2016年の米大統領選挙を契機に、日本でも米国の「白人労働者」の存在が注目されるようになった。彼らこそは、当初、異端の泡末候補だった不動産王ドナルド・トランプの大躍進を支えた原動力であり、同氏のコアな支持層と目されたからである。 「白人労働者」は米国では「プア・ホワイト(貧しい白人)」「ホワイト・トラッシュ(白人のゴミ)、「レッドネック(野外労働者)」「ヒルビリー(田舎者)」といった蔑称と共に語られることも少なくない。日本からの駐在員や留学生、観光客にとっては接点の乏しい米国人と言って良いだろう。 そして、実は、それは米国のエリート層にとっても同じだ。格差社会が拡大するなか、大企業、先端企業、メディア、大学、シンクタンクなどで働く高学歴・高収入の米国人にとって、同僚や友人として彼らと交わる機会はほとんどない。それゆえ、中西部のラストベルト(錆び