コミュ障で、ぼっちで、同人誌好きで、他人と過ごすのが苦手で、孤独が好き——。 2018年の話ではない。かつて国語の教科書でも多く取り上げられていた、原爆小説の名作「夏の花」を書き上げた詩人にして小説家・原民喜のことだ。 ノンフィクション作家、梯久美子による評伝『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(岩波新書)。この本を読むと、彼は遠い過去の人ではなく、「いま」すぐ近くにいるような人だと思える。 梯はなぜ、いまの時代に原民喜を書いたのか。 (取材・文:石戸諭/写真:三浦咲恵) 遠藤周作は彼の死を「きれい」と表現した 始まりは遺書だった。やや丸みがある字は原稿用紙に書き直された跡もなく、無駄なく収まり、友に静かに別れを告げていた。 原民喜、彼の人生を教科書的に整理するとこうなる。 専業作家ではなく職につきながら、同人誌に寄稿を続けた。 1944年に妻の貞恵が若くして病死したことを機に民喜は実家がある広
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