日本を去ったベトナム人青年の独白 2019年4月、1人のベトナム人留学生が日本から去っていった。東京都内の日本語学校を3月に卒業したばかりのタン君(25歳)だ。 タン君は4月、「東京福祉大学」に入学するはずだった。同大は先日、大勢の留学生が所在不明になっていることが発覚し、「消えた留学生」問題としてメディアや国会で取り上げられた。その東京福祉大学へ進学せず、彼はベトナムに帰国する道を選んだ。 タン君とは、彼が2017年7月に来日した直後に取材で知り合って以降、定期的に会っていた。その彼から、日本を離れたことを知らせるメッセージがフェイスブックに届いたのは4月半ばのことだ。 <何も言わないでベトナムに帰ってしまいごめんなさい> そのひとことに、タン君の無念さが滲み出ていた。2年近くに及んだ日本での生活で、日本語学校やアルバイト先で都合よく利用され続けた。彼の留学体験は、「消えた留学生」問題の