学校では「日本は食料自給率が低くて大変だ」と習う。ところが、それは実態を表してはいない。ジャーナリストの山口亮子さんは「農水省の元事務次官である渡辺好明さんは『農業にお金を注ぎ込まないと、日本は大変なことになりますよという、ある種の脅し』と説明している。意味のない数字が、政策目標にされてしまっている」という――。 ※本稿は、山口亮子『日本一の農業県はどこか 農業の通信簿』(新潮新書)の一部を再編集したものです。 自給率は高いほどいいというウソ 「日本は食料自給率が40%しかなくて大変だ」 1987年生まれの私は、小学校の社会科の授業でこう教えられた記憶がある。中学、高校でも同じことを言われ、社会に出てからは新聞やテレビからも繰り返し聞いてきた。 あれから四半世紀の間に微妙に変わったのは、その数字くらい。小学校の授業で初めて自給率を知った2000年前後を調べると、その割合は40%だった。20