焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、にわかにクローズアップされた「肉の生食」の危険性。形骸化した国の衛生基準の実態も浮かび上がったが、同じ生食でも「鶏肉」には基準すらない。食中毒が相次いでも「自己責任」で食べるしかない現状に、専門家は「鶏肉にも生食の基準を設けたほうがいい」と指摘している。(長谷川陽子) 鶏の生肉を刺し身にした「鶏刺し」が郷土料理として親しまれている鹿児島県。生の鶏肉を「鶏刺し用」として販売している店も少なくない。 ただ、生肉をネット販売しているある鶏刺し専門店は、ホームページに「鶏の生食が原因の食中毒は、当店は責任を負いかねます」と告知している。 「昔は地元の人間しか食べなかったし、あたる人も少なかったけど、ネット販売は全国だから」と店の担当者。衛生面に気を配り処理しているが、まれに購入者から食中毒になったという連絡が来る。「そもそも生食は危ないもの。自