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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (54)

  • 日本の雇用の敵は「経済合理性」ではなく「封建主義」ではないのか?

    公務員組合は、既得権を守られた集団ということで批判の対象になることが多くなりました。一方で、多くの民間企業にも組合はありますが、業績が不振だとか、国際競争に負けたという経営側の説明に対して戦うことはまずないわけで、こちらの方も存在意義が問われても仕方がないのかもしれません。 また、現在のように消費者に全能の立場が与えられている社会では、交通機関などがストライキを行うことは社会的支持を得るのは難しいとも言えます。国家公務員へのスト権付与が検討されているのも、世論を恐れて行使できないだろうという計算を含めた動きとも言えます。 こうした雰囲気を受けて、労働者の権利というのは幻想だという理解が広がっています。例えば若者が良く「ブラック企業」という言い方をしますが、具体的には労働基準法の違反が行われている場合が多いのだと思います。 ですが、労働基準監督署が摘発したり、被害者が訴訟して勝ったり、

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    babelap 2012/04/04
  • 日本の「世代間対立」に出口はあるのか?

    野田内閣が消費税率アップへと決意を深める中で、連立政権を構成する国民新党は、税率アップに反対を貫いて連立から離脱するのか、残留するのかで、分裂の様相を呈してきました。一見すると、永田町の醜い政争の一種に見えますが、税率アップに反対の亀井代表と、賛成に回ろうとしている下地氏などの綱引きの背景にあるのは一種の世代間対立だと思われます。 消費税率アップというのは、所得税とは違って、現役世代にも年金生活世代にも共通の負担を強いるものですが、今後に劇的な収入増や資産増の期待できない年金生活世代には、負担感や不安感が強く感じられるわけです。一方で、国家の財政破綻や通貨の大幅下落による社会の混乱というような何十年も先にあるかもしれない危険性については、高齢者にはダイレクトな危機感は薄いのです。 これは、小沢グループの姿勢にも当てはまる一方で、例えば現役世代の利害を代表している大阪の橋下市長が増税に前向き

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    babelap 2012/03/30
  • あのアメリカですら自国国旗の焼却が禁じられていない理由

    たびたび、大阪の橋下市長がらみの話題で恐縮ですが、国体(国のかたち)を考える上での良いレッスンになるのではと思い取り上げます。今日は、国旗国歌への態度と「国際社会」の関係についてです。 今週の市長の発言の中に、「国歌斉唱の際に手を前に組んでいるのは失礼で、国際社会では許されない」という主旨のものがありました。この種のものとしては、スポーツ選手などが海外での試合に臨んだ際に国歌を歌っていないのは「国際社会での常識に欠ける」というような言い方があり、市長もそのような主旨での発言を以前にしていたと思います。 確かに1つの考え方です。スポーツの対外試合というのは一種の民間外交ですから、それなりの外交儀礼というものがあり、他国の国旗国歌への尊敬だけでなく、自国の国旗国歌に対しても儀式の格調を維持するためにも、国家を代表している敵味方相互をしっかり認めるという意味合いからも必要だと思います。 例えばサ

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    babelap 2012/03/23
  • 君が代「口元チェック」の何が問題なのか?

    さすがの大阪の橋下市長も「君が代不起立」問題への反応として、「君が代歌唱の口元チェック」などという行動が現実のものになるとは思っていなかったのではないでしょうか。いつもとは違って、レスポンスまでの時間には、躊躇や熟考があったというニュアンスが漂っています。 そうは言っても、政治家として国政を視野に入れている市長としては、「前進あるのみ」という判断になったのでしょう。ところで、私は従前から、橋下氏のスタイルは、シンガポールの「創業者」であるリー・クワンユー元首相に近いと申し上げてきましたが、今回のエピソードは正にそうしたイメージに重なってきます。 ですが「それでいいのか?」という答えは簡単に出ると思います。それは「ノー」です。 まず、どうしてリー・クワンユーはシンガポールで「チューインガムの禁止」などの強権政治を続けているのかというと、亡くなった金大中(元韓国大統領)との対談での発言ですが、

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    babelap 2012/03/19
  • アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?

    大前提として客も店も細かいことはゴチャゴチャ言わないし、とりわけ中堅以下の企業化されたファミレス系やファーストフード系に至っては、サービスの水準はかなり低いという問題があるわけです。その点では、日とは全く別世界で比較の対象にはならないのですが、個別の問題では参考になる点もあると考えて箇条書きにしてみました。 (1)役割分担がハッキリしています。例えば、注文を取るのは「サーバー」、最初に接客して客をテーブルに誘導するのは「ディスパッチャー」などという「専任」ですし、料理を運んだり皿を下げる専門の「アシスタント」など接客だけでも細かく分かれています。厨房の中も役割分担が明確です。 (2)職務内容は契約書で明確になっています。ですからコストカットのために、ある仕事を他の人間にカバーさせるなどということは不可能です。また契約に書いてあることは双方が履行しなくてはなりません。野球の井川慶選手がヤン

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    babelap 2012/03/05
  • スーパーチューズデー直前の共和党、どうしてロムニーでまとまれないのか?

