中島みゆきが「時代」を歌って世界歌謡祭のグランプリを獲得したのは、1975年11月16日夜のことだった。 筆者はそのニュースは翌17日の月曜日、ミュージック・ラボの社長でもあった音楽評論家の岡野弁から直に聞いた。 その時の筆者はミュージック・ラボに入社して2年目の営業部員で、主に広告をとってくる仕事をしていた。 そして会社に対して歌謡曲ではなくフォークとロックに特化した、新しいチャートと記事のページを作るようにと岡野に提案して認められ、毎週4~6ページの『NOW! FOLK&ROCK』を企画して自分でも文章を書き始めていた。 中島みゆきの取材をするように言われたのは、そうした社内事情によるものだった。 手元にある週刊ミュージック・ラボの1975年11月24日号には、世界歌謡祭の模様を伝える見開きの記事が掲載されている。 岡野はそこで「グランプリの中島みゆきが際立ったコンテストであった。詞も