宮崎克原作、吉本浩二漫画『ブラックジャック創作秘話』3巻(秋田書店)が出た。1~2巻も読んだが、ほぼすべて何らか知っているネタだったのが、3巻になって新たに取材したネタらしく、初めて知る内容になっている。 で、中に1981年、手塚プロに一冊の中国翻訳版『鉄腕アトム』が届くエピソードがある。日本では昔の赤本にあった、文庫の半分ほどのサイズで、横長(かつて中国で定着した連環画と同じ)。これを見て手塚は激怒する。周囲は著作権侵害(当時中国は国際的な著作権条約を結んでいないので、日本から見れば「海賊版」だが、中国では正規の出版物)の問題として理解するが、手塚が怒ったのは、日本版と大きく異なる版型にしたために、部分的にものすごくヘタな描き直しがされていたことだった。驚くべきことに、手塚はそのすべてを描き直し、中国に送る。もちろん原稿料も印税もないのに。 いかにも手塚さんらしい怒りと対応で面白いのだが