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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/Mukke (13)

  • 実は「中華民族」論はそれなりに理論武装している - Danas je lep dan.

    中国で勢い増す「黄帝」崇拝 愛国心鼓舞、少数民族抑圧と紙一重 | どうしんウェブ/電子版(国際) これは割とドン引きさせられた記事なのだけど(中国の少数民族の中には黄帝神話を信じてない民どころかイスラーム教徒もいると思うんですがそれは……),巻き添えで費孝通の評価が落ちたら気の毒ではあるというのと冷静に考えたらこれまで書いてきたことがなかったというのでメモ的なものを。[asin:4894891182:detail] 「中華民族」論自体は費孝通以前の清末民初期から言われているようなのだけれど,人類学に基づいた理論として体系化されたのは1988年の費孝通の著作による。彼の著書『中华民族多元一体格局』は日語に翻訳されているけれども,人類学の理論を踏まえて,漢族を中心に分かちがたく結合した構造としての「中華民族」の実在性について論じたもので,それなりに説得力のある議論であり,少なくともソ連におけ

    bitheiboo
    bitheiboo 2015/06/06
    中国の「中華民族」論についての紹介と参考文献リスト。中国の民族問題を考えるには、単に現象面の批判だけにとどまるのではなく、その背景にある理論への理解(同意に非ず)が不可欠。
  • 分析概念は自由に使っていいだろう,常識的に考えて - Danas je lep dan.

    九州国立博物館(福岡県太宰府市)で7月から開催中の展覧会「視覚革命 異国と出会った江戸絵画」について、ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院のタイモン・スクリーチ教授が「展覧会のタイトルなどが自分の著書からの盗作だ」として博物館に謝罪を申し入れていることが分かった。博物館側は盗作の疑いを否定している。【朴鐘珠、ロンドン小倉孝保】 教授は博物館への抗議の中で、1998年に出版した自分の学術著書「大江戸視覚革命」(作品社)を挙げ、「江戸視覚革命」という表現は外国文化が江戸絵画に与えた影響を表現する言葉としてユニークで、この書名は自分の知的財産であると認識している、と主張。これが権利の所有者(スクリーチ教授)の許可なく使用されているとして、博物館に謝罪や展覧会図録の変更を要求している。 スクリーチ教授によると、博物館側は教授とのメールでのやり取りの中で「視覚革命との表現は日では70年代にはすでに

    bitheiboo
    bitheiboo 2013/10/05
    筆者の見方に同意。引用ルールさえしっかり守れば、問題はないのでは。
  • 分析概念として「民族」は使えるのか?――ロジャース・ブルーベイカー『集団なきエスニシティ』 - Danas je lep dan.

    だいぶ時間がかかってしまったけれどナショナリズム論的に興味深いを読んだ。ロジャース・ブルーベイカーの『集団なきエスニシティ(Ethnicity without Groups)』。ハーヴァード大学出版会から2004年に出版された。モノグラフというよりも論文集という趣が強く,個々の章は独立で読めるものになってはいるが(その多くが他の研究者との共著論文である),全体を通しての大きなテーマのようなものも見えてくる。それは従来学術的に当たり前に用いられてきた概念の再検討ということになろう。Ethnicity without Groups作者: Rogers Brubaker出版社/メーカー: Harvard University Press発売日: 2006/09/01メディア: ペーパーバッククリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 書は次のような章立てからなる。序章(1-6頁)

    bitheiboo
    bitheiboo 2013/10/05
    良い書評で勉強になる。引用されている「エスニシティは……世界の中の事物ではなく,世界についての視点なのだ」(65頁)という指摘には唸らされた。英語なのでなかなか読めそうにないですが。
  • ロシアから見た「東洋」――シンメルペンニンク=ファン=デル=オイェ『ロシアのオリエンタリズム』 - Danas je lep dan.

    これは読まずにはいられなかった。成文社はいい仕事をするなあ。ロシアのオリエンタリズム―ロシアのアジア・イメージ、ピョートル大帝から亡命者作者: デイヴィド・シンメルペンニンク・ファン・,浜由樹子出版社/メーカー: 成文社発売日: 2013/06メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る 原書は,David Schimmelpenninck van der Oye, Russian Orientalism: Asia in the Russian Mind from Peter the Great to the Emigration (New Haven: Yale University Press, 2010)*1。こんな分厚い専門書が原書発売から3年で邦訳されるとは,訳者も出版社も実にすばらだと言うほかない。 なお訳者は以前同じ出版社から『ユーラシア主義とは何か』(成文社,

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    bitheiboo 2013/10/05
    興味深い内容に富む。自分が勉強している分野とも重なりあう部分多し。ぜひ読んでみたい。
  • http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20130310/1362941496

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    bitheiboo 2013/03/23
    Mukke氏、消印所沢氏のコメントも含めて勉強になるエントリ。自分としては、中国政府が時折政治的文脈で「アジア」、「東アジア」という言葉を用いることはあっても、中国人の本音ではそうした意識は希薄と思える。
  • キリスト教の諸教派についてなるべくわかりやすく解説してみる - Danas je lep dan.

