久しぶりに、激しく突っ込みを入れたくなる史料を読んだので御紹介。 6世紀の司教、トゥールのグレゴリウスが著した『殉教者の栄光』。 当時の人びとから崇敬を集めていた、キリスト教の殉教者たちの名前やエピソード、 そして彼らが起こした奇跡譚を集めた書物です。 御紹介するのは第79章。少々長いですが、まずは読んでいただきたい。 異端は常にカトリックに敵対している。そして何時であれ罠を仕掛けることが出来るときには、[その機会を]逃さない。その一例が、ある場所で起こったと広く噂されているこの物語である。異端の夫を持つカトリックの妻がいた。ある、我らの信仰するカトリックの司祭が彼女のもとをおとずれたとき、この女性は夫にこういった。「私たちの家でもてなしがあろう、相応の出費をした夕餉の準備にあずかれるであろうと、私を訪れて下さった、この司祭さまをお迎えしたいのです。お慈悲を請いたく存じます。」夫は彼女が求