「仏教の修行を体験してみたい」という外国人が数日間、日本のお寺に滞在。 「早朝の読経から始まり、寝るまでスケジュールがぎっしり組まれて、精神の自由を得るどころではなかった」という感想を抱いたところ、「次に何をやるか考えなくてすむところに、精神の自由がある」と返されたという話があります。 本業が徐々に暇になってきて、自由時間をたっぷり持っている私には耳の痛い話です。休む間もなく働いていた頃は、アガサ・クリスティ自伝のこの一節にあこがれたものです。 朝、目を覚ます、はっきり目がさめる前にもう心の中でこういってる。 「さて、今日はどういうふうにするかな?」 選択の自由がある。目の前にある一日を思うように計画することができる。 私は、しなければならないこと(これを私たちは義務といっている)がたくさんないとはいわない。もちろんある。家の中にもなすべき仕事がある。写真入れの銀の額縁を磨く日、ストッキン