フィリピン南部マギンダナオ州シャリフアグアクで4日、アンパトゥアン一族の邸宅の捜索に備える武装警察官たち=APフィリピン南部ジェネラルサントス市で4日、殺害されたジャーナリストの娘の写真を抱きしめて泣く女性=ロイター 【マニラ=松井健】フィリピン南部ミンダナオ島のマギンダナオ州で女性やジャーナリストら57人が政争絡みで殺害された事件は、地元で政府機能が失われる事態に発展し、フィリピン政府は4日、戒厳令を布告した。容疑者たちは地元で絶対的な権力を握るボス政治家の一族。ここまで無法が広がった背景には、アロヨ政権が自らの権力維持やイスラム武装勢力との戦いに地元ボスを利用してきた経緯も絡んでいる。 「現地では役所や裁判所が閉鎖され、政府機能が完全に崩壊している。戒厳令の目的はマギンダナオを正常な状態に戻すことだ」。大統領府報道官は5日午後の会見で述べた。州内には50人から100人程度の私兵組織