■新訳男女■ ごとっという音とともに、小4の拓也(10)がひな壇から落下した。11月初旬、発表会に向けて歌の練習をしていた九州のある公立小学校でのこと。拓也は空腹と睡眠不足でふらついたようだった。 【子どもの貧困(中)】ガス止められ、9月に水風呂…生徒の相談に絶句 両親は正社員だが低賃金の“名ばかり管理職”。サービス残業が多く、朝は拓也が起きる前に出勤し、夜は寝静まってから帰宅する。身の回りの世話もしてもらえず、遅刻や欠席、忘れ物が多い。授業も集中できず、学力テストの結果は学年で最下位だった。 父親が失業し母親がパートで働きづめ、生活保護費を10日ほどで使い切る、ドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるために離婚し母親が仕事を掛け持ち…。そんな貧困家庭の子どもは、時間通りに登校しないことが目立つ。 校長は毎朝校門に立ち、チャイムの後にのろのろとやってきた子どもに声を掛ける。「よう来たね