    来週の火曜日、3月6日は今回2012年の大統領選にとっての「スーパーチューズデー」になります。前回の2008年の場合は、予備選がかなり前倒しになり、カリフォルニア州とニューヨーク州という巨大州(代議員数も圧倒的)を含む予備選集中日としての「スーパーチューズデー」は2月上旬にありましたが、今回は伝統的な3月に戻りました。 ちなみに今年の場合は、ニューヨークとカリフォルニアの予備選は、もっと後に設定されているのですが、宗教保守派と中道が均衡しているオハイオ州など、重要な州がたくさん含まれているのでやはり「スーパー」な一日になりそうです。では、現時点での情勢はというと、先週までの流れでは、サントラム候補がサプライズ的な勝利を続けていたのですが、今週もロムニー候補の勢いは戻っていません。 今週の火曜日(2月28日)には、ミシガン州とアリゾナ州での予備選がありました。1月の序盤の時点では、ここでロム

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    babelap 2012/03/02
  • 日本の「おもてなしビジネス」はアメリカ進出が可能か?

    の製造業がもはや国際競争力を失う中で、その代わりにサービス業を産業の柱にしよう、ついては日式のサービス産業を海外に輸出すべきだという意見があります。TPPが今後成立してゆく中で、日の市場へとドンドン外資が入ってくるかもしれず、そうなるのであれば余計に新たな産業を外へ出してゆこうというのは、バランス感覚としては自然な話です。 先進国型の市場で、日以上にサービス産業のマーケットとして巨大な存在といえば、アメリカですが、ではアメリカでは日流のサービス産業が成立する可能性はあるのでしょうか? 結論から言えば、半分は可能性があり、半分はそのままでは難しいと思います。 どうして日のサービスに関する考え方がそのままアメリカでは通用しないのかというと、日アメリカでは、「ヒト」に関する社会慣習と価値観が大きく異なるからです。異なる部分は2つあります。 一つ目は、労働に対する姿勢です。アメリ

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    babelap 2011/11/29
  • ハーグ条約加盟、小手先の法案では対応不可能ではないのか?

    国際結婚が破綻した際に、一方の親が子供を出身国に連れ去るケースに対して、子供を両親が同居していた以前の国に戻すことを原則とするハーグ条約に、日は2011年の5月にようやく加盟する方針を打ち出しました。アメリカの国務省の主張によれば日人母が離婚裁判を省略し、あるいは判決に反する形で子供を日に連れ去っている問題については145件という事例があるそうで、主としてアメリカとカナダなどが外交上たいへんに強硬な抗議を続けているのです。 日ではあまり報道されていませんが、米政界では「日は子供の連れ去りの容認という拉致をしているのだから北朝鮮の拉致問題で協力する必要はない」という言い方が半ば当たり前のように言われているのです。今回の条約加盟方針はその点で外交上は不可避であったとも言えます。 いずれにしても、今回の加盟方針決定を受けて、その関連法を整備することになり作業が続けられています。その中で

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    babelap 2011/11/03
  • アメリカにもある「オレ流」と「タニマチ」の不幸な関係

    私は中日ファンではありませんが、「優勝してしまうとクビにできないから」とペナント争いの一番重要な時期に「契約更新はしない」という「解任」が決定されるというのは何とも奇妙な話です。何といっても、プロ・スポーツというのは「勝利」が至上であっていいわけで、「勝ちすぎてつまらない」とか「勝ち方がつまらない」というのが理由で監督がクビになっていては、それこそ野球もそのうちに大相撲のように儀式性や格式が優先する訳の分からない世界になってしまう危険も感じます。 それ以前の話として、別にメンツがどうとか、美学がどうというつもりはありませんが、その「逆境」をバネに落合監督が「勝って有終の美を」という幕切れへ持って行ってしまうと、高木次期監督としては非常にやりにくいことにもなるでしょう。 ただ、フロントとしてはそこまで考えての決定なのかもしれません。コーチ陣も総入れ替えだということですし、こうなると選手の士気

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    babelap 2011/10/28
  • 政治という「現実」に組み込まれた「ウォール街デモ」

