困撲滅のための「銀の銃弾」ではないという(だからダメだ、と言っているわけではないことに注意)。 それはなぜか、という謎解き自体もおもしろいのだけれど、ちょっと割愛する。結論部分からポイントのみ引用するので、詳細はぜひ本文にあたっていただきたい。 貧乏人の事業はしばしば、特定の起業衝動の反映というよりは、もっと通常の雇用機会がないときに、仕事を買うための手段でしか
オススメ本をもちよって、まったり熱く語り合うスゴ本オフ、今度は「ハヤカワ」だ。 つまり、早川書房が肴だ。SF、NV、JA、HM、NF、FT、epi、演劇、もちろんハードカバーやミステリマガジンもOKだ。それではと、ハヤカワ・マイベストを選ぼうにも……これがすっごく難しい。「この新潮文庫がスゴい!」と同じで、素晴らしい本がありすぎるのだ。 「ハヤカワといえばSFだろ常識的に考えて」、「ハヤカワといえばミステリの王、いや女王」という意見がある。全面的に賛成……なのだが、わたしの傾向では、NV(ノヴェル)やNF(ノンフィクション)を好んで読む。シリーズ丸ごと推したいのがハヤカワepi文庫。epiとは、"epicentre"の略で、「震源」のこと。海外小説の素晴らしさを伝える発信源たる思いが込められているという(こっそり「よりぬきハヤカワさん」と呼んでいる)。スゴ本が、傑作が、徹夜小説があまりに多
いきなり結論、答えは「情報過多だからこそ、本を読むことが重要」になる。 結論はシンプルだが、ここへたどり着くまでの曲折は、身に覚えありまくり。そして、この結論そのものも激しく納得できる。「やっぱり本が好き!」この理由を腑に落とすことができる、貴重な一冊。 著者は批評家で、大学では文学を教えている。本を読むのが仕事なのに、ある日、読書に集中できなくなった自分に気づく。 もちろん、誘惑しているのはネットだ。メール、チャット、ブログ、ツイッター、フェイスブック、ニュースサイト……テクノロジーがもたらすノイズに注意散漫となり、ネットサーフィンの合間に本を読んでるようなもの。ミソとクソと絶え間ないざわめきの中で、作家の権威は失墜し、物語の力は骨抜きになる。 著者の悩みは身に染みる。実際、イマどきのモノ書きが直面している問題は、まさにこれだろう。彼は、息子の宿題をダシに「グレート・ギャツビー」を再読し
辺境から眺める―アイヌが経験する近代 作者: テッサ・モーリス=鈴木,大川正彦出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2000/07/19メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 74回この商品を含むブログ (22件) を見る前回の本はアイヌを含めた近代の世界における先住民族を描いたものだけれど、こちらはよりアイヌにクローズアップした内容で、本書の狙いを序章から拾ってみれば、環オホーツク海域の千島・樺太も含むアイヌ、ウイルタ、ニヴフ(ギリヤーク)といった諸民族が「二つの異なる、しかし同種の領土拡張志向をもった」「日本とロシアという競合する国民国家」に吸収された時に、彼らのたどった「近代の経験」の諸相を描き出す試みということになる。 彼(女)らの経験はシティズンシップや国民体という考えのどのような側面を浮き彫りにするのか。そして、その経験は「進歩」や「近代性」というさらに大きな概念――人類
圧倒的、とにかく圧倒的。 東京深川の古書店「しまぶっく」を、ひとことで形容しようと思ったら、これ以外の言葉が思いつかない。それほど、「しまぶっく」の「棚」は強烈な存在感を放っている。 「しまぶっく」の店主・渡辺富士雄さんは、1960年生まれの50歳。その人生の半分を、書店員として過ごしてきた。もっとも長く過ごしたのは、青山ブックセンター(以下、ABC)六本木店。感性豊かな読者が集まる書店の現場で、「棚をつくる」ことにただひたすら情熱を注いできた。数々のフェアを企画しては、店を訪れる人を唸らせていた名物書店員だ。 うむ、むべなるかな。棚がそれをものがたっている。 そんな渡辺さんが、昨年2010年の9月、江戸の下町情緒が残る深川に「しまぶっく」を開店した。 なぜに、自分の店を持つ必要があったのか? なぜに、「古書店」でなければならなかったのか? その答えは、実に単純明快。 だが、店のコンセ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く