2月末の世界同時株安は一巡し、株価は反発したが、株価急落の背景を確認しておくことが今後を見通すうえで重要である。 急落の直接的な要因は先月27日の中国株急落、米国耐久財受注の予想を上回る減少であった。だがそれ以前に、投資家のリスク許容度が低下する素地が出来上がっていた点は見落とせない。 すなわち、(1)米国のサブプライム住宅ローンの焦げつき急増などから米国景気の先行きに対する不安感が台頭した、(2)世界経済を牽引し、膨張する貿易黒字を米国債投資などで還流して流動性を供給している中国が、預金準備率の引き上げなどを通じて景気過熱を抑制しようとしているとの観測が台頭した--などである。 こうした原因から、グローバルな成長や流動性相場の持続性に懸念が生じやすい地合いが形成されていた。株価急落を引き金として、ファンドなどの損失の穴埋めなどから資金の「質への逃避」が発生したため、円キャリートレード(円