11月27日、おなかの9カ月になった赤ちゃんの経過観察のため、バグダッド中心部の病院を訪れたシーナ・ハミドさん(左)と看護士。約2年前に亡くした両親と双子の赤ちゃんを思い、今も黒の喪服姿を通している(共同) 夜間外出禁止令下のイラクの首都バグダッド。日没後、陣痛の女性を乗せ、病院に急ぐ車両に米軍から非情の銃弾が浴びせられる。イラクでは米軍の増派などのため、首都など一部でテロや攻撃が減少、治安が改善傾向にあるとされる。しかし女性たちは喜びに満ちたはずの出産ですら、命懸けで臨まざるを得ない。 警告なしの発砲 バグダッド東部、新バグダッド地区。妊娠8カ月だった主婦シーナ・ハミドさん(24)は昨年1月の深夜、突然陣痛を訴えた。しかし夜の病院行きは極めて危険。夜間外出禁止令下のバグダッドでの車の運転は、米兵やイラク警察の拘束や攻撃を受ける恐れがあるだけでなく、民兵が設けた“死の検問所”さえある。 し