■引き出された勝負師の本音 将棋本の処女作『シリコンバレーから将棋を観る』で第22回将棋ペンクラブ大賞を受賞した著者の梅田望夫さんは、大変熱心な、かつコアな将棋ファンである。朝起きると、日本時間でちょうど佳境に入っている対局をライブ中継で観戦するという。 第2弾の本書は、将棋の世界、棋士たちの世界を愛する著者が、将棋を知らない人でも疑問に思う問いかけ、この刺激的なタイトルに対して、正面から取り組んだ作品である。 本書では、本紙主催のタイトル戦「棋聖戦」3局を含む羽生将棋5局が収録されている。いずれも、著者が現地に直接足を運んで取材し、感じたことを記しただけでなく、対局者や解説者の感想戦後の感想(当日は対局者が興奮、錯乱状態で話しているときもあるので、しばらく時間を置いてからの感想とはまた違うことが案外よくあるのだ)まで、盤上だけでなく、さまざまな角度から推察、検証しているのが今までにない切