レイトン教授という原初体験 恐らくだけど、僕の中での「教養人像」の原初体験は小学生の時に流行った「レイトン教授シリーズ」のレイトン教授だと思う。日常の何気ないことを鋭く観察し、推理して、弟子のルークと楽しく謎について対話する姿は僕にはとても良い生き方に見えた。つまり、彼のには他の人には見えない(正確には見落としている)謎が見えていて、その謎について思考するのが何よりの幸福なのである。 このような「知的な生活」という憧れは、僕を読書に導いた。僕の家には本と呼ばれる知的財産は一つもなかったので、もっぱら小学校の図書館や、あるいは教室においてある本に手を伸ばした。活字を頭の中で展開する知的快感は、まさに日常を謎で彩るレイトン教授同様、教養人的であると悦に入ることができた(もちろん、このようにして心情を描写することは小学生の僕には未だできなかったけれど)。 そのようにして僕には読書が人生に欠かせな