「戦争絶滅受合法案」というアイデアがある。こういう法律を列強各国が制定すれば世界から戦争を根絶できるというもので、第一次世界大戦後、デンマークの陸軍大将フリッツ・ホルムが書いた法案を紹介するという形で、1929年に評論家長谷川如是閑にょぜかんが発表したものだ。法案の内容は以下のとおり[1]。 戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力の生じたる後、十時間以内に次の処置をとるべきこと。 即ち左の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従はしむべし。 一、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問はず。尤もっとも男子たること。 二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。 三、総理大臣、及び各国務大臣、并ならびに次官。 四、国民によつて選出されたる立法部の男性の代議士。但し戦争に反対の投票を為したる者は之を除く。 五、キリスト教又は他の寺