「匿名の悪意」の被害はもう止められないのか? ネットに吹き荒れる誹謗中傷、国民を見殺しにする政府や権力者、強気を助け弱気を挫くメディアの病巣、日本の歪な現実の病巣を、いまもっとも硬派な論客、青木理氏(ジャーナリスト)と安田浩一氏(ノンフィクションライター)が語り尽くした+α新書『この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体』から、短期集中連載! 「土人」発言の深層 青木 自らの加害性を自覚するのはたしかにしんどい作業です。歴史を真摯に振り返り、その歴史を自身の身に引きつけて考えなければいけないわけですから。 安田 そう、その歴史を身に引きつけない作法を、メディアが増幅してしまっている感もあります。 2016年、沖縄県・高江の米軍ヘリパッド建設現場で「土人発言」がありました。大阪府警から派遣されていた機動隊員が、抗議運動をする市民に向かって「この支那人が」「この土人が」と発言して問題になった。 あれは