    新ローマ教皇フランシスクス1世が選出されたということで,なんかキリスト教*1ネタが盛り上がっているので,異教徒からはわかりにくい,というよりもおそらくキリスト教徒ですらよくわかっていないような気がするキリスト教の諸宗派について,キリスト教徒ではないけれども出しゃばって書いてみたい。教義には殆ど踏み込みません。 なお新教皇の教皇名を多くの報道機関(NHK,時事通信,讀賣新聞,AFP通信など)が「フランチェスコ」とイタリア語読み(ローマ駐在の記者が書いたから?)で表記する中,おそらく唯一日における西方教会の人名の慣用表記「フランシスコ」と表記した朝日新聞はもっと褒められていいと思う*2。 「キリスト教」が一枚岩ではないことは学校で教わるだろう。おそらく様々なメディアで主要な教派として挙げられるのが,・カトリック・プロテスタント・正教会の3つだろうとは思うが,実はそれぞれの内実は相当に多様であ

    bitheiboo
    bitheiboo 2013/03/23
    わかりやすいまとめ。
  • 平成24年に出た東欧史関連文献 - Danas je lep dan.

    もう3月に入ってしまったということが信じられないが(ついこのあいだ年が明けたばかりだというのに!),このタイミングで去年出た東欧および隣接する諸地域の歴史についての日語書籍の中でわたしがチェックし得たものを紹介してみようと思う。 以下のエントリで取り上げたについては取り上げないのであしからず。 「帝国」の想像力――『オスマン帝国と立憲政』『ロシア・シオニズムの想像力』の射程 - Danas je lep dan. ヨーグルトが育むナショナリズム――マリア・ヨトヴァ『ヨーグルトとブルガリア』について - Danas je lep dan. 『ハプスブルク君主国1765-1918』『「イタリア」誕生の物語』読書メモ - Danas je lep dan. 『西洋史学の先駆者たち』『英連邦』読書メモ - Danas je lep dan. スターリン期の大量死の評価をめぐって――ノーマン・ネ

  • ヨーグルトが育むナショナリズム――マリア・ヨトヴァ『ヨーグルトとブルガリア』について - Danas je lep dan.

    年末ということで気温だけでなくお財布も寒くなる時期だけれど,面白いが出版されたので紹介。ヨーグルトとブルガリア: 生成された言説とその展開作者: マリアヨトヴァ,Maria Yotova出版社/メーカー: 東方出版発売日: 2012/11/15メディア: 単行クリック: 2回この商品を含むブログを見る 著者はその名からわかるようにブルガリア人。書は日の総合研究大学院大学に提出された博士論文が元になっている。ブルガリアといえばヨーグルト,と,日ではすっかり定着した「ブルガリアヨーグルト」。「明治ブルガリアヨーグルト♪」というあのCMのフレーズは日社会に長期間生きたことがあるならどこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。書は,「ヨーグルト」がブルガリアにとってどういう意味を持ったのかを明らかにしようとしている。 もともとヨーグルトは旧オスマン帝国支配下のバルカン地域で広く

  • ハプスブルク帝国の国民統合と軍隊――極東に囚われた俘虜たちを通して - Danas je lep dan.

    近代国家における「国民」の創出に寄与する装置といえば学校と軍隊であるというのは今さら言うまでもないが,その事情は「いくつものアイルランドをひとまとめにしたような」*1ハプスブルク帝国においても変わることはなかった。  アウスグライヒ(Ausgleich)後のハプスブルク帝国,すなわちオーストリア=ハンガリー帝国の共通軍は,諸民族に最低限のドイツ語能力だけを要求し基的には民族語で兵営における生活を営むことができる場であった。それは立派に国民統合機能を担っていたと言っていいだろう*2。  しかしながらそれは諸民族の配属などの絶妙なバランスの上に成り立ったもので,根的に非常時の制度では有り得なかった。大津留厚の表現を借りれば,「ハプスブルク軍は戦争をしてはならない軍隊だった」*3。総力戦という新しい戦争のかたちはそのような統合を容赦なく突き崩した。弱体のハプスブルク軍が,中欧の同盟国ドイツ

  • バルカン諸国における「国王」の系譜 - Danas je lep dan.

