「ものづくり」が変革の時を迎えようとしている。3Dプリンター、カッティング・マシン、ミリング・マシン、PC制御ミシンなど、デジタル工作機械の登場により「つくる」という行為そのものの意味が、変わりつつあるのだ。 中でも注目を集めるのが、ファブ建築と呼ばれる手法である。分解・組立可能で、まるでプラモデルのように作れる木造建築は、「ソーシャルビルド」としての側面からも話題を集めた。これまで分断されていた「つくる人」と「使う人」の境目があいまいになりつつあるのが、現在の姿であるだろう。 このような消費者主導の「ものづくり」が存在感を高める中で、生粋の「つくる人」たちの本質的な価値とは、いかなるものなのだろうか。今や設計図やマニュアル通りにこなすだけであれば、職人が介在する必然性など、どんどん薄れていってしまう。 本書は、ゼネコンの下請けとして働く職人から、宮大工・社寺板金のような伝統的建造物に携わ