経済と日米安保を最重視する「吉田路線」から、安倍政権が導入した「価値外交」を経て、日本外交は「人権外交」重視の潮流にどう向き合うべきなのか。 いま、人権外交が注目されている。もちろん人権の重要性への認識は今に始まったわけではなく、1948年12月に採択された世界人権宣言や、日本が79年に批准した国際人権規約などに見られるように、それは戦後のリベラルな国際秩序の基盤として冷戦期から冷戦後の世界に至るまで、国際社会で重要視されてきた規範である。 とはいえ、日本外交を考える上でこの問題がその中核に位置するようになってきたのは、比較的最近のことである。それにはどのような理由と背景があるのか、そしてなぜ現在の国際社会においてこの問題が従来以上に重視されるようになったのか。ここでは、現代国際社会における人権という規範の位置づけの変遷と、日本外交におけるその位置づけを概観することにしたい。 日本外交にお
国際主義、ヒューマニズム そんな緒方氏の眼に映る世界は、相互依存の関係にあり、特に日本のような規模の国は、平和も繁栄も一国のみでは達成できないために、世界の事柄に関与する必要がある。これが全ての前提であり、氏の国際主義の本質であった。この考え方は終始一貫していたといってよい。難民保護も開発援助も同じである。そのため、日本を含む各国での内向き傾向をことさらに憂いたのである。 緒方氏の活動の根底にあるのはヒューマニズムなのかとの問いには、「そんな大それたものではない、人間としての普通の感覚」(250ページ)だと喝破する。耐えられない状況に放置された人間や凄惨な現場を見てきたという緒方氏は、「見てしまったからには、何かをしないとならないでしょう? したくなるでしょう? 理屈ではないのです」(同)と語る。 インタビューに応じる緒方貞子さん=2008年1月(時事) 人間の優しさと同時にヒューマニズム
2018年時点で死刑を廃止している国・地域は142(過去10年に執行がなかった事実上の廃止国も含む)、一方で死刑制度存置は56。18年に執行があった国・地域はさらに少なく20だった。国際的には少数派になりつつある死刑制度だが、日本では「場合によってはやむを得ない」と容認する人が多数を占める。 内閣府が2019年11月に全国の成人3000人を対象に実施した死刑制度に対する意識調査で、「どんな場合でも死刑は廃止すべき」と答えたのは9.0%で、「場合によっては死刑もやむを得ない」が80.8%を占めた。 調査は内閣府が5年おきに実施しており、2004年以降連続して4回、死刑容認が80%を超えた。 死刑制度の廃止を支持した人が挙げた理由(複数回答)としては、「裁判に誤りがあった時、取り返しがつかない」(50.7%)が最も多かった。 一方、「死刑もやむを得ない」と答えた人にその理由(複数回答)を聞いた
【書評】2つの東京五輪の間で: ジェラルド・カーティス著『ジャパン・ストーリー 昭和・平成の日本政治見聞録』 Books 政治・外交 社会 2019.07.10 半世紀以上にわたり日本の政治状況を間近に観察してきた「知日派」学者が、若き日の東京での生活や大物政治家とのエピソードを交えながら生き生きとつづった日本政治・社会史。 日本研究 「第三世代」の知日派として、日本の選挙や政変の際には必ずと言っていいほど、内外のメディアにコメントを求められてきたジェラルド・カーティス米コロンビア大学名誉教授。東京五輪が開催された1964年、24歳のコロンビア大学大学院生として初来日以来、昭和・平成の政治の変遷を間近に観察・研究してきた。2度目の東京五輪開催の2020年、80歳を迎える。 日本研究の「第一世代」は、エドウィン・ライシャワーに代表されるように、宣教師の家庭に生まれるなどして戦前日本に住んだこ
近代化遺産の活用で先行する台湾 私の著書が台湾で刊行されたのを機に、台湾でプロモーション活動を行なった際、あるイベントにゲストで呼ばれた。場所は台北市の「華山文化産業園区(華山1914文創園区、華山クリエイティブパーク)」。連日のように開かれる講座や優れた空間性が評判を呼んでいる独立書店(大手資本が入っていない書店)の「青鳥書店」が会場だった。実は青鳥書店で講演するのは3度目なのだか、いつも会場は熱心にメモを取る若者で満杯だ。ここでは講座、コンサート、展示が毎日何件も開催され、青鳥書店のようなユニークな書店やおしゃれなショップ、レストランがそろい、知的刺激を求める人々やデートの男女、家族連れでにぎわっている。 青鳥書店で講演する筆者(青島書店提供) 同パークの土地はかつて1914年に建設された日本の酒工場だった。戦後も工場は稼働を続けていたが、移転で一時は荒廃していた。そこに大改装の手が入
Home In-depth Addressing the Problems with Japan’s Peculiar Employment System Addressing the Problems with Japan’s Peculiar Employment System Economy Society Jul 24, 2013 Japanese companies have cut back sharply on their recruitment of regular employees to be permanent members of their organizations, forcing many people to rely on nonregular employment. An expert on labor policy calls for the intr
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