『もののけ姫』より。タタラ場に乗り込んだサン ――「誰か手を貸してくれ」は、何テイクくらい録りましたか? 松田 途中でやめたと思いますよ。別日にしようって。 ――喉も痛めてしまいますもんね。 松田 声が変わってしまうと、それ以前に録音したものともニュアンスが変わってしまいます。「今日はもうやめましょう」と。優しく丁寧に言ってくれていますけど、要は「ダメだ、お前。今日は帰れ」ということですからね(笑)。 ただ、そうやって帰らせてもらえるのも、いわゆるアフレコに慣れていない俳優を集めて作るというところも予算があるからこそできるんですよね。 「セリフが猫背だ」「セリフの背筋が伸びてない」 ――「じゃあ明日にしよう」って、他の作品だとなかなか難しそうです。 松田 そもそも、僕だけでもレコーディングは10回以上やっていると思います。普通は数日ですべてを録ってしまうものです。しかも『もののけ姫』はアフ