日本人は日本語が苦手になっているらしい。文化庁の国語世論調査の結果はそんな心配を抱かせる。言葉は物事を考えたり、表現したりする道具だ。錆(さび)付いていないか。顧みる機会としたい。 全国の十六歳以上の男女を対象とした国語世論調査の結果は、言葉の衰えが全世代に及んでいる実態をうかがわせる。 日本人の日本語能力は低下しているか。そう思うと答えた人は書く力で87%、読む力で78%と殊に高く、話す力は70%、聞く力は62%だった。もはや機能不全に陥りそうな危うさが伝わる。 読む力と話す力は十年前よりもさらに落ちた。図書や新聞を読まない活字離れが進み、家庭や学校、職場での会話や議論が減ったのかもしれない。事態は深刻だ。 背景としてパソコンや携帯電話の普及は見過ごせない。メールだと漢字を容易に表示できるし、仲間内では言葉を簡略化したり、絵文字で感情を表したりもする。 揚げ句に漢字が書けない、