西尾維新の小説「傷物語」と「偽物語」の上巻を読んだ。この2作品は単純なジュブナイルとしては消費しにくい。テレビアニメ「化物語」を見て良くできているなぁ、と驚いて(リミットアニメとして妙に洗練されている)、そのストーリーに興味が湧いたので原作小説を図書館で借りようと思ったらとっくに長い予約リストが出来ていた。しかたがないので「化物語」の前日譚と位置づけされている「傷物語」と後日譚の「偽物語」の上巻を読んだ。私が読んだ2冊に関して重要なのは西尾維新の特徴と言われる言葉遊びや他作品の引用よりはテーマ性だと思うのだけど、そのテーマが少し奇形していてエンターテイメントのパッケージにきちんと収まっていない。 文章中ひっかかるのは倫理性のゆがみだ。ことに「傷物語」で主人公の高校生・阿良々木暦を物語の中核へと運んで行く「弱さ」の倫理=論理が印象的だ。ここで阿良々木は「自分はいなくなってしまうほうが良い」と