    ニューヨークのウォール街を中心に、全米に広がっているデモですが、ここへ来てアメリカ政治という「現実」とのリンクが明確になってきているようです。 まず、今週のデモ隊は、マンハッタン島内の「億万長者のコンドミニアム」に押しかけて抗議行動をしています。その光景は、何とも「子供っぽい」ものでした。バスを仕立てて、デモ隊の集結地であるダウンタウンから、富裕層の住むアッパー・イーストなどへ押しかけたというのもマンガ的ですし、ニューズ・コーポレーションのマードック会長邸の外で「税金を払え」というコールをするというのは、同氏の支配する米国の「FOXニュース」などのTVメディアが「保守的」ということへの反発が重なって見え、メッセージがぼやけた印象です。 この欄でも取り上げた「サブプライムの問題を予見した天才」ジョン・ポールソン氏の邸宅もデモ隊に囲まれましたが、不動産バブルの破綻をリスクを取りながら予見した

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    babelap 2011/10/14
  • スポーツ中継と国境、独占放映権を考える

    中国の済南では「なでしこ」によるロンドン五輪出場権をかけた戦いが、そしてこれと重なるように男子A代表のW杯予選も北朝鮮戦でスタートしています。ところが、海外にいる私には、熱戦の様子は文字情報でしか伝わってきません。 アメリカの場合ですと「TVジャパン」という局が、NHKのニュース番組を場合によっては生放送で放映しているのですが、サッカー日本代表の試合に関しては静止画だけで、中継映像を録画した映像は映らないのです。これには放映権の問題があります。 アメリカでは、五輪に関する一切の放映権はNBC=コムキャストのグループが、W杯に関してはディズニー=ESPNのグループなどが「独占放映権」を握っています。TVジャパン経由のNHKのニュース映像はこれに引っかかるのです。 引っかかるといっても、アメリカのNBCが「なでしこ」のアジア予選を中継する可能性も、ESPNがW杯のアジア三次予選を中継する可能性

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    babelap 2011/10/07
  • 映画『ソーシャル・ネットワーク』に見る「ネットとリアル」

    この週末にアメリカで公開された映画『ソーシャル・ネットワーク』は、その名の通りの巨大SNS「フェースブック」の創設者、マーク・ザッカーバーグがハーバード在学中にこの「フェースブック」のサービスを開始した際の実名ドキュメントです。特にこの映画について上映前から話題になっていたのは、同大学中退後の24歳の時には史上最年少の「ビリオネア(10億ドル長者)」になる一方で、独断的な経営から来る多くの訴訟スキャンダルに巻き込まれたという実態を描いた、ザッカーバーグに関する「暴露映画」という噂でした。 巨大企業である「フェースブック」のCEOであるザッカーバーグとしては、この映画の試写会当日に、巨額の寄附行為を行うと発表しているのですが、これが純粋な慈善事業ではなく、スキャンダル映画に対抗するための「ダメージコントロール」だろうという非難もあり、話題が話題を呼ぶ形になっていました。公開最初の週末で230

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    babelap 2010/10/04
  • 尖閣で問われているのは、歴史認識ではないのか?

    尖閣諸島近海における、漁船の体裁をした中国船舶が海上保安庁船艇の停戦命令を無視して衝突してきた事件に関しては、アメリカの報道は、それほど強い関心を寄せてはいませんでした。ですが、先週末に急転直下、船長の釈放という展開になってからは、中国が報復的と見られてもおかしくない輸出入の規制や、東北部における日人4名の拘束を行っている件とあわせて、新聞、テレビ、インターネットにおいての事実関係の報道はされています。 例えば、CNNの報道(電子版)では、東北部におけるフジタ工業社員4名の拘束に付随して、中国人1名も拘束されている模様とのことです。仮に事実であれば、この「中国人1名」の件は、どうして日のメディアでは一切出てこないのでしょうか? 仮に事実だとして「中国人の案内人がいたのに誤って立ち入り禁止区域に入った」のか、「その案内人が何らかの意図を持って動いていたのか?」「法的に公正な逮捕を行ったと

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    babelap 2010/09/27
  • サンデル教授の哲学講義は特別でもなんでもない

    マイケル・サンデルというハーバードの先生の哲学の講義が面白いというので話題になり、TV番組化されて日でも中継されたり、サンデル先生自身が日の東京大学で模擬授業を行って喝采を浴びたりしているようです。当はこうした現象は70年代の後半ぐらいからスタートしていれば良かったのですが、遅いから無意味とは思えません。今からでも遅くないので、日でも高等教育の指導法としてこうした抽象的な論議の訓練ということを導入すべきだと思います。 まず、誤解を解きたいのは、このサンデル先生の講義というのは、私がビデオクリップで見た範囲では、サンデル先生の専売特許でも、ハーバードの特殊な優位性を表しているものでも何でもありません。確かに日常的な問題から抽象的な原理原則の話に気づかせるとか、学生の反応に当意即妙なレスポンスができるという意味では、教育者として優秀な資質を持った先生だと思いますが、アメリカの大学教育

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    babelap 2010/09/06