奇跡のリンゴ――「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録 夜、たまたまテレビをつけてみたら「プロフェッショナル仕事の流儀」(NHK)をやっていた。それでひとつまずいことを思い出した。以前この番組に木村秋則さんという人が出演し、その後この人の生き様を綴った「奇跡のリンゴ」(石川拓治、幻冬舎)という本がベストセラーになった。まずいことと言うのは、旧友から「木村さんのリンゴが手に入らないか」と頼まれていたことだ。きちんとした返事ができていなく、申し訳ないと思う。 私はこの木村さんという人に会ったことはない。ただ、よく知っている関東の農家の一人が木村さんの農法に心酔し、師とさえ仰ぎ、講演会なども催している。彼に連絡すれば、あるいは噂のリンゴの1個か2個ぐらいは分けてもらえるのではないか。断られても、とにかく連絡さえすれば、友人には「お願いしてみたけど、だめだったよ」と言い訳はできる。 それでも未