□旨さ遺伝子に手掛かり 日本人の食生活を支えるイネの遺伝子研究が加速している。コシヒカリのゲノム(全遺伝情報)が解読され、日本のコメの系譜が明らかになり、おいしさの遺伝子も手掛かりが見えてきた。経験と勘に頼ってきたイネの品種改良は、ゲノム時代の到来で飛躍的に進歩しそうだ。(長内洋介) ■コシヒカリも解読 人類が野生イネの栽培を始めたのは約1万年前。アジアでは中国雲南省を起源に各地へ広がり、大陸や南の島々を経由して日本にも伝来した。イネの品種改良は長い歴史があり、日本でも本格化した明治時代以降、多くの品種が生まれては消えていった。 今日の代表格は、おいしさが人気のコシヒカリだ。約30年間にわたり品種別の収穫量で全国一を誇る。農業生物資源研究所は日本人が好むコメの秘密を探ろうと、コシヒカリのゲノムを解読。DNAの塩基配列のうち、塩基の種類が1カ所だけ異なる場所を目印に、系統を詳しく調べ