    そういえば僕は昨年,紫音さんからあまりにも唐突なキラーパスを貰っていました。といいながら、バタバタしているうちにMukkeさんあたりがロシアドイツの大統領制について論考した挙句に東欧の元首制度比較をやるとみた(キラーパス)お返事などなど - 戯言 by 紫音 よろしい,では,近代バルカン諸国の君主制について比較(?)するエントリを上げましょう。概観 そもそも近代バルカン諸国というのは,フランスやイギリス,プロイセンのように元からあった王国が発展していったのではなく,オスマン帝国からの独立運動やら列強の介入やらで「新しく作られた」国々なので,王家を成り立たせることができるような在来の貴顕があまりいません。ビザンツ王朝もセルビア王朝もブルガリア王朝もどっか行っちゃいましたし。 けれどそれらの国々ができた時,ヨーロッパの大国に君臨していたのは共和主義に怯える王様たち。新しく作られる国は王政が望

    bitheiboo
    bitheiboo 2011/02/26
    近代バルカン諸国の王室についての良いまとめ。
  • ロシアの呪術とニセ科学――社会主義崩壊後のセカイで - Danas je lep dan.

    久しぶりにロシアに関するを読んだ。そのが色々と面白い論点を含んでいたのでここでレヴューしてみる。呪われたナターシャ―現代ロシアにおける呪術の民族誌作者: 藤原潤子出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2010/06メディア: 単行購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る 書は次のような構成を取る。序章「呪術の『リアリティ』」(pp.9-47)第1章「呪われたナターシャ――『体験』されてしまった呪術の物語」(pp.49-109)第2章「世代を超えて伝えられた秘儀」(pp.111-147)第3章「呪術の『科学』化と無神論の『克服』」(pp.149-183)第4章「マスメディアが作りだす新たな呪術ネットワーク」(pp.185-221)第5章「呪術実践を支える学術成果」(pp.223-247)終章「時空を超えて循環する知識」(pp.249-254) 書で扱われ

  • ロシアの同化政策?――zapiska o rossijskoj istorie - Danas je lep dan.

    以下の記事を読んでちょっと考えた。 (……)欧米も植民地に学校を作ったし、人口は増加した。日は欧米と違い、現地人を平等に扱ったというが、その証拠は日教育や日文化の注入などの同化政策であり、19世紀フランスの同化主義や、19世紀後半のロシアの同化政策を全く無視している。日も欧米の植民地になったとして、何が問題なのか? - 上田亮の只今勉強中 そもそも19世紀後半のロシアに「同化政策」なんてあったのかしらん? イギリスのロシア史研究の大家,ドミニク・リーヴェンは次のように指摘する。 (……)ロシア帝国は伝統的に,イギリスよりはるかに同化主義的で,かなりの数の貴族ももともとはタタール人や遊牧民の出身だった。しかし,19世紀までにロシア人エリートの西洋化が強く影響し,非ヨーロッパ人を同化させようとする意欲も萎えてしまった。ロシアでは,遠い将来はともかく,おそらく同化不能で,ロシア皇帝の普

  • ナショナリズムにおける本質主義批判のために――エトニ,あるいは,ネイションの基盤となるものについて - Danas je lep dan.

    前に, 質主義と構築主義 - Danas je lep dan. で書いたことをもうちょっと詳しく。 ゲルナーら構築主義者はネイションは近代の構築物であると論じるが,それに異議を唱えたのがA・D・スミスだ。 彼はその1986年の著書The Ethnic Origin of Nations(巣山靖司,高城和義他訳『ネイションとエスニシティ――歴史社会学的考察』名古屋大学出版会,1999)の中で,ネイションの基盤となる人間集団としてのエトニ(ethnie)を提唱する。 これまでの議論を基礎とすれば,エトニ(エスニックな共同体)は,いまやつぎのように定義される。エトニとは,共通の祖先・歴史文化をもち,ある特定の領域との結びつきをもち,内部での連帯感をもつ,名前をもった人間集団である,と。私は,このような共同体が,〔……〕歴史のあらゆる時代において,広く分布してきたことを示したい。〔……〕*1

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