コンピューターの作曲の力が、人間の水準に近づいているようだ。 人間が作ったように聞こえる 米国エール大学が2015年8月に紹介しているもの。 同大学のドーニャ・クイック氏らが開発した作曲用音楽ソフト「クリッタ(Kulitta)」のこと。 報告によると、100人以上の人に、人間が作曲した曲と、クリッタを含むコンピュータ・ソフトで作曲した曲を合わせて40フレーズ聞いてもらい、「絶対に人間」から「絶対にコンピューター」まで、7段階で採点してもらっている。2回のテストを行ったところ、クリッタの作った曲は、平均的に人間が作曲した曲にランク付けされていたと説明している。 さらに、開発者の指導者が行った公演で、クリッタとJ.S.バッハの作品を並べて聞いてもらっている。聴衆にどちらが作った曲かを当ててもらったところ、音楽に詳しい人の中にも間違える人がいたという。 学んで作曲 クリッタは過去に中央アジ
貧乏ゆすりが多い女性は死亡リスクが低くなるという報告が出ている。 英国のロンドン大学を含む研究グループが、アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシン誌2015年9月23日号で報告した。 貧乏ゆすりと死亡率に関連? 貧乏ゆすりと死亡率をつなぐのは、座っている時間。 これまでの研究で、座る時間が長いと、死亡リスクを上昇させることが知られるようになっている。この2つは運動の程度とも関係なく独立して関連があると分かってきている。 研究グループは、英国の37歳から78歳までの女性約1万3000人を対象に、平均的な1日の座位時間、貧乏ゆすり、身体的活動、食事、喫煙の状態、アルコールの飲用について調査。さらに平均12年間の死亡率について追跡調査をしている。 37%低下の効果を確認 貧乏ゆすりと死亡率とがつながってくるという結果だ。 貧乏ゆすりの少ない女性だけで座る時間と死亡率上昇と
海外で虫刺されと言えば、蚊も問題になるが、南京虫も問題になる場合があるようだ。 トコジラミという虫で、寝ているときに刺してきて、強いかゆみを引き起こす。 このところ米国では虫が急増中で、「来襲」が増えているという。日本からは外務省も米国に限らず海外での被害に注意を促している。 予防策もあるようで、海外滞在の際には参考にしたい。 帰ってきた南京虫 今回、米国ベイラー医科大学の研究者が南京虫対策の情報を提供している。米国皮膚科学会がこの8月にその内容を紹介する。 研究者によると、南京虫の数が米国全体で過去数年間にわたって増加している。 旅行者が「来襲」の被害に遭う場合も珍しくないようで、このところの増加は南京虫の「復活」ととらえられるようだ。 ゴキブリ退治が思わぬ影響 一つの要因は、殺虫剤の禁止の動きがある。「DDT」と呼ばれる過去の殺虫剤が、化学薬品の人や環境への害のため使えなくな
日本の第一三共が開発した、世界4番目の抗凝固薬の飲み薬「エドキサバン(一般名、商品名はリクシアナ、米国ではSAVAYSA)」が今年1月に米国でも承認された。 今回、エドキサバンの有効性と安全性に関する報告がなされた。 エドキサバンが米国で承認 薬の有用性と副作用に関する新しい情報を提供するザ・メディカル・レター誌で2015年3月30日に報告された。有力医学誌ジャマ(JAMA)誌2015年7月号に転載された。 日本の製薬会社、第一三共は、米国で2015年1月に抗凝固薬「エドキサバン」について「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症のリスク低減」および「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺塞栓症)の治療」の両適応症で、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得した。 簡単に言うとエドキサバンは、血液をサラサラにする薬。専門的には、血の塊によって血管が突然詰まる病気「
傷口に泡をスプレーして出血を止めるという、新しいタイプの止血剤が開発された。甲殻類の殻から取れる「キトサン」というバイオポリマーを使ったものだ。 圧迫できない内臓出血 米メリーランド大学を中心とした研究グループが、米国化学会の発行するACSバイオマテリアルズ・サイエンス・アンド・エンジニアリング誌のオンライン版で2015年5月29日に報告した。 自動車事故、暴力事件、戦争などで大きな外傷を負い、大量に出血をすると命を落とす可能性がある。人間は、血液の約半分を失うと命を落とすと言われている。2Lくらいだ。 けがが腕や脚だった場合には、圧迫して止血できる。 胸や腹部に重傷を負い、臓器に影響があるような場合には、圧迫による止血ができない。出血が起きた場合、今のところ、有効な止血法はない。失血死は、若者や兵士の主な死亡原因の一つとなっている。 スプレーで泡 このような背景から研究グループは、
あくまで実験レベルではあるものの、いわゆる体内時計、「概日(がいじつ)リズム」の移植に成功した。 体内時計の狂いは、人間では病気にもつながると知られる。「時差ぼけ」のような状態の治療にもつながるのかもしれない。 米国ハーバード大学医学部を中心とした研究グループが、サイエンス・アドバンシーズ誌で2015年6月12日に報告した。 シアノバクテリアの「体内時計」を利用 研究グループは、自然界で体内時計を持つと知られている唯一の細菌種「シアノバクテリア」でリズムを調節するタンパク質の回路を部品として取り出して、体内時計のない大腸菌に移植した。 すると、昼夜サイクルに合わせて代謝機能や行動機能の働きが連動してくるというものだ。 1日のリズムが変わると、蛍光を出して遺伝子の働きが目で見えるようにした。 大腸菌が一定のリズムで発光し、移植成功を視覚的に確認できた。 時差ぼけ改善に! 研究グルー
