岸田文雄政権は6月に策定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、資産運用立国を目指すと宣言した。貿易立国、技術立国、観光立国と日本は骨幹産業の立て看板を模索してきたが、資産運用立国とは何を目指すのか。国と民間が資産運用業の改革に本気で取り組めば、日本の金融環境を一変するインパクトがある。国際金融の主役は資産運用「モルガン・スタンレーは収益の5割以上を、富裕層ビジネスや資産運用部
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ここ数十年、実質賃金が上がっていない富裕国は日本だけではない。しかし、豊かな国の中で賃金の上昇率だけではなく、賃金自体が下がっているのは日本だけである。 成熟国では、賃金は、100年以上GDPとほぼ同じ割合での成長をしていたが、その傾向も最近はなくなってきている。1995年から2017年の間に、生産性、すなわち労働時間あたりのGDPは豊かな11カ国で30%成長した。しかし、実質的な時間当たりの報酬(賃金+福利厚生)は、その半分の16%しか伸びていない。 日本の状況は「衝撃的」 日本の生産性の伸びは30%と、他国と同じだったが、労働者の賃金は1%減少している。日本の労働者の賃金が最近まで他国の労働者のそれよりも国民所得に占める割合が高かったことを考えると、この状況は特に衝撃的だと言える。 このような賃金上昇率の低迷は、歴史的にも経済理論的にも説明がつかない。何十年もの間、経済の教科書には、市
(撮影:常盤武彦) 2008年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者・ポールクルーグマン氏。世界最高の知性は「テクノロジーと経済の未来」をどう見通すのか――ニューヨークの彼のオフィスで聞いた。 ※本記事は大野和基インタビュー・編『未完の資本主義 テクノロジーが変える経済の形と未来』(PHP新書)から抜粋して編集したものです AIによる大量失業は当分訪れない ――テクノロジーがさらに進化すれば、いずれ機械が人間の労働を奪ってしまうかもしれない……このような脅威論をどう捉えますか。 【クルーグマン】AIについては誇張されている面が多いと思います。テクノロジーの変化によって排除される人はつねにいますが、AIによる大量失業の時代が来るのはまだ先のことでしょう。 一度機械に人間の仕事を奪われたら、やがてすべての仕事が奪われるんじゃないか、という恐怖心はいつの時代もあります。しかし歴史的にみれば、仕事の
1990年以降、日本の貯蓄率は大きく低下した。その結果、貯蓄率は、ドイツや韓国、アメリカよりも低く、主要国ではダントツの低水準だ。なにが原因なのか。統計データ分析家の本川裕氏は、「低成長による所得の伸び悩みが原因ではないか」という――。 本稿は、本川裕『なぜ、男性は突然、草食化したのか』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。 なぜ日本人は貯金しなくなったのか 家計の可処分所得は、一方で消費に回され、他方で貯蓄される。消費に回される分の比率を「消費性向」と呼び、貯蓄に回される比率を「貯蓄率」と呼ぶ。消費性向と貯蓄率は足して1となる性格のものである。 貯蓄に回された部分は、銀行預金を通じて、あるいは直接的な債券・株式の購入によって企業などの投資原資となるので、産業の発展を国内で支える基盤として重要視されている。 主要国の家計貯蓄率の推移を、OECD Economic Outlook
雇用、所得が一番重要 2月10日の自民党大会で「悪夢のような民主党政権」と発言した安倍首相に対し、岡田克也元副総理が撤回を求めるなど、激しい論争になっている。岡田氏にとっては、自分たちの時代を「悪夢」と言われて気のいいものではないことは理解できる。 一方で、国民にとって民主党政権の3年間は「悪夢」だったのかどうかは、様々な角度から検証されるべきテーマだ。今回はこのことについて論じたい。 そもそもこの表現は、安倍首相だけが使っているものではない。1月31日には、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が衆議院代表質問を行い、その冒頭で「あの悪夢の3年間といわれた民主党政権」と発言している。一国の首相と野党の幹事長では影響力が違うという声もあろうが、首相だけの認識ではないということは、確認しておくべきだろう。 さて、安倍首相が「悪夢のような民主党政権」と批判したのは、経済政策についてである。筆者の見解とし
VoxEu, 2018年4月15日 Adrian Wood、オックスフォード大学国際開発教授 概要: 20年前、経済学徒は、途上国との貿易は先進国の非技能労働者への深刻な害とはなっていないと結論づけた。このコラムは、このコンセンサスを生み出した論争が早すぎる終わりを迎えたのだと主張する。現在ですら、先進国の低教育層の経済的不運へのグローバリゼーションの影響の度合いについては、どんなはっきりした結論であれ出せる証拠はない。そして、もし経済学者の中でのコンセンサスがより弱かったならば、グローバリゼーションの社会的コストを下げる為により多くのことがより早く行われていたかもしれないのだ。 経済学者を含む(例えばColantone and Stanig 2017)一部の人々が最近のポピュリズムの激震-ブレキジット、トランプ、ルペン、AfD-をグローバリゼーションが先進国の労働者へ及ぼした被害の故であ
今回の日米首脳会談でアメリカのトランプ大統領は「自動車を日本に輸出する際には障壁を取り除かなければならない」と述べ、日本に自動車市場の開放を求めていく考えを示しました。 それでも日本に輸入される車はドイツなどヨーロッパ車が中心で、日本自動車輸入組合によりますと、アメリカの主要メーカーの車は昨年度(平成29年度)、1万2000台余りと輸入車全体の3%余りにとどまっています。 このため今後の協議では、関税ではなく日本が設けている車の安全基準などがアメリカから取り上げられる可能性もあります。 これについて日本は、国内で車を販売する際の安全基準や認証手続などは国際的な基準にのっとっており貿易障壁ではない、という立場を主張するものと見られます。 また日本としては、アメリカが、輸入される乗用車に2.5%、トラックに25%の関税をかけていることに対しては、撤廃などを求めていく方針です。
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