人は学習したり、記憶したりするときに、脳の中でDNAを破壊していると分かった。 うまく直せない場合はダメージが残ってしまうことになる。認知症の謎にもつながるかもしれない。 米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、有力科学誌のセル誌オンライン版に2015年6月6日に報告した。 遺伝子を活発にしている なぜDNAを破壊するプロセスがあるかといえば、重要な遺伝子の働きを活発にできるからだ。学習と記憶に伴って、脳において必要な機能を有効にしていくというものだ。 人は年を取るに従って、このDNA損傷を修復する能力が弱まってしまい、結果として退化へとつながっているとも見られた。 700の遺伝子で変化 研究グループは神経細胞を使って、DNAの破壊に伴って変化の起きる遺伝子を検証した。 DNA破壊につながる化学品で細胞を処理、それで活発になったDNAを反映するRNAを集めた。ここか
銅を含む金属合金がノロウイルスを破壊するようだ。 胃腸炎の原因として、冬を中心に問題となる感染症で、うまく金属を活用できるのかもしれない。 銅合金を使って検証 米ノースカロライナ州立大学のクライド・マニュエル氏らの研究グループが、アプライド・アンド・エンバイラメンタル・ミクロバイオロジー誌において2015年5月15日に報告している。 ノロウイルスは感染力のある病原ウイルス。下痢などの症状を引き起こす。 研究グループによると、米国ではクルーズ船、レストラン、高齢者施設などで集団感染が起こる場合があるようだ。日本でも、飲食店や福祉施設などで起こることはある。 研究グループは、5種類の銅合金とステンレスの板に、ウイルスを含んだ人間の大便か、ノロウイルスではないものの、増殖するウイルスと同じ性質を持つ粒子を載せて、その後の変化を調べた。 フリーラジカルが効果 その結果、銅の上ではノロウイル
へその緒を着るのを遅らせると、4歳時点の細かい運動の能力と社会性な評価が高くなると分かった。 生後まもなくの鉄不足を防ぐ スウェーデン、ウプサラ大学のオラ・アンダーソン氏らの研究グループが、有力医学誌の小児科版である」ジャマ(JAMA)ペディアトリクス誌において2015年5月26日に報告している。 へその緒を2~3分ほど遅らせて切る医療行為は、「遅延臍帯(ちえんさいたい)クランプ」と言う。一方で、へその緒を生まれてすぐに切る医療行為は「早期臍帯(そうきさいたい)クランプ」と言う。 遅延臍帯クランプは、生後4カ月から6カ月での鉄分不足を防ぐと見られている。子どもの鉄欠乏症を防ぐことで神経の発達を促す可能性があるとされる。 実際に影響が長く生後12カ月以降にわたって続くかはよく分かっていない。 2グループ分けた試験をさらに追跡 研究グループは、4歳での遅延臍帯クランプと早期臍帯クランプの
「ビーフなのに魚」 1回聞いただけではちょっと意味が分からない。そんな研究成果がこの5月11日に中国から発表された。 遺伝子改変技術により肉牛に魚の油を作せるようにして、健康なビーフを実現したという内容だ。 いったいどういうことなのか? 健康効果が続々のオメガ3脂肪酸 中国の西北農林科技大学を中心とした研究グループが、バイオ技術分野の国際誌であるバイオテクノロジー・レターズ誌で報告した。 同じ油でも魚の油は、健康への効果の面で別格であると次々と判明していた。魚の油に含まれている、「オメガ3系長鎖多価不飽和脂肪酸」、簡単に言えば「オメガ3不飽和脂肪酸」「オメガ3脂肪酸」が有効と分かっている。こうした脂肪酸は、DHA、DPA、EPAなどという名前で呼ばれている。日本では「頭が良くなるイワシなど青魚の油」とよく知られるようになった。 最近では、脳や神経の機能を高める効果にとどまらず、心
医学から離れて広く生物を見始めると、生命の営みの多様性に今さらながら驚く。 起源に迫った 今回紹介する米国コロンビア大学の論文は、米国東部、北部の海岸で猛威を振るっているオオノガイに発生する白血病についての研究だ。4月9日の科学誌セル誌に掲載された。 タイトルは「ガン細胞の水平伝搬によりオオノガイの白血病が引き起こされる(Horizontal transmission of clonal cancer cells causes leukemia in soft-shell clams.)」だ。白血病はオオノガイだけでなく、ムール貝や牡蠣(かき)にも見られることは昔から知られていたようだ。血液の細胞が異常に増殖するのが白血病。ウイルスのように血液の細胞の遺伝子にレトロトランスポゾンというものが入り込んで起こるという報告もあった。 今回の研究は現在米国東部のニューヨークからカナダまで白血病
太った人を見ると、無臭であるにもかかわらず、脳はにおいを感じると分かった。 嗅覚への影響を調べる 米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校を中心とする研究グループは、その結果を肥満の専門誌、ジャーナル・オブ・オビシティー誌オンライン版で2015年2月4日に報告した。 人の顔に対する強力な偏見(スティグマ)が、身体のサイズと関連していると知られている。 今回、研究グループは、偏見と一致した負の認識を敏感に検出する新しい方法を考案して検証した。 対象者に太った人とやせた人の写真を見せ、同時に未知の無臭の物質をかいでもらうという実験を行うというものだ。 太った人を見ると悪いにおいに感じる その結果、未知の物質は、やせた人よりも太った人の写真を見せた時により悪いにおいに感じられていた。 汚名を着せられた個人は、間接的に嗅覚の反応を通じて評価される可能性があると研究グループは説明している